
コラム
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症例
猫の口内炎について|口臭やよだれは要注意!早期発見のコツ
口内炎は、口内の舌や歯茎などに炎症が生じる病気で、人と異なり、重度の場合、猫では口内全体に激しい炎症が広がります。強い痛みを伴うため、食事や日常生活に大きな支障をもたらす可能性があります。
猫の口内炎はその治療が困難であることから、「難治性口内炎」とも呼ばれています。
今回は猫にとって一般的である口内炎について、原因や症状、診断方法、治療方法、そして予防法やご家庭での注意点について詳しく解説します。
原因
猫の口内炎の原因はさまざまですが、はっきりとした原因が特定されていない場合もあります。
主に考えられる原因としては以下の5つが挙げられます。
<ウイルス感染>
カリシウイルス、ヘルペスウイルス、猫エイズウイルス(FIV)、猫白血病ウイルス(FeLV)など、さまざまなウイルス感染が口内炎の原因となることがあり、これらのウイルスは、猫の免疫システムに悪影響を与え、口内炎を引き起こすと言われています。
<免疫の過剰応答>
自己免疫疾患や他の免疫関連疾患が口内炎の原因となることがあります。本来なら体を守るべき免疫系が過剰に反応し、誤って自らの組織を攻撃してしまうことがあります。この過剰反応により、口腔内の健康な組織が損傷を受け、炎症や潰瘍を引き起こすことがあります。
自己免疫疾患による口内炎は治療が特に困難で、症状の管理のために長期的なアプローチが必要になる場合があります。
<歯石の蓄積や歯周病>
猫の口腔内の衛生状態が悪いと歯石の蓄積や歯周病の発生につながり、これらは口内炎を引き起こすリスク因子となります。3歳以上の猫の大半が、様々な程度の歯周病を抱えていると言われています。
<内科的疾患>
腎臓病や糖尿病などの内科的疾患が間接的に口内炎の原因となることがあります。これらの疾患が猫の免疫システムの機能を低下させ、老廃物の蓄積が粘膜障害につながり、口内炎が引き起こされやすくなります。
<栄養不良>
栄養不足は、免疫力の機能低下につながります。栄養素が不足している状態では体の自然な回復能力も低下するため、病気からの回復が遅れます。
また、猫エイズウイルス(FIV)や、猫白血病ウイルス(FeLV)が原因で口内炎を発症しているケースや、元々の体質が原因で免疫が過剰に働いてしまっているケースが見られます。
症状
口内炎では、以下のような症状が見られます。
・過剰によだれが出る
・痛みによる食欲不振
・物を食べづらそうにする
・口臭の悪化
・口からの出血
・口を気にする仕草
来院のきっかけとして多いものは、口臭の悪化や口を痛がってご飯を食べなくなってしまったなどが挙げられます。
診断方法
まず、飼い主様からの問診を通して症状の詳細、食欲や活動レベルの変化、症状が現れ始めた時期などを確認します。
次に、口腔内を直接観察し、歯肉の状態や潰瘍の有無、歯石の蓄積程度、その他の異常をチェックします。
また、全身状態の把握のため、血液検査を行い、腎臓病や糖尿病など、口内炎を引き起こす可能性のある他の疾患を検出します。
さらに、ウイルス感染の可能性を除外するために、猫エイズウイルス、猫白血病ウイルスの感染の有無を確認します。
口内炎の原因となる歯周病や歯の問題を詳しく調べるために、歯科レントゲン検査が実施されることもあります。この検査によって、目に見えない歯周組織の問題を明らかにします。
治療方法
猫の口内炎の治療は、その原因や症状の重さに応じて多様なアプローチ方法があります。
歯周病が原因で口内炎が発生している場合、治療にはインターベリーなどの歯周病治療薬の使用や、歯石除去、必要に応じて抜歯を行います。これらの処置により、症状の改善が期待できます。
症状が特に重篤な場合は、猫の過剰な免疫応答を抑える目的でステロイド剤や免疫抑制剤の使用を検討することがあります。
また、猫の口内炎は、安定している時期にも定期的な口腔内のチェックとケアが非常に重要です。
さらに、基礎疾患が原因の口内炎の場合は、猫の健康状態に合わせた食事の調整と疾患に対する治療も必要となる場合があります。
予防法やご家庭での注意点
口内炎の予防には、歯磨きなどの口腔ケアを日常的に行うことが重要です。歯磨きを嫌がる猫も多くいますが、愛猫に合った口腔ケアグッズを選び、なるべく定期的にケアするようにしましょう。
歯磨きを通じて口内を観察することで、口内炎の早期発見にも繋がります。
また、血液を用いたウイルス検査を行うことで、猫エイズウイルスや猫白血病ウイルスへの感染の有無を事前に確認できます。特に、保護猫や外で暮らしたことのある猫の場合、これらのウイルスに感染している可能性も十分に考えられるため、事前に調べておくとよいでしょう。
まとめ
猫の口内炎は痛みを伴う疾患であり、猫の生活の質を著しく下げる原因となります。日々の口腔ケアを通じて、口内炎の予防および早期発見に努めましょう。
また、口臭やよだれの増加、食欲不振など、口内炎を疑うような症状が見られた場合は、早めに動物病院へ相談することをおすすめします。
千葉県市原市の動物病院なら「姉ヶ崎どうぶつ病院」
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症例
【保存版】犬猫の誤飲・誤食対応マニュアル|治療法と予防の全て
愛犬や愛猫が思いがけず危険な物を口にしてしまい、慌てて動物病院に駆け込んだ経験をお持ちの飼い主様もいらっしゃるかもしれません。こうした誤飲や誤食は、犬や猫の健康に深刻な影響を及ぼす可能性があり、どなたにも起こりうる問題です。
特に近年では室内で暮らす犬や猫が増えているため、誤飲や誤食の事故も増加していると言われています。そのため、飼い主様が日頃から注意を払い、正しい知識を持つことが大切です。
今回は、誤飲・誤食の定義や代表的な危険物の例を挙げながら、万が一の際の対処法や事故を防ぐための予防策についてわかりやすく解説します。
誤飲と誤食の違いとは?
一般的には、食べ物以外の物を誤って口にしてしまう行為を「誤食」と言います。一方で、「誤飲」は飲み物や液体に関連して使われることが多く、飲むか食べるかの行為によって使い分けられるのが特徴です。
しかし、獣医療の現場では少し異なる定義で区別されることがあります。
「誤飲」とはビニールや紐、ボタンなどの食べ物以外の異物を飲み込んでしまうことを指し、「誤食」とはチョコレートや玉ねぎ、ユリなどの食べ物や食材を誤って食べてしまうことを意味します。
誤飲・誤食が起きやすい犬や猫とは?
