コラム
犬や猫の消化管間質腫瘍(GIST)について
犬猫の消化管間質腫瘍は、消化管筋層の細胞が腫瘍化した腫瘍です。
症状としては、嘔吐や食欲不振、体重減少が認められます。
本記事では、犬猫の消化管間質腫瘍の原因、症状、診断・治療方法について解説します。
消化管間質腫瘍とは
消化管間質腫瘍は、GISTとも呼ばれ、消化管腫瘍の1つです。
犬猫の消化管間質腫瘍は、盲腸、小腸、胃などに発生し巨大な腹腔内腫瘍を形成します。
猫での発生は稀であり、犬によく認められる疾患です・
転移率は報告されていませんが、腹腔内に播種したり術後に再発したりする場合もあります。
消化管間質腫瘍の原因
消化管間質腫瘍は、消化管筋層に存在するカハール介在細胞が腫瘍化したものです。
遺伝子の突然変異が原因として考えらえており、特にc-kit遺伝子の変異が関与していると考えられています。
消化管間質腫瘍の症状
消化管間質腫瘍の症状は以下の通りです。
・嘔吐
・下痢
・食欲不振
・体重減少
初期段階では、無症状であるケースも多く見られます。
進行すると腸穿孔による腹膜炎、腫瘍からの出血などが見られる場合もあります。
消化管間質腫瘍の診断方法
消化管間質腫瘍の診断方法は、以下の通りです。
・血液検査
・画像検査(レントゲン、エコー、CT検査)
・切除生検
消化管腫瘍の場合には、低アルブミン血症になっている場合も多く血液検査で、全身状態を把握しておくことが必要です。
画像検査では、腫瘍の大きさと位置や転移の有無を確認します。
消化管間質腫瘍は切除した組織で病理学的検査を行い確定診断していきます。
FNA検査を行う場合もありますが、腫瘍からの出血や消化管穿孔のリスクがあることに留意しておかなければなりません。
消化管間質腫瘍の治療方法
消化管間質腫瘍の治療方法は、外科手術で腫瘍を切除することが第一選択です。
※全身状態の把握と術前検査を目的に、血液検査や画像検査等が必要です。
転移している場合や再発予防のために、手術後に分子標的薬のイマチニブを使用することもあります。
消化管間質腫瘍の予後
消化管間質腫瘍の予後は明確になっていない部分が多いものの、完全切除し転移もない状態ならば、予後は良い傾向にあります。
しかし、転移があったり、腫瘍の悪性度が高かったりすると術後に死に至る可能性もあるため注意が必要です。
まとめ
本記事では、犬猫の消化管間質腫瘍の原因や症状、診断・治療法について解説してきました。
消化管間質腫瘍は、放置していると腹膜炎や消化管穿孔を引き起こし死に至る場合もあります。
消化器症状や体重減少など非特異的な症状として現れることが多いため、当院ではこういった所見がある犬猫を診察する際には慎重に検査を進めています。
姉ヶ崎どうぶつ病院は一緒に働く仲間を募集しています
姉ヶ崎どうぶつ病院は1.5次診療施設で質の高いジェネラリストを目指し、地域獣医師医療を担う動物病院です。
獣医師、動物看護師ともに育成プログラムが充実しており、「獣医師や動物看護師として経験を積んで成長しやすい環境」が整っています。
目の前の課題に対し、しっかり取り組む方、誠意をもってコミュニケーションを取る方、そして動物はもちろん、飼い主様やスタッフ同士の気持ちを理解しようと努力する方の応募を心からお待ちしています。
■教育制度
獣医師の教育制度についての詳細はこちら
愛玩動物看護師等の教育制度についての詳細はこちら
■スタッフインタビュー
当院で働く獣医師のインタビューはこちら
当院で働く動物看護師のインタビューはこちら
<参考文献>
獣医内科学p209
犬と猫の治療ガイドp851-853