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愛猫の排尿トラブルに要注意!症状別の原因と適切な対処方法|早期発見が重要

症例

もし愛猫がトイレで苦しそうな様子や、いつもより頻繁にトイレに行く姿を見かけたら、それは身体からのSOSサインかもしれません。

近年、猫の排尿トラブルは増加しており、特に寒い季節は注意が必要です。

 

代表的な排尿トラブルには、尿路結石膀胱炎などがあります。これらの疾患は、早期に発見して適切に治療を行うことで重症化を防げますが、放置してしまうと命に関わる深刻な状態に進行することもあります。

 

今回は、猫の排尿トラブルのサインや原因、適切な対処方法について解説します。

気をつけたい!猫の排尿トラブルのサイン

猫は体調の変化を隠す習性があるため、排尿トラブルの早期発見には飼い主様の観察力がとても大切です。

普段と違う行動や様子が見られた場合は以下のようなサインに注意し、すぐに動物病院を受診しましょう。

 

・トイレの回数が増えた、または減った

猫がいつもより頻繁にトイレに行く、または全くトイレに行かなくなる場合、それは体調の異常を示すサインかもしれません。

頻繁にトイレに行く「頻尿」の場合は、膀胱炎や尿路結石の可能性が考えられます。

一方、排尿の回数が極端に減った場合や、全く排尿できない場合には、尿路閉塞のような緊急性の高い疾患が疑われます。

 

・排尿時の鳴き声

トイレで苦しそうな声をあげたり、鳴き声が高くなったりする場合は排尿時に痛みを感じている可能性があります。これは膀胱炎や尿路結石などのサインとして疑われます。

 

・血尿

尿に血が混じっている場合は、膀胱や尿道で炎症が進行している可能性があります。

 

・トイレ以外での排尿(トイレの失敗)

普段はトイレで排尿していたのに、別の場所で排尿してしまう場合、膀胱炎などの影響でトイレが苦痛になっている可能性があります。

また、環境の変化やストレスが原因となっている場合も考えられます。

 

・トイレに長時間こもる

トイレに入ったまま出てこない場合は、尿が出ない状況が疑われます。特にオス猫は尿路閉塞を起こしやすいので注意が必要です。

 

・お腹の張り

尿が排出できず膀胱が膨れ上がると、お腹が硬く張ることがあります。

 

・その他の行動変化

排尿トラブルが原因で、食欲低下、ぐったりしている、または隠れるといった行動が

見られることもあります。

 

なぜ猫は排尿トラブルになりやすいの?

猫が排尿トラブルを抱えやすいのは、猫特有の生理的な特徴と、生活環境やストレスなどの要因が深く関係しています。

 

<猫特有の生理的な特徴>

猫は祖先が砂漠地帯で生活していた影響で、あまり水を飲まずに体内の水分を効率的に使う能力が発達しています。このため、尿を濃縮する仕組みが備わっていますが、その影響で尿中のミネラルが結晶化しやすくなり、尿路結石や膀胱炎のリスクを高める一因となっています。

 

さらに、雄猫は特に尿道が細長く狭い構造をしているため、尿路閉塞を起こしやすい傾向があります。尿路に結晶や炎症ができると、排尿が困難になることがあります。

 

<年齢や性別、生活環境が影響>

猫の年齢や性別、そして飼育環境も排尿トラブルに大きく関与します。

 

・年齢

高齢猫では腎臓の機能が低下しやすく、尿の生成や排出に問題が生じることがあります。腎臓の健康は排尿トラブルの予防に直結するため、年齢に応じたケアが重要です。

 

・性別

雄猫は尿道が狭く長いため、尿路閉塞を起こしやすい傾向があります。一方、雌猫は尿道が短く、細菌が膀胱に入りやすいため、膀胱炎が進行しやすいことが特徴です。

 

・室内飼育

室内飼育の猫では、運動不足やトイレ環境が原因となって排尿トラブルが起こることがあります。例えば、トイレが清潔ではない場合や、設置場所が猫にとって快適でない場合、トイレを避けてしまうことがあります。

 

<ストレスや食事も影響>

猫は環境の変化に非常に敏感です。例えば、新しい家族が増えたことや、家具の配置が変わったり、引っ越しをしたりすることがストレスの原因となることがあります。このようなストレスが蓄積すると、膀胱炎などの排尿トラブルを引き起こすことがあります。

 

また、食事の内容も猫の健康に大きく影響します。特に高マグネシウムのドライフードや、ミネラル分が多すぎる食事を続けていると、尿路結石の原因となる場合があります。

 

排尿トラブルの種類と主な症状

猫の排尿トラブルは早期発見と適切な治療が非常に重要です。ここでは、代表的な疾患ごとの症状と注意点を解説します。

 

・膀胱炎

膀胱炎は、猫に比較的よく見られる排尿トラブルの一つです。頻尿、血尿、トイレで長時間過ごすものの少量しか尿が出ない、排尿時に鳴くといった症状が現れます。

特にストレス性膀胱炎では、ストレスの原因を取り除き、生活環境を整えることが治療の鍵となります。

放置すると慢性化する可能性があるため、早期の対応が大切です。

 