誤飲や誤食は特に好奇心旺盛な子犬や子猫に多く見られる傾向があります。若い頃の犬や猫は、「これは何だろう?」と口に入れて確かめようとするため、身の回りにある物が思わぬ事故の原因になることがあります。
また、食欲が旺盛な大型犬も要注意です。食べられる物かどうかを気にせず口にすることがあり、危険物を飲み込んでしまうケースも少なくありません。
犬と猫が誤食しやすい危険な物とその影響
犬や猫は、好奇心や食欲から思わぬ物を口にしてしまうことがあります。こうした誤食事故を防ぐためには、飼い主様が危険物の特性を理解し、環境を整えることが大切です。
以下では、誤食しやすい物とその危険性について詳しくご説明します。
・チョコレート
チョコレートは犬にも猫にも有害で、特にビターチョコレートやカカオ含有量の高い製品は注意が必要です。
摂取すると、興奮、震え、嘔吐を引き起こし、重症の場合は心臓発作に至る可能性があります。
・玉ねぎやネギ類
玉ねぎやネギ類は、犬にも猫にも共通して非常に危険な食材です。
これらを摂取すると、赤血球が破壊され、貧血や黄疸、最悪の場合は命に関わる状態に陥ることがあります。少量でも中毒症状を引き起こすため、料理中や食事中に注意が必要です。
・キシリトール
ガムやお菓子などに含まれるキシリトールは、犬だけでなく猫にとっても非常に危険です。摂取すると急激に低血糖を引き起こし、けいれんや昏睡状態に陥ることがあります。
・ぶどうとレーズン
ぶどうやレーズンは急性腎障害を引き起こす可能性があり、摂取量に関わらず危険です。
・ユリ科の植物(ユリ、スズランなど)
ユリ科の植物は、特に猫にとって致命的な危険性があります。葉や花粉を少し舐めただけでも急性腎障害を引き起こすことがあり、犬に対しても一部有害です。観葉植物として飾る際には、ユリ科は避けるようにしましょう。
・消臭剤、洗剤
消臭剤や洗剤を誤飲すると、消化器の炎症、嘔吐、下痢などを引き起こし、重症の場合は中枢神経障害を伴うことがあります。
・糸や紐類
特に猫は、遊び道具として糸や紐を口に入れやすい傾向があります。これらを飲み込むと腸に絡まり、腸閉塞や壊死を引き起こす可能性があります。遊び終わった後は片付けを徹底しましょう。
・ゴミ箱の中身(骨や腐った食べ物)
犬や猫がゴミ箱をあさることで、骨や腐敗した食べ物を誤食してしまうことがあります。骨は消化管を傷つける恐れがあり、腐った食べ物は食中毒の原因となるため、フタ付きのゴミ箱を使用するなどの対策を講じましょう。
すぐに病院に行くべき危険な誤飲ケース
愛犬や愛猫が危険な物を誤飲してしまったとき、迅速に正しい対応をすることが命を救うカギとなります。
特に以下のようなケースでは緊急性が高いため、すぐに行動することが必要です。
・電池を飲み込んだ場合
電池に含まれるアルカリ性化学物質は、消化管の内壁を腐食し、非常に危険な状態を引き起こします。特にボタン電池はサイズが小さく、愛犬や愛猫が誤って飲み込みやすい形状をしているため注意が必要です。
主な症状としては、嘔吐やよだれ、食欲不振、腹痛が挙げられます。これらの症状が見られた場合、放置すると消化管穿孔や内出血など命に関わる状態に発展する可能性が高まります。
・尖った物を飲み込んだ場合
針や爪楊枝、破片などの尖った物を誤飲すると、消化管や喉に刺さり、危険な状況を引き起こす可能性があります。刺さった部分では内出血が起こることがあり、さらに傷口から感染症が発生するリスクも高まります。また、動くことで体内の損傷がさらに広がる恐れがあるため、非常に注意が必要です。
症状には、嘔吐(血液が混じる場合があります)、食欲不振、便に血が混ざるなどがあります。
・紐状の物を飲み込んだ場合
ミシン糸やリボン、紐、おもちゃのゴムなどの紐状の物を誤飲すると、腸に絡まることがあり、「腸閉塞」や「腸管壊死」を引き起こす可能性があります。特に猫は紐状の物を好む習性があるため、注意が必要です。
腸に問題が生じると、繰り返し嘔吐する、便秘や下痢が続く、元気がなくなる、腹痛があるといった症状が現れることがあります。
・毒物を飲み込んだ場合
農薬や洗剤、アルコールなどの毒物は、神経系や臓器に直接ダメージを与え、短時間で重篤な症状を引き起こします。
毒物を誤飲した際に見られる主な症状としては、よだれ、震え、けいれん、ふらつき、意識消失などが挙げられます。
誤飲・誤食時の症状の違い
愛犬や愛猫が誤飲や誤食をしてしまった場合、その内容によって現れる症状や治療法が異なります。誤飲(異物)と誤食(有毒物)の違いを正しく理解し、迅速に対応することが重要です。
<誤飲(異物)による症状>
異物を飲み込んだ場合、主に消化管に関連した症状が現れます。消化管に異物が詰まると、嘔吐や食欲不振、腹痛、便秘が見られ、腸閉塞が進行することもあります。腸閉塞が重度の場合には緊急手術が必要になることもあります。また、消化管を傷つけるような物を飲み込むと、血便や血が混じった嘔吐といった症状が現れることがあります。
<誤食(有毒物)による症状>
有毒物を食べた場合は、毒物の種類によって異なる症状が現れます。
・神経系に影響する物質(チョコレート、キシリトールなど)
興奮、けいれん、意識混濁などの症状が見られることがあります。
・臓器に影響する物質(玉ねぎ、ユリなど)
嘔吐、下痢、黄疸、腎障害など、消化器系や臓器機能に関連した症状が現れることがあります。
誤飲・誤食時の治療法の違い
誤飲と誤食では、問題の原因や体への影響が異なるため、治療方法も変わります。異物は体内に存在する物理的な物質を取り除く必要があるのに対し、有毒物は体内に吸収された毒素を排出・無毒化し、症状を緩和する治療が中心となります。
<異物誤飲の治療法>
・画像診断:X線やエコーで異物の位置や大きさを確認します。
・内視鏡による除去:異物が胃内にとどまっている場合、内視鏡で除去することが可能です。
・外科手術:異物が消化管に進行している場合や内視鏡で取り出せない場合は、外科手術が必要になることもあります。
・自然排出:異物が小さく、害が少ない場合には自然に排出されるのを待つこともあります。ただし、この場合でも経過観察が必要です。
<有毒物誤食の治療法>
・催吐処置:誤食直後であれば、胃の内容物を吐き出させる処置を行います。
※ただし尖ったもの(竹串、骨、針など)、強アルカリ性(洗剤など)のものは催吐させることができないため要注意
・解毒処置:活性炭などを用いて毒物の吸収を抑える処置が行われます。
・輸液治療:腎臓や肝臓を保護し、毒素を体外へ排出するために点滴治療を実施します。
・対症療法:症状に応じてけいれんを抑える薬や鎮静剤を使用し、症状の緩和を目指します。
<動物病院での一般的な治療の流れ>
誤飲や誤食が疑われる場合、動物病院では以下のような手順で対応が進められます。
1.問診
誤飲・誤食した物の種類、量、時間を確認します。可能であれば、誤飲した物を持参してください。
2.診断
・血液検査:有毒物が全身に及ぼしている影響を評価します。
・画像診断:X線やエコーで異物の位置や大きさを確認します。
3.治療
・異物の場合は内視鏡や手術による摘出が行われます。
・有毒物の場合は解毒、輸液治療、対症療法が実施されます。
4.経過観察
治療後も、数日間は症状がぶり返さないか慎重に経過を観察する必要があります。
誤飲・誤食時の正しい応急処置
愛犬や愛猫が誤飲や誤食をしてしまった場合、飼い主様の冷静で迅速な対応が命を救うカギとなります。ただし、間違った処置をすると症状を悪化させる可能性があるため、適切な対応を心がけましょう。
① 状況を確認する
何をどのくらいの量、いつ誤飲・誤食したのかを確認します。包装紙や残りの物がある場合は保管し、後で獣医師に見せられるように準備しましょう。
② 動物病院に連絡する
誤飲や誤食が確認できたらすぐに動物病院に電話をし、状況を詳しく説明します。誤飲した物を持参する旨を伝えると診察がスムーズに進みます。
もし、かかりつけの病院が閉まっている場合は、緊急対応可能な施設を探し、対応を仰ぎましょう。
③ 安全な環境を確保する
誤飲・誤食後は愛犬や愛猫を落ち着かせ、無理に動かさないようにします。特に呼吸が乱れている場合やけいれんが見られる場合は、緊急対応が必要です。
④ 病院に到着するまでの準備
動物病院に向かう際には、愛犬や愛猫が安定した姿勢を保てるようにし、移動中に余計な刺激を与えないよう注意します。
また、移動中でも状態を観察し、異常があれば病院に到着次第すぐに伝えられるよう準備しておきます。
<獣医師に伝えるべき情報>
診察をスムーズに進めるために、以下の情報を正確に獣医師に伝えることが重要です。
・何を飲み込んだか:食品、化学物質、異物などの、誤飲・誤食した物の名前
・いつ飲み込んだか:約30分前、数時間前など
・どのくらいの量か:チョコレート1片、電池1個など
<無理に吐かせることは控えましょう>
尖った物(針や爪楊枝など)や腐食性の物(洗剤や電池など)を吐かせると、食道や口腔をさらに傷つける可能性があります。
また、吐いた物が気管に入ることで誤嚥を引き起こし、窒息やさらなる健康被害を招く恐れもあります。
吐かせるかどうかの判断は、必ず獣医師に相談してから行う必要があります。誤飲・誤食した物の種類や状況によって、吐かせることでかえって危険を伴う場合があるため、自己判断での処置は控えましょう。
誤飲・誤食を防ぐための予防対策
日常的に安全な環境を整えることで、誤飲・誤食のリスクを大幅に減らすことが可能です。
<室内の危険物の片付け方と収納方法>
・小物の管理
ゴム製品、針、爪楊枝、消しゴムなどの小さな物は、愛犬や愛猫が届かない引き出しや収納ボックスに保管してください。散らかさない習慣をつけることで、思わぬ事故を防げます。
・ゴミ箱の管理
フタ付きのゴミ箱を使用し、愛犬や愛猫がゴミ袋を引っ張り出せないように工夫しましょう。特に食品の廃棄物がある場合は注意が必要です。
・キッチンの整理
チョコレートや玉ねぎなどの危険な食品は、愛犬や愛猫が届かない高い場所や密閉容器に保管してください。キッチン全体を整理整頓し、調理中も愛犬や愛猫が近づかないようにしましょう。
・有毒な観葉植物は置かない
ユリやポトスなど、有毒な植物は愛犬や愛猫がアクセスできない場所に移動するか、家庭内での使用を避けてください。有毒植物のリストを確認し、安全な種類のみを選ぶことが大切です。
<犬種や猫の特性に応じた注意点>
・犬の場合
大型犬は届く範囲が広いため、テーブルやカウンター上に置いた物にも注意が必要です。危険物はしっかりと片付け、目の届く範囲での管理を徹底しましょう。
一方で、小型犬は床に落ちている小さな物(ボタンや小石など)を誤飲する可能性が高いため、床に物を置かない習慣をつけることが重要です。
・猫の場合
猫は高い場所に登る能力があるため、棚やカウンターの上にも危険物を置かないようにしてください。
特に紐や糸状の物には興味を示しやすいため、遊び道具として使用する際は目を離さず、安全に使用しましょう。
<SNSで流行している「ちゅーるアイス」などへの注意>
凍ったちゅーるやその容器は、誤飲や内臓損傷の原因になる可能性があります。硬い部分や尖った容器の角が愛犬や愛猫の体を傷つける恐れがあるため、与えるのは避けましょう。
凍らせたちゅーるを与える場合は、容器を使用せず、適切な食器に盛り付けてください。
まとめ
誤飲や誤食は、愛犬や愛猫にとって命に関わる大きな事故につながることがあります。そのため、飼い主様が日頃から注意を払い、適切な対策を取ることが何よりも大切です。
万が一誤飲や誤食が起きた場合は、まず落ち着いて状況を確認し、飲み込んだ物の種類や量、時間をしっかり把握しましょう。
ただし、自己判断で無理に吐かせることはかえって危険を招く可能性があるため、必ず動物病院に連絡し、獣医師の指示に従ってください。
もし不安なことや疑問があれば、早めにかかりつけの獣医師に相談し、正しい知識を持って対応することが大切です。
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症例
愛犬の認知症サインに気づいている?|症状の見分け方と対処法を徹底解説
「最近、夜中に愛犬が頻繁に鳴く」「トイレの失敗が増えてきた」など、これまでとは違う高齢犬の行動に戸惑っている飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか?
こうした変化は、認知機能不全症(犬の認知症)のサインである可能性があります。
近年、犬の寿命が延びていることにより愛犬と長く一緒に暮らせる喜びが増える一方で、高齢化に伴う健康問題に直面することも多くなっています。
認知機能不全症もその一つで、適切なケアを行うことで症状を緩和し、愛犬との生活をより快適にすることができます。
今回は、認知機能不全症の早期発見のポイントと、症状に合わせたケア方法を詳しく解説します。
犬の認知機能不全症とは?
認知機能不全症とは、脳の老化によって記憶力や認知力、行動に変化が表れる疾患です。人間の認知症に似た特徴を持ちますが、犬の場合は特に行動や生活習慣の変化として表れることが多いのが特徴です。
<発症しやすい年齢と犬種>
認知機能不全症は7~8歳以上の高齢犬で発症リスクが高まり、特に12歳以上になると顕著に表れる傾向があります。
また、認知機能不全症は、特定の犬種で発症しやすい傾向が報告されています。
特に柴犬や秋田犬などの日本犬で多いとされていますが、小型犬ではトイプードルやチワワ、ダックスフンド、大型犬ではゴールデンレトリーバーやラブラドールレトリーバーなど、犬種を問わず注意が必要です。
しかし、どの犬種でも高齢になると発症リスクが高まるため、愛犬の行動や生活習慣の変化を見逃さず、早めに対応することが大切です。
認知機能不全症の主な症状
認知機能不全症の症状は日常生活の中で徐々に表れるため、「加齢による変化」と見過ごされがちです。
以下では代表的な症状とその理由、正常な加齢現象との違いについて解説します。
・夜鳴き
認知機能不全症の犬は、昼夜の区別がつきにくくなるため、不安や混乱を感じて夜中に突然吠えたり、理由もなく鳴いたりすることがあります。この症状は、脳内のホルモンバランスの変化も影響していると考えられています。
■正常な加齢との違い
加齢による夜鳴きは、物音や外部からの刺激に反応して吠えることが多いのに対し、認知機能不全症では静かな環境でも理由なく鳴き続けることが特徴です。
・トイレの失敗が増える
認知機能不全症の犬は、トイレの場所を忘れてしまったり、いつもと違う場所で排泄してしまったりすることがあります。これは記憶力の低下や、排泄を我慢する能力の衰えが原因です。また、身体の感覚が鈍くなることも影響しています。
■正常な加齢との違い
加齢によるトイレの失敗は「トイレに行くまでに間に合わない」ことが多いですが、認知機能不全症ではトイレの場所を認識できなくなったり、使い方を忘れてしまったりすることが特徴です。
・反応が鈍くなる
名前を呼んでも振り向かない、撫でても反応が薄いといった変化が見られる場合があります。記憶力の低下により、飼い主様や家族を認識しにくくなることが原因です。
■正常な加齢との違い
加齢の場合は一時的に気づかないことがある程度ですが、認知機能不全症では常に反応が鈍い状態が続きます。
・徘徊や混乱
認知機能不全症の犬は、周囲の環境や状況を認識できなくなり、不安感から部屋の中を無目的に歩き回ったり、普段とは違う方向に進んでしまったりすることがあります。これらの行動は、脳の認知機能の低下が主な原因です。
・食事の変化
食事に興味を示さなくなることがあります。これは、食欲や食事への認識が低下しているためで、嗅覚や味覚の変化とも関連しています。
早期発見のためのチェックリスト
認知機能不全症は、早期に発見し適切なケアや治療を行うことで、愛犬の生活の質を大きく向上させることができます。日常的に以下の項目をチェックし、愛犬の行動や生活リズムに変化がないか確認してみましょう。
愛犬の行動記録で分かる小さなサイン
愛犬の行動の変化は、飼い主様が最も早く気づけるポイントです。その変化を日記やアプリに記録することで、獣医師に正確な情報を伝えられるだけでなく、症状の進行や改善をモニタリングする際にも役立ちます。
<記録するべき内容>
・行動や症状が始まった日時
例:〇月〇日、夜中に初めて理由もなく鳴き始めた。
・具体的な症状や頻度
例:夜鳴きが週に3回、トイレの失敗が毎日見られる。
・日常生活での変化
例:食欲が低下し、好きだった遊びへの興味を失った。
疑わしい症状が出た場合の対応方法
愛犬に認知機能不全症の可能性が疑われる症状が見られたときは、早急かつ適切に対応することが重要です。
・まずは冷静に観察
突然の行動の変化に驚くかもしれませんが、焦らず冷静に愛犬の様子を観察してください。行動や症状の内容、頻度、発生した日時を記録することで、獣医師に状況を正確に伝えることができます。
・獣医師に相談
観察と記録を基に、かかりつけの獣医師に相談しましょう。電話で事前に症状を説明し、診察が必要か確認するのも効果的です。
記録に基づいて症状を具体的に伝えることで、適切な診断と治療につながります。
診断方法
認知機能不全症の診断では、他の疾患(脳腫瘍や甲状腺疾患など)との区別が重要です。そのため、以下のような流れで診断が進められます。
1.問診
飼い主様が記録した愛犬の行動の変化や症状を基に、詳細な問診が行われます。この段階で、日常の行動や生活リズムの変化について具体的に伝えましょう。
2.身体検査
神経学的検査や身体全体の健康状態を確認します。認知機能不全症に似た症状を引き起こす他の疾患がないかを調べます。
3.血液検査・尿検査
内分泌系や代謝異常の有無を調べるため、血液検査や尿検査を行います。甲状腺疾患や糖尿病など、類似の症状を引き起こす疾患を除外する目的があります。
4.画像診断(CT、MRI)
必要に応じて、脳腫瘍や脳内の構造的異常がないかを確認するため、CTやMRI検査を実施します。
治療法
認知機能不全症に特効薬はありませんが、適切な治療を行うことで症状を緩和し、進行を遅らせることが可能です。
国内ではあまり使用例がないものの、米国では人間用のパーキンソン病治療剤であるセレギリンが治療に用いられるケースもあります。
また、抗酸化作用を持つ成分を含んだサプリメントが治療の補助になる場合もあります。例えば、オメガ3脂肪酸やビタミンEなどは、脳の健康をサポートすると考えられています。これらの成分は、認知機能を維持するための補助的な手段として活用されています。
治療効果や予後
認知機能不全症は進行性の疾患ですが、適切な治療とケアを行うことで症状が緩和されるケースが多く見られます。
特に、夜鳴きやトイレの失敗といった困難な症状が軽減されることで、愛犬と飼い主様双方の生活の質が大きく向上することがあります。また、治療によって愛犬の混乱や不安が和らぎ、より穏やかに過ごせるようになるでしょう。
認知機能不全症は完全に治癒する疾患ではありませんが、早期発見と治療の継続により、症状の進行を遅らせることが可能です。適切なケアを続けることで、愛犬がより快適で穏やかな日々を送ることが期待できます。
日常生活でのケア方法
認知機能不全症を持つ犬でも、適切なケアや工夫を行うことで症状の進行を遅らせ、生活の質を向上させることが可能です。
ここでは、環境整備、食事と運動、認知機能を維持するためのケアに分けて具体的な方法を解説します。
<環境整備の具体的な方法>
・生活環境をシンプルに整える
愛犬が迷わずに移動できるよう、家具の配置は固定しておきましょう。環境の変化は愛犬にとって大きなストレスや混乱の原因となるため、必要以上の模様替えはできるだけ避けるのがおすすめです。
・段差や滑りやすい床の対策
滑りやすい床には滑り止めマットを敷いたり、階段やソファなど高い場所へのアクセスを制限したりする工夫が効果的です。こうした対策は、足腰への負担を減らし、愛犬が安心して移動できる環境づくりにつながります。
・夜間の視覚を補助する工夫
夜間は真っ暗にしすぎず、優しい照明を使用して愛犬が安心できる空間を作りましょう。わずかな明かりでも、視覚の助けとなり不安を軽減できます。
・安心できるスペースの確保
愛犬がストレスを感じたときや疲れたときに安心して過ごせる専用のスペースを用意することも大切です。
<食事>
愛犬の健康を支えるためには、年齢や体調に合わせた適切な食事を選ぶことが大切です。高齢犬には、高齢犬用のフードや認知機能をサポートする療法食、サプリメントを検討しましょう。
・トライザ(TRIZATM):抗酸化作用や脳機能をサポートする成分を含むサプリメントです。
・ニューロケア(Pro Plan NeuroCare):認知機能をサポートするために設計された療法食です。
<認知機能を維持するための工夫やケア>
・適度な運動
短い散歩や遊びは、脳を刺激し筋力を保つだけでなく、ストレスの軽減にもつながります。
ただし、愛犬が無理をしないように、体調に合わせて運動の時間や頻度を調整することが大切です。
・ コミュニケーションの時間を大切に
飼い主様との触れ合いは、愛犬にとって何よりも安心できるひとときです。優しく撫でたり、一緒に遊んだり、話しかけることで、愛犬の脳を活性化させることができます。
・規則正しい生活リズムを整える
愛犬が穏やかで安定した毎日を過ごすには、生活リズムを整えることが大切です。食事や散歩、休息の時間を毎日同じスケジュールで行うことで、愛犬が安心して過ごせる環境が整います。
認知機能不全症を予防するためにできること
愛犬の認知機能不全症を予防するには、若い頃からのケアがとても大切です。ここでは、日常生活に取り入れやすい方法をご紹介します。
<若い頃から始めるケア>
・適度な運動を習慣にする
若い頃から運動を続けることで脳への血流が良くなり、認知機能の低下を防ぐことが期待できます。毎日の散歩や遊びなど、愛犬が楽しめる運動を取り入れてみてください。
・生活に適度な刺激をプラス
新しい環境や音、匂いを取り入れると、愛犬の脳が活性化します。新しいおもちゃで遊んだり、普段とは違う散歩コースを試してみたりするのも効果的です。
<食事やサプリメントでサポート>
・栄養バランスを意識する
DHAやEPAなどのオメガ3脂肪酸を含むフードは、脳の健康維持に役立ちます。栄養バランスの良い食事を心がけて、愛犬の健康をサポートしましょう。
・サプリメントや療法食の活用
トライザなどの脳の健康をサポートするサプリメントや、ニューロケアのような高齢犬向けに設計されたフードもおすすめです。これらは、認知機能の低下を防いだり、進行を遅らせたりする効果が期待できることがあります。
詳しくは獣医師に相談して、愛犬に合ったものを選んでみましょう。
・高齢期に合わせた食事管理
年齢に合ったフードや適切な体重管理も、認知機能不全症の予防に大切です。特に高齢犬には、消化に優しく栄養バランスの整ったフードを選ぶようにしましょう。
<定期的な健康診断を心がける>
・若い頃からの診断を習慣に
若い頃は年に1回、高齢犬になったら半年に1回の健康診断を受けることで、早めに異変に気づけます。
・早期発見で治療をスムーズに
認知機能不全症も、早い段階で気づくことで進行を抑える治療が可能です。普段から愛犬の様子を観察し、気になることがあれば獣医師に相談しましょう。
まとめ
認知機能不全症は高齢犬にとって避けられない課題のひとつですが、日々の工夫や適切なケアによって、その影響を最小限に抑えることができます。
生活環境を整え、バランスの良い食事や適度な運動、知的な刺激を取り入れることで、愛犬の生活の質を守りましょう。
また、若い頃から健康診断や適切な栄養を心がけることで、愛犬の健康を長く支えることができるでしょう。
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愛犬・愛猫のための腸活ガイド|腸内環境を整えて毎日を元気に
最近では、犬や猫の健康を支える方法として「腸活」が注目されています。
腸内環境を整える腸活は、愛犬や愛猫が元気で健やかな毎日を過ごすための重要なカギとなります。
腸はただ栄養を吸収するだけでなく、体を守る免疫機能を支える重要な役割も担っています。そのため、腸内の状態が健康に与える影響はとても大きいといえます。
よく耳にする「腸内フローラ」とは、腸の中に住むさまざまな微生物の集まりを指します。
この微生物には、健康をサポートしてくれる「善玉菌」と、増えすぎると不調を引き起こす「悪玉菌」が含まれています。
腸内環境が整うためには、この二つのバランスがとても重要です。このバランスが保たれていると、腸が元気に働き、体全体の健康を守る力が高まります。
今回は、腸内環境が愛犬や愛猫の健康にどのように影響するのか、さらに具体的な腸活の方法についてわかりやすく解説します。
なぜ犬や猫に「腸活」が必要なの?
現代の犬や猫は私たち人間と同じように、さまざまな要因で腸内環境が乱れやすくなっています。その背景には、日々の生活習慣や環境が大きく影響していると考えられます。
以下に、その主な理由をご紹介します。
・ストレスが腸に与える影響
引っ越しや家族構成の変化、新しいペットを迎え入れるといった環境の変化は、飼い主様にとっては小さなことでも、愛犬や愛猫にとっては大きなストレスとなる場合があります。こうしたストレスは腸の働きを低下させ、消化不良や便通の乱れを引き起こすことがあります。
・運動不足による腸の動きの低下
特に室内で過ごす時間が長い犬や猫は、運動不足になりがちです。運動不足になると、腸の蠕動運動(ぜんどううんどう:腸がリズミカルに動いて消化物を送る動き)が鈍くなり、便秘や消化不良の原因となります。適度な運動は、腸を健康に保つためにも欠かせません。
・偏った食事や不適切なフード
高脂肪や添加物の多いフードを食べ続けていると、腸内の悪玉菌が増えやすくなります。
また、野菜や穀物に含まれる食物繊維が不足している場合も、腸内環境が悪化しやすくなります。愛犬や愛猫の健康を守るためには、バランスの良い食事を意識することが大切です。
腸内環境の乱れが引き起こす症状
腸内環境が乱れると、以下のような症状が現れることがあります。
・下痢や便秘
腸内のバランスが崩れると消化吸収がスムーズに進まなくなり、腸内で異常発酵が起こることがあります。その結果、便がゆるくなったり、逆に排便が滞ったりといった問題が見られるようになります。
・食欲不振
腸が不調になると、食欲が低下することがあります。
・皮膚トラブル
腸内環境の悪化は免疫機能にも直接影響します。そのため、皮膚がかゆくなったり、赤く炎症を起こしたりといった皮膚トラブルが起こることがあります。
・全身のだるさや元気消失
腸内環境が乱れると栄養の吸収効率が悪くなり、エネルギー不足に陥ることがあります。その結果、愛犬や愛猫がいつもより元気がない、動きたがらないといった様子を見せることがあります。
年齢による腸内環境の変化とケアの重要性
腸内環境の乱れは、愛犬や愛猫の年齢によっても影響の受け方が異なります。
<子犬・子猫期>
この時期は免疫機能が未熟で、腸内フローラもまだ安定していません。そのため、体調を崩しやすい時期といえます。腸活を意識して、腸内環境を整える習慣をつけることが健康な成長を支えるポイントとなります。
<シニア期>
シニア期に入ると、腸の働きが次第に鈍くなり、便秘や栄養吸収不足が目立ちやすくなります。このため、年齢に合わせたフードの選択や腸をサポートするケアが必要です。
さらに、季節の変化や住環境の違いも、腸内環境に影響を与えることがあります。例えば、寒暖差や湿度の変化が腸の働きを鈍らせることがありますし、急な環境の変化がストレスとなり腸内バランスを崩すこともあります。
犬と猫では腸活の方法が違うの?
犬と猫は食性や消化器系の特徴には大きな違いがあり、腸活の方法もそれに合わせて工夫する必要があります。ここでは、犬と猫の消化器系の特徴と、それぞれの腸活のポイントを詳しくご紹介します。
<犬の消化器系の特徴と腸活のポイント>
犬は雑食性で、肉類を中心に穀物や野菜も消化できる柔軟な消化器系を持っています。ただし、消化能力には限界があるため、すべての食品が適しているわけではありません。そのため、犬の腸活ではバランスを意識することが大切です。
■腸活ポイント
・バランスの良い食事
肉類を基本にしつつ、ビタミンやミネラルを含む食材を適度に取り入れましょう。ただし、穀物や野菜を与える場合は、量や種類に注意が必要です。
・食物繊維の摂取
消化を助けるため、食物繊維を適度に含む食材を取り入れると良いでしょう。サツマイモやカボチャなどがおすすめです。
・定期的な運動
散歩や遊びで体を動かすことは、腸の蠕動運動を活性化させ、便秘や消化不良を防ぎます。
<猫の消化器系の特徴と腸活のポイント>
一方、猫は肉食性が非常に強く、たんぱく質や脂質を主な栄養源とします。穀物や植物性食品を消化する能力は犬よりも低いため、腸活では食事内容の見直しが特に重要です。
■腸活ポイント
・高たんぱく・低炭水化物の食事
猫の健康な腸内環境を保つには、肉や魚を中心としたたんぱく質豊富な食事が適しています。炭水化物を控えることで腸の負担を軽減できます。
・水分補給の工夫
猫は自発的に水を飲むことが少ないため、便秘を防ぐには工夫が必要です。
新鮮な水を常に用意し、飲みやすい環境を整えることが大切です。例えば、複数の部屋に水を置いたり、動く水が好きな猫にはペット用のウォーターファウンテンを使ったりする工夫も効果的です。
・環境の安定
猫はストレスに敏感です。環境が変化すると腸内環境が乱れやすいため、安心して過ごせる場所や落ち着けるスペースを確保してあげましょう。
犬や猫の腸活におすすめの方法
腸活は、普段の生活に少し工夫を加えるだけで効果を期待できます。
以下に具体的な腸活方法をご紹介します。
<プロバイオティクスとプレバイオティクスを取り入れる>
プロバイオティクスとは、腸内環境を整える善玉菌そのものを指します。腸内に直接善玉菌を届けることで、バランスを整える効果が期待できます。
例:乳酸菌、ビフィズス菌
一方、プレバイオティクスは善玉菌のエサとなる成分で、善玉菌を増やすサポートをします。腸内で善玉菌が活発に働けるように助けてくれる重要な存在です。
例:オリゴ糖、食物繊維
これらを含むサプリメントや、腸内環境を考慮して作られた特別なペットフードを取り入れることで、腸内の健康維持を目指しましょう。与える際は、愛犬や愛猫の体調や年齢に合わせた適量を心がけてください。
<サプリメントの活用>
腸活に役立つサプリメントは、毎日のケアに取り入れやすい便利なアイテムです。
姉ヶ崎どうぶつ病院が認定病院となっている「ファイナルアンサー」は、犬や猫の腸内環境をサポートするために科学的な視点で開発されたサプリメントです。
このサプリメントは、信頼できる科学的根拠に基づいて厳選された成分で構成されており、腸内フローラを整える働きをしてくれます。腸の健康を意識したケアを始めたい方にとって、安心して使用できる選択肢といえるでしょう。
詳しい情報やご購入については、ファイナルアンサー公式サイトをご覧ください。
また、疑問があればぜひ当院にお気軽にご相談ください。
腸活を始める前に知っておきたいポイント
腸活は、愛犬や愛猫の健康をサポートするためにとても効果的ですが、正しい方法で進めなければ逆効果になることもあります。以下の注意点を参考に、安全かつ効果的に腸活を始めてみましょう。
<急な食事の変更は避けましょう>
犬や猫の消化器官は私たち人間と比べて非常に敏感です。急に食事内容を変えると、消化不良を起こし、下痢や嘔吐といった症状が出ることがあります。
新しいフードを導入する際は、1週間ほどかけて徐々に混ぜる割合を増やし、体を慣れさせていきましょう。
■おすすめの方法
・初日は新しいフードを10%程度混ぜる
・3日目以降、徐々に割合を増やし50%に
・1週間後を目安に完全に切り替える
<サプリメントの過剰摂取に注意>
腸活をサポートするサプリメントは便利で効果的ですが、与えすぎると体調を崩す原因になることがあります。
■適切な使用方法
・必ず製品に記載されている推奨量を守ること
・複数のサプリメントを併用する場合、成分が重複していないか確認する
<下痢や便秘が続く場合は要注意>
腸活を始めても以下のような症状が続く場合は、腸内環境が乱れている可能性がありますので、すぐに動物病院を受診しましょう。
・下痢が2~3日以上続く
・便秘が1週間以上続く
・便に血液や粘液が混じる
<かかりつけの獣医師に相談を>
腸活を始める前に、愛犬や愛猫の体質や健康状態についてかかりつけの獣医師に相談することがとても重要です。獣医師のアドバイスを受けることで、より効果的で安全な腸活を行うことができます。
■相談のポイント
・現在の腸内環境や体調について詳しく診てもらう
・腸活に適した食事やサプリメントを提案してもらう
・長期的な腸活プランを立ててもらう
腸活は小さな一歩から始めることが大切です。注意点を守りながら、無理のない範囲で進めていきましょう。もし不安があれば、まずは獣医師に相談してみてください。
まとめ
愛犬や愛猫の腸内環境を整えることは、健康を守るための大切なステップです。腸活を続けることで、免疫力の向上や便秘・下痢の改善だけでなく、全身の健康をしっかりと支えることができます。
ただし、腸内環境の改善は一朝一夕で成果が出るものではありません。長期的な視点で、日々のケアをコツコツと続けることがポイントです。また、腸活を始める際や、腸内環境について不安がある場合は必ずかかりつけの獣医師に相談し、アドバイスを受けるようにしましょう。
■消化器に関する記事はこちらから
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症例
愛猫の排尿トラブルに要注意!症状別の原因と適切な対処方法|早期発見が重要
もし愛猫がトイレで苦しそうな様子や、いつもより頻繁にトイレに行く姿を見かけたら、それは身体からのSOSサインかもしれません。
近年、猫の排尿トラブルは増加しており、特に寒い季節は注意が必要です。
代表的な排尿トラブルには、尿路結石や膀胱炎などがあります。これらの疾患は、早期に発見して適切に治療を行うことで重症化を防げますが、放置してしまうと命に関わる深刻な状態に進行することもあります。
今回は、猫の排尿トラブルのサインや原因、適切な対処方法について解説します。
気をつけたい!猫の排尿トラブルのサイン
猫は体調の変化を隠す習性があるため、排尿トラブルの早期発見には飼い主様の観察力がとても大切です。
普段と違う行動や様子が見られた場合は以下のようなサインに注意し、すぐに動物病院を受診しましょう。
・トイレの回数が増えた、または減った
猫がいつもより頻繁にトイレに行く、または全くトイレに行かなくなる場合、それは体調の異常を示すサインかもしれません。
頻繁にトイレに行く「頻尿」の場合は、膀胱炎や尿路結石の可能性が考えられます。
一方、排尿の回数が極端に減った場合や、全く排尿できない場合には、尿路閉塞のような緊急性の高い疾患が疑われます。
・排尿時の鳴き声
トイレで苦しそうな声をあげたり、鳴き声が高くなったりする場合は排尿時に痛みを感じている可能性があります。これは膀胱炎や尿路結石などのサインとして疑われます。
・血尿
尿に血が混じっている場合は、膀胱や尿道で炎症が進行している可能性があります。
・トイレ以外での排尿(トイレの失敗)
普段はトイレで排尿していたのに、別の場所で排尿してしまう場合、膀胱炎などの影響でトイレが苦痛になっている可能性があります。
また、環境の変化やストレスが原因となっている場合も考えられます。
・トイレに長時間こもる
トイレに入ったまま出てこない場合は、尿が出ない状況が疑われます。特にオス猫は尿路閉塞を起こしやすいので注意が必要です。
・お腹の張り
尿が排出できず膀胱が膨れ上がると、お腹が硬く張ることがあります。
・その他の行動変化
排尿トラブルが原因で、食欲低下、ぐったりしている、または隠れるといった行動が
見られることもあります。
なぜ猫は排尿トラブルになりやすいの?
猫が排尿トラブルを抱えやすいのは、猫特有の生理的な特徴と、生活環境やストレスなどの要因が深く関係しています。
<猫特有の生理的な特徴>
猫は祖先が砂漠地帯で生活していた影響で、あまり水を飲まずに体内の水分を効率的に使う能力が発達しています。このため、尿を濃縮する仕組みが備わっていますが、その影響で尿中のミネラルが結晶化しやすくなり、尿路結石や膀胱炎のリスクを高める一因となっています。
さらに、雄猫は特に尿道が細長く狭い構造をしているため、尿路閉塞を起こしやすい傾向があります。尿路に結晶や炎症ができると、排尿が困難になることがあります。
<年齢や性別、生活環境が影響>
猫の年齢や性別、そして飼育環境も排尿トラブルに大きく関与します。
・年齢
高齢猫では腎臓の機能が低下しやすく、尿の生成や排出に問題が生じることがあります。腎臓の健康は排尿トラブルの予防に直結するため、年齢に応じたケアが重要です。
・性別
雄猫は尿道が狭く長いため、尿路閉塞を起こしやすい傾向があります。一方、雌猫は尿道が短く、細菌が膀胱に入りやすいため、膀胱炎が進行しやすいことが特徴です。
・室内飼育
室内飼育の猫では、運動不足やトイレ環境が原因となって排尿トラブルが起こることがあります。例えば、トイレが清潔ではない場合や、設置場所が猫にとって快適でない場合、トイレを避けてしまうことがあります。
<ストレスや食事も影響>
猫は環境の変化に非常に敏感です。例えば、新しい家族が増えたことや、家具の配置が変わったり、引っ越しをしたりすることがストレスの原因となることがあります。このようなストレスが蓄積すると、膀胱炎などの排尿トラブルを引き起こすことがあります。
また、食事の内容も猫の健康に大きく影響します。特に高マグネシウムのドライフードや、ミネラル分が多すぎる食事を続けていると、尿路結石の原因となる場合があります。
排尿トラブルの種類と主な症状
猫の排尿トラブルは早期発見と適切な治療が非常に重要です。ここでは、代表的な疾患ごとの症状と注意点を解説します。
・膀胱炎
膀胱炎は、猫に比較的よく見られる排尿トラブルの一つです。頻尿、血尿、トイレで長時間過ごすものの少量しか尿が出ない、排尿時に鳴くといった症状が現れます。
特にストレス性膀胱炎では、ストレスの原因を取り除き、生活環境を整えることが治療の鍵となります。
放置すると慢性化する可能性があるため、早期の対応が大切です。
・尿路結石
尿路結石は、尿中のミネラルが結晶化し結石になることで発生します。症状としては、頻尿、排尿困難、血尿、尿が出た後の残尿感などが挙げられます。
結石が進行して尿道を塞ぐと命に関わる尿道閉塞に発展することもあるため、細かなサインを見逃さないことが重要です。
・尿道閉塞(特に雄猫に多い)
尿道閉塞は、特に雄猫に多く見られる緊急性の高い疾患です。トイレに行っても尿が出ない、痛みで鳴く、吐く、食欲不振、ぐったりするなどの症状が見られることがあります。
この状態を放置すると数時間以内に命を落とす危険があるため、直ちに動物病院を受診する必要があります。
・その他の疾患
排尿トラブルには、以下のような疾患が関連している場合もあります。
・慢性腎臓病:腎機能の低下が尿の生成や排出に影響を与えることがあります。
・腫瘍性疾患:膀胱腫瘍などが膀胱炎や尿道閉塞を引き起こす原因となることがあります。
家でできる予防対策とは?
