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コラム
犬や猫の肛門周囲腫瘍について
犬猫の肛門周囲腫瘍は、良性のものから悪性のものまでさまざまです。
それぞれ病態や治療方法も変わってくるため、しっかりと病気について理解する必要があるでしょう。
本記事では、当院でも症例がある、犬猫の肛門周囲腫瘍の症状、診断・治療方法について解説します。
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肛門周囲腫瘍の種類
肛門周囲の腫瘍は主に以下の3つが考えられます。
・肛門周囲腺腫
・肛門周囲腺癌
・肛門嚢アポクリン腺癌
肛門周囲腺腫は、良性腫瘍です。
肛門周囲腺癌や肛門嚢アポクリン腺癌は悪性腫瘍であり遠隔転移や周辺臓器、リンパ節への浸潤が見られます。
猫では、肛門周囲腺が存在していないため、肛門周囲の腫瘍は稀です。
肛門周囲腫瘍の症状
肛門周囲腫瘍の症状は、以下の通りです。
・お尻にしこりができる
・腫瘍から出血する
・お尻を地面に擦り付ける
・便秘
・食欲不振
・嘔吐
初期段階では、お尻にしこりができているだけで無症状のケースも多く見られます。
病状が進行すると、腫瘍から出血したり便秘が見られたりします。
肛門周囲腫瘍の診断方法
肛門周囲腫瘍の診断方法は、以下の通りです。
・身体検査
・血液検査
・画像検査(レントゲン、エコー、CT検査)
・FNA検査、生検
身体検査では、肛門周囲の腫瘤を確認します。
また、リンパ節への転移や便秘の状態を調べるために直腸検査を行う必要もあります。
血液検査では、高カルシウム血症の有無を確認します。
肛門嚢アポクリン腺癌では、腫瘍随伴症候群として、高カルシウム血症を示すことがあるので、腫瘍の鑑別に有効です。
そのほか、転移や浸潤を確認するために、画像検査を行います。
腫瘍をより高精度に診断するためにFNA検査や生検を行うことも必要でしょう。
肛門周囲腫瘍の治療方法
肛門周囲腫瘍の治療は、腫瘍の種類によって変わります。
【肛門周囲腺腫】
性ホルモンが関与しており、去勢手術により腫瘍の縮小化が期待できます。
縮小後に手術により腫瘤を摘出したり、手術が必要ないほどのサイズになったりすることもあります。
縮小しないものや再発したものに関しても外科的処置が必要になるでしょう。
【肛門周囲腺癌、肛門嚢アポクリン腺癌】
外科的手術を行い、腫瘍や浸潤したリンパ節の切除を行う必要があります。
再発や転移することも多い腫瘍であるため、手術後の抗がん剤や放射線治療などの治療を行うことも必要です。
肛門周囲腫瘍の予防法
肛門周囲腺腫は去勢手術により予防可能です。
その他の肛門周囲腫瘍については、原因がはっきりわかっていないため、予防することは困難です。
腫瘍の早期発見・治療が大切になるため、身体検査をしっかり行う必要があります。
まとめ
本記事では、犬の肛門周囲腫瘍の症状、治療・予防法について解説してきました。
肛門周囲腫瘍には、良性や悪性のものがあり、治療方法もさまざまです。
正確な診断を行い、適切な治療方法を選択するようにしましょう。
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<参考文献>
獣医内科第2版 p236