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犬の夏バテ対策ガイド|予防法と症状が出たときの正しい対処法

症例

夏の暑さは、犬にとっても大きな負担になります。特に高温多湿な日本の夏は、体温調節が苦手な犬にとって過酷な季節です。

 

暑さが続くと、体力の消耗や体調の変化が少しずつ表れてくることもあります。深刻な体調不良につながる前に、早めの対策を講じることが大切です。

 

今回は、夏バテを防ぐための日常の工夫と、症状が出たときに飼い主様ができる対処法について、獣医師の視点から詳しく解説します。

その不調、夏バテかも?犬に見られるサインと注意点

犬の夏バテとは、暑さや湿度によって体に負担がかかり、食欲や元気が少しずつ落ちていく状態を指します。明確な医学用語ではありませんが、人と同じように夏の暑さで体調を崩すことがあり、放っておくと深刻な不調につながることもあります。

 

特に短頭種(フレンチ・ブルドッグ、パグなど)や高齢犬、肥満の犬、持病がある犬は、夏バテや熱中症のリスクが高いため注意が必要です。

 

<夏バテの主な症状>

食欲の低下

活動量の減少、寝てばかりいる

元気がなくなる

下痢や軟便、嘔吐

呼吸が荒くなる、パンティングが増える

 

夏バテは熱中症と違い緊急性を要するものではありませんが、徐々に体調に変化が生じます。日々の様子を観察し、いつもと違うサインに早めに気づいてあげましょう。

 

今日からできる!犬の夏バテ予防法

夏バテを防ぐためには、毎日の生活環境や習慣の見直しがとても大切です。ここでは、すぐに始められる4つの対策をご紹介します。

 

室温・湿度を快適に整える

犬は人より暑さに弱く、自力で体温を下げるのが得意ではありません。エアコンや扇風機を上手に使い、快適な環境を保ちましょう。

 

・エアコンは日中・夜間ともに使用する(26〜28℃が目安。暑さに弱い犬はやや低めに)

・直射日光を避けられるように、カーテンや家具の配置を見直す

・扇風機やサーキュレーターで空気を循環させる

 

犬が自分で涼しい場所を選べるよう、複数の居場所を用意しておくのもおすすめです。

 

水分補給の工夫

暑さによる脱水は、夏バテや熱中症の引き金なります。水を飲む量が少ない子には、次のような工夫をしてみましょう。

 

・水皿を複数の場所に設置する

・自動給水器を使うと飲む量が増える場合も

・ウェットフードやスープ、ゼリー状のおやつを取り入れる

・ペット用の経口補水液を活用する

 

飲む量が減っていると感じたときは、早めの対策が重要です。「飲める環境」だけでなく「飲みたくなる工夫」も大切です。

 

食事を無理なく続けられる工夫を

食欲の低下は夏バテの初期サインのひとつです。無理に食べさせようとせず、愛犬のペースに合わせた調整心がけましょう。

 

・朝晩の涼しい時間帯に与える

・香りが立つフードを選ぶ(温めると嗅覚が刺激されやすくなります)

・野菜やささみなどを少量トッピングして食欲を引き出す

 

※トッピングはあくまで一時的な対応とし、主食の栄養バランスを崩さないようにしましょう。

 

散歩や運動の時間を見直す

真夏の日中の散歩は犬にとって負担が大きく、熱中症や肉球のやけどのリスクもあります。散歩の時間帯と内容を見直し、安全に体を動かせるようにしましょう。

 

・早朝または日没後など、気温が下がった時間帯に行く

・アスファルトの熱さを手で確認してから出発

・散歩の代わりに室内でのおもちゃ遊びやトリック練習も◎

 

「短時間でも毎日少しずつ動く」ことが、体力維持には効果的です。

 

このように、犬の夏バテは「暑い日に気をつければいい」だけではなく、日々の小さな工夫の積み重ねが、元気に夏を過ごすカギとなります。

 

それでも夏バテしてしまったら?症状別の対処法

どんなに気をつけていても体力や食欲が落ちてしまうことはあります。特に夏は、犬にとって体温調節が難しく、少しの体調の変化でもぐったりしてしまうことも珍しくありません。ここでは、軽度の夏バテに気づいたときに飼い主様ができるサポート方法をご紹介します。

 

静かで落ち着ける環境を整える

体調が優れないときは、過度な刺激もストレスの原因になります。家族の出入りが少ない静かな部屋や、風通しのよい場所でゆっくり過ごせるようにしてあげましょう。

 

 体を冷やす工夫を取り入れる

鼻先やパンティングが続いたり耳が熱くなっているときは、体温が上がっているサインかもしれません。濡らしたタオルで体をやさしく拭いたり、保冷剤をタオルで包んで首元や内股に当てるなど、無理のない範囲で体を冷やす方法を取り入れてみてください。

 

食事は少量ずつ、回数を分けて与える

一度にたくさん食べられないときは、食事を1日3~4回に分けることで消化の負担を減らし、少しずつエネルギーを補給できます。

 

散歩や遊びよりも「しっかり休む」ことを優先

夏バテ気味のときは、軽い運動でも体に負担をかけることがあります。散歩は控えめにし、体調が回復するまでは安静に過ごすように心がけましょう。

 

<すぐに動物病院へ相談すべきサイン>

以下のような症状が見られる場合は、軽度の夏バテではなく、脱水症状や内臓疾患、熱中症などの命にかかわる緊急性の高い状態が疑われます。

 

水や食事をまったく受け付けない

嘔吐や下痢が繰り返し続いている

体が熱い、あるいは冷たい

呼吸が早く、苦しそうな様子がある

舌や歯ぐきが白っぽい、青紫色になっている

ぼんやりしていて、目に力がない

横になったまま動こうとしない

 

どれかひとつでも当てはまる場合には「様子を見る」のではなく、できるだけ早く動物病院を受診してください。

 

まとめ

夏の暑さは、犬の体にとって大きな負担となります。体調の変化がゆるやかに進む夏バテは、気づいたときには食欲や元気が大きく落ちていることも少なくありません。

 

日々の生活の中でできる工夫をこまめに取り入れつつ、それでも様子が変わらない場合や「いつもと違うな」と感じたときには、早めに動物病院へご相談ください。

 

ちょっとした変化に気づいてあげることが、愛犬の健康を守る第一歩です。無理なくできることを続けながら、夏を元気に乗り切っていきましょう。

 

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