猫の排尿トラブルを予防するためには、日常生活での小さな工夫が非常に重要です。
水分摂取を促すことや、適切なトイレ環境を整えること、さらにはストレスを軽減する取り組みが、愛猫の健康を守るための鍵となります。
<水分摂取を促す工夫>
猫が十分な水分を摂取できるように、いくつかの方法を試してみましょう。
まず、家の中に水飲み場を複数設置することがおすすめです。猫は1カ所にまとめられた水飲み場よりも、複数の場所に分散された水飲み場を好む傾向があります。2~3カ所以上、水を飲める場所を用意してあげるとよいでしょう。
また、自動給水器を使うのも効果的です。自然の流水を好む猫は、静止した水よりも循環する水に興味を示すことが多く、自動給水器を使うことで水を飲む量が増えることが期待できます。
さらに、ウェットフードを取り入れるのも有効な方法です。ウェットフードはドライフードに比べて水分を多く含んでいるため、食事から自然に水分を摂取できます。
ドライフードと混ぜて与える「ミックスフィーディング」も、水分摂取量を増やすための工夫としておすすめです。
<適切なトイレ環境の整備>
トイレ環境の整備も、排尿トラブルを防ぐために重要なポイントです。
猫は清潔なトイレを好むため、1日1~2回を目安に掃除を行い、常に清潔さを保つように心がけてください。汚れたトイレを嫌がって排尿を我慢してしまうと、膀胱炎などの原因になることがあります。
多頭飼いの場合は、猫の頭数より1つ多いトイレを用意することで、トイレの取り合いによるストレスを軽減できます。
また、トイレの形状や砂の種類を見直し、猫の好みに合ったものを選ぶことも大切です。さらに、トイレは静かで人の通りが少ない場所に設置し、猫が安心して使える環境を作りましょう。
<ストレス軽減のための環境づくり>
猫がストレスを感じない環境を整えることも、排尿トラブルの予防につながります。適度な運動を促すために、キャットタワーやおもちゃを使って遊ぶ時間を作ることが効果的です。遊びはストレス解消だけでなく、健康維持にも役立ちます。
さらに、猫が安心して過ごせる静かなスペースを確保することも大切です。お気に入りのブランケットやベッドを用意し、落ち着いてリラックスできる居場所を用意してあげましょう。
いつ動物病院に行くべき?
猫の排尿トラブルは、軽度の症状でも放置すると命に関わる深刻な状態に発展することがあります。早期対応が重要なため、次のような症状が見られた場合は、速やかに動物病院を受診してください。
・排尿が全くできない場合
これは緊急事態です。特に雄猫では尿道閉塞の可能性が高く、放置すると膀胱の破裂や、命に関わる状態に陥る恐れがあります。
・血尿が見られる場合
トイレの砂が赤く染まる、または尿に血が混ざっている場合は、膀胱炎、尿路結石、膀胱腫瘍などの疾患が疑われます。
・排尿時に鳴く、または痛がる場合
排尿時に苦しそうな声を出す、排尿後もトイレでじっとしている場合は、痛みを伴う疾患が隠れている可能性があります。
・ぐったりしている場合
排尿トラブルが原因で全身の体調が悪化している可能性があります。
排尿トラブルは、早めに治療を始めることで予後が大きく改善します。愛猫に普段と違う様子や異変を感じたら、迷わず動物病院に相談しましょう。
さらに、定期的な健康診断は病気の早期発見にとても役立ちます。特にシニア期に入った猫や既往症のある猫の場合、最低でも年に1~2回を目安に健康診断を受けることで、大きな病気を未然に防げる可能性が高まります。
まとめ
猫の排尿トラブルは、些細な変化に見えても深刻な病気のサインである場合があります。そのため、日常的に愛猫の様子をよく観察し、普段と違う行動や体調の変化に気づけるようにすることが大切です。
また、トラブルを防ぐためには、水分摂取を促す環境を整えたり、清潔で使いやすいトイレを用意したりするなどの工夫が必要です。
さらに、ストレスを軽減できるような生活環境を整えることも、愛猫の健康維持に大きく役立ちます。
日々の適切なケアと観察を続けることで、愛猫が快適で健康的な暮らしを送れるようにサポートしていきましょう。
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症例
猫の肥大型心筋症とは?|早期発見のポイントと治療法を獣医師が解説
猫の肥大型心筋症(HCM)は、猫で最も多く見られる心臓病で、飼い主様にとって気づきにくい病気です。愛猫が元気そうに見えるときでも、肥大型心筋症が進行していることがあり、早めの対処が必要です。
今回は、肥大型心筋症の概要や症状、原因、治療方法について解説します。
また、日頃の観察や定期検査を通して早期発見につなげるためのポイントもご紹介しますので、大切な愛猫の健康管理のために、ぜひお役立てください。
肥大型心筋症とは?症状と原因を理解しよう
肥大型心筋症(HCM)とは、心臓の筋肉が異常に厚くなる病気で、特に心臓のポンプ機能を担う左心室の筋肉が厚くなりやすいのが特徴です。この筋肉の肥大によって心臓の内腔が狭まり、血液を十分に送り出すことが難しくなります。
このため、猫が呼吸を苦しそうにする、ぐったりして元気がないなどの様子が見られることがあります。進行すると、心不全や肺水腫、血栓症といった深刻な合併症を引き起こすこともあります。
また、メインクーン、ラグドール、アメリカンショートヘアなどの品種は肥大型心筋症のリスクが高いとされているため、これらの猫と暮らしている飼い主様は、定期的な健康チェックや検査を受けることで、早期発見につなげることが大切です。
気をつけたい!肥大型心筋症の初期症状
肥大型心筋症は猫の心臓病の中でも特に厄介で、早期発見が難しい病気です。
初期症状としては、元気がなくなったり、食欲が落ちたり、呼吸が速くなるといった変化が見られることがありますが、こうした症状は他の体調不良でも現れるため、見逃されやすいのが特徴です。
愛猫が遊びたがらなかったり、動くのを嫌がったりするようであれば、肥大型心筋症のサインかもしれません。
さらに、この病気の厄介な点は、病状が進行するまで目立った症状が出にくいため、病気がかなり進行した段階で気づくことが多いのも特徴です。
「普段どおり元気そうだから大丈夫」と油断せず、最悪の場合、突然死のリスクがあることを心に留めておきましょう。
肥大型心筋症の早期発見には、定期的な健康診断が欠かせません。たとえ検査で異常が見つからなくても、愛猫が健康であることを確認できる大切な機会となります。
動物病院での検査・診断方法
肥大型心筋症の診断には、心臓エコー検査(超音波検査)が最も重要です。心臓エコー検査では、心臓の構造や機能をリアルタイムで観察でき、筋肉が厚くなっているかや血流の異常があるかを詳しく確認できます。また、心臓内部や弁の状態もチェックできるため、肥大型心筋症の早期発見に欠かせない検査です。
そのほかにも、レントゲン検査が行われることがあります。レントゲンでは心臓のサイズや形を確認できるだけでなく、肺に異常がないか、胸部に水がたまっていないかも調べることができます。
また、心電図検査や血液検査も併用し、心臓の電気的な活動や腎臓・肝臓の状態を確認することで、総合的な健康状態を評価します。
これらの検査を組み合わせることで、肥大型心筋症の早期発見と病気の進行度の把握が可能になります。
治療方法と予後について
肥大型心筋症の治療は主に投薬が中心です。薬によって心臓への負担を軽減し、血流を改善することで、病気の進行を抑えることを目指します。
使われる薬には、心臓の筋肉の収縮を調整するもの、血管を拡張して血液の流れをスムーズにするもの、体内の余分な水分を排出する利尿薬などがあります。
ただし、これらの投薬のみで完治は難しいため、定期的な検査や愛猫の体調管理が欠かせません。
また、愛猫がストレスなく穏やかに過ごせる環境を整えることも重要です。ストレスは心臓に負担をかけるため、環境の変化をできるだけ減らし、安心して過ごせる空間を作ってあげましょう。
さらに、過剰な運動を避け、体重管理にも気をつけることが大切です。肥満は心臓にさらなる負担をかけるため、適度な食事量と軽い運動で、健康的な体重を保つように心がけましょう。
予防と日常生活での注意点
肥大型心筋症を早期に発見するためには、定期的な健康診断が欠かせません。
特に、心臓病のリスクが高いとされる品種や中高齢の猫は、少なくとも年に一度の健康診断をおすすめしています。健康診断で心臓の状態を確認し、異常がないかをチェックすることで、トラブルを未然に防ぐことができます。
日常生活では、愛猫の呼吸の様子や元気、食欲に気を配りましょう。
たとえば、呼吸が浅く速くなっていないか、疲れやすくなっていないかなどが観察ポイントです。普段と違う様子があれば、それが病気のサインかもしれませんので、少しでも気になることがあれば早めに動物病院を受診しましょう。
肥大型心筋症は、早期に発見できれば適切なケアとともに穏やかに過ごすことが可能です。飼い主様の愛情と日々の見守りが、愛猫の健康を支える大切な役割を果たしますので、普段からの観察と定期的な健診を心がけてください。
気になることがあれば、どうぞお早めに当院にご相談ください。
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・犬と猫の健康診断の重要性について|気になる愛犬・愛猫の健康チェック!