・尿路結石

尿路結石は、尿中のミネラルが結晶化し結石になることで発生します。症状としては、頻尿、排尿困難、血尿、尿が出た後の残尿感などが挙げられます。

結石が進行して尿道を塞ぐと命に関わる尿道閉塞に発展することもあるため、細かなサインを見逃さないことが重要です。

 

・尿道閉塞(特に雄猫に多い)

尿道閉塞は、特に雄猫に多く見られる緊急性の高い疾患です。トイレに行っても尿が出ない、痛みで鳴く、吐く、食欲不振、ぐったりするなどの症状が見られることがあります。

この状態を放置すると数時間以内に命を落とす危険があるため、直ちに動物病院を受診する必要があります。

 

尿道閉塞についてはこちらから

 

・その他の疾患

排尿トラブルには、以下のような疾患が関連している場合もあります。

 

慢性腎臓病:腎機能の低下が尿の生成や排出に影響を与えることがあります。

腫瘍性疾患:膀胱腫瘍などが膀胱炎や尿道閉塞を引き起こす原因となることがあります。

 

家でできる予防対策とは?

猫の排尿トラブルを予防するためには、日常生活での小さな工夫が非常に重要です。

水分摂取を促すことや、適切なトイレ環境を整えること、さらにはストレスを軽減する取り組みが、愛猫の健康を守るための鍵となります。

 

<水分摂取を促す工夫>

猫が十分な水分を摂取できるように、いくつかの方法を試してみましょう。

まず、家の中に水飲み場を複数設置することがおすすめです。猫は1カ所にまとめられた水飲み場よりも、複数の場所に分散された水飲み場を好む傾向があります。2~3カ所以上、水を飲める場所を用意してあげるとよいでしょう。

 

また、自動給水器を使うのも効果的です。自然の流水を好む猫は、静止した水よりも循環する水に興味を示すことが多く、自動給水器を使うことで水を飲む量が増えることが期待できます。

 

さらに、ウェットフードを取り入れるのも有効な方法です。ウェットフードはドライフードに比べて水分を多く含んでいるため、食事から自然に水分を摂取できます。

ドライフードと混ぜて与える「ミックスフィーディング」も、水分摂取量を増やすための工夫としておすすめです。

 

<適切なトイレ環境の整備>

トイレ環境の整備も、排尿トラブルを防ぐために重要なポイントです。

猫は清潔なトイレを好むため、1日1~2回を目安に掃除を行い、常に清潔さを保つように心がけてください。汚れたトイレを嫌がって排尿を我慢してしまうと、膀胱炎などの原因になることがあります。

 

多頭飼いの場合は、猫の頭数より1つ多いトイレを用意することで、トイレの取り合いによるストレスを軽減できます。

また、トイレの形状や砂の種類を見直し、猫の好みに合ったものを選ぶことも大切です。さらに、トイレは静かで人の通りが少ない場所に設置し、猫が安心して使える環境を作りましょう。

 

<ストレス軽減のための環境づくり>

猫がストレスを感じない環境を整えることも、排尿トラブルの予防につながります。適度な運動を促すために、キャットタワーやおもちゃを使って遊ぶ時間を作ることが効果的です。遊びはストレス解消だけでなく、健康維持にも役立ちます。

 

さらに、猫が安心して過ごせる静かなスペースを確保することも大切です。お気に入りのブランケットやベッドを用意し、落ち着いてリラックスできる居場所を用意してあげましょう。

 

いつ動物病院に行くべき?

猫の排尿トラブルは、軽度の症状でも放置すると命に関わる深刻な状態に発展することがあります。早期対応が重要なため、次のような症状が見られた場合は、速やかに動物病院を受診してください。

 

・排尿が全くできない場合

これは緊急事態です。特に雄猫では尿道閉塞の可能性が高く、放置すると膀胱の破裂や、命に関わる状態に陥る恐れがあります。

 

・血尿が見られる場合

トイレの砂が赤く染まる、または尿に血が混ざっている場合は、膀胱炎、尿路結石、膀胱腫瘍などの疾患が疑われます。

 

・排尿時に鳴く、または痛がる場合

排尿時に苦しそうな声を出す、排尿後もトイレでじっとしている場合は、痛みを伴う疾患が隠れている可能性があります。

 

・ぐったりしている場合

排尿トラブルが原因で全身の体調が悪化している可能性があります。

 

排尿トラブルは、早めに治療を始めることで予後が大きく改善します。愛猫に普段と違う様子や異変を感じたら、迷わず動物病院に相談しましょう。

 

さらに、定期的な健康診断は病気の早期発見にとても役立ちます。特にシニア期に入った猫や既往症のある猫の場合、最低でも年に1~2回を目安に健康診断を受けることで、大きな病気を未然に防げる可能性が高まります。

 

まとめ

猫の排尿トラブルは、些細な変化に見えても深刻な病気のサインである場合があります。そのため、日常的に愛猫の様子をよく観察し、普段と違う行動や体調の変化に気づけるようにすることが大切です。

 

また、トラブルを防ぐためには、水分摂取を促す環境を整えたり、清潔で使いやすいトイレを用意したりするなどの工夫が必要です。

さらに、ストレスを軽減できるような生活環境を整えることも、愛猫の健康維持に大きく役立ちます。

 

日々の適切なケアと観察を続けることで、愛猫が快適で健康的な暮らしを送れるようにサポートしていきましょう。

 

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