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症例
犬や猫の心臓エコー検査とは?|検査時間、必要なケースを獣医師が解説
愛犬や愛猫がいつまでも元気でいてほしいと願うのは、飼い主様なら当然の気持ちですよね。しかし、心臓病は犬や猫にとっても避けられない病気の一つです。特にシニア期に入ると心臓への負担が増え、病気のリスクが高くなります。
心臓病は、早期発見と適切な治療が非常に大切です。そのため、動物病院では「心臓エコー検査」が行われることが多く、愛犬や愛猫の心臓の健康状態を確認するうえで欠かせない検査となっています。
今回は、心臓エコー検査の仕組みや、検査で何がわかるのか、そしてどのような場合に必要になるのかについて、わかりやすく解説します。
心臓エコー検査とは?|検査でわかること
心臓エコー検査は、超音波を使って心臓の内部構造や血流をリアルタイムで確認する検査です。無痛で安心して受けられるうえ、心臓の大きさや動き、血液の流れなどが詳しくわかるのが特徴です。
ここでは、心臓エコー検査で確認できるポイントについて解説します。
・心臓の大きさ
エコー検査では、心臓の大きさを正確に測定し、肥大や拡大、縮小といった異常がないかをチェックします。
犬や猫の年齢や品種によっても心臓の大きさは異なりますが、この検査により異常の有無が明らかになります。
・心臓の動き
心臓が正常に動いているかどうかもエコーで確認できます。ポンプ機能が低下している場合、血液循環が不十分となり、健康や体調に影響を与える可能性があります。
・心臓の弁の状態
心臓には、血液の流れを一定方向に保つための弁があります。この弁がしっかり開閉していないと、血液の逆流や漏れが起き、心臓に負担がかかることがあります。
・血流の様子
心臓内の血流をリアルタイムで観察できるのもエコー検査のメリットです。血液が正常に流れているか、逆流が起きていないか、血管が狭くなっていないかなどを確認できます。血流の状態を確認することで、心臓病や血流に関する異常の早期発見につながります。
どんな症状があるときに検査が必要?
愛犬や愛猫が以下のような症状を見せる場合、心臓エコー検査を受けることを検討しましょう。
・咳が続く
犬や猫が頻繁に咳をするのは、心臓に負担がかかっているサインの可能性があります。特に安静時でも咳が続く場合、心臓病が疑われます。
・食欲低下
心臓に問題があると血流が不十分になり、全身に疲労感が広がることがあります。その結果、倦怠感が増し、食欲が低下するケースもあります。
・運動時の疲れやすさ
散歩や遊びの途中ですぐに疲れて休んでしまう、または以前より活発でなくなる場合も、心臓の機能が低下している可能性があります。
<シニア期や特定の犬種・猫種にも注意>
心臓エコー検査が必要な頻度は、年齢や犬種・猫種によって異なります。特にシニア期に入ると心臓病のリスクが高まるため、半年に1回の定期的な検査が重要です。
また、心臓病にかかりやすい犬種や猫種もいます。
たとえば、チワワやトイプードル、ポメラニアンなどの小型犬は僧帽弁閉鎖不全症になりやすく、メインクーンやラグドール、アメリカンショートヘアといった猫は肥大型心筋症のリスクが高いと言われています。
こうした犬や猫と一緒に暮らしている場合は、年齢に関係なく、定期的に心臓エコー検査を受けると安心です。
心臓エコー検査の流れと所要時間
飼い主様が安心して検査に臨めるよう、心臓エコー検査の手順やポイントについてご説明します。
1.準備
心臓エコー検査は、愛犬や愛猫がリラックスした状態で行うことが理想です。緊張が見られる場合は、診察台でしばらく落ち着かせてから検査を始めます。検査中には、胸周りの被毛を少し剃ることがありますが、痛みはありませんのでご安心ください。
2.超音波機器のセットと画像の取得
超音波機器を胸部に当て、心臓の動きや血流の状態をリアルタイムで映像に映し出します。取得した映像をもとに、心臓の動きや血流の状態、弁の開閉などを確認し、必要に応じて詳細なチェックを行います。
<検査時間>
心臓エコー検査の所要時間は、一般的に15〜30分ほどです。愛犬や愛猫に痛みや負担がかかることはほとんどありませんので、リラックスして受けてもらえる検査です。
検査時の注意点と準備するもの
心臓エコー検査の前に、飼い主様に確認していただきたいポイントをご案内します。
・食事制限の有無
心臓エコー検査のみの場合、通常は食事制限は必要ありません。ただし、他の画像検査も予定している場合や動物病院から特別な指示がある場合は、検査前の数時間、食事を控えていただくこともあります。予約時に、食事についての指示があるかどうかを確認しましょう。
・服薬の注意点
日常的に服用しているお薬がある場合、検査前にそのまま飲んでよいかどうか、かかりつけの獣医師に確認してください。
特に、心臓や血圧に関わるお薬の場合は、検査の精度を保つために服薬のタイミングを調整することがあります。
・検査当日の過ごし方
当日は、飼い主様も普段通りの気持ちでご来院いただくことで、愛犬や愛猫もリラックスしやすくなります。
診察室でもできる限りリラックスできるようサポートいたしますので、不安が少しでも和らぐように見守ってあげてください。
心臓エコーキャンペーン実施中
当院では、2024年11月1日から12月30日までの期間、愛犬・愛猫の健康を守るための「心臓エコーキャンペーン」を実施しています。この機会に、心臓病の早期発見や進行の把握を行い、健康管理にお役立てください。
<キャンペーン詳細>
■料金
初回検査(税込):通常¥8,800 → キャンペーン価格¥6,600
継続検査(税込):通常¥5,500 → キャンペーン価格¥4,400
■対象動物
犬・猫
<検査内容について>
検査内容は、胸部レントゲンと心臓エコー検査の2種類です。それぞれの検査で、心臓や肺の状態をしっかりと確認し、心臓病の早期発見や進行の把握に努めます。
・レントゲン検査
胸部のレントゲン撮影により、心臓の大きさや肺の状態を確認します。これにより、異常の有無をチェックし、適切な対応が可能です。
・心臓エコー検査
心臓の動きや血流の状態、心臓弁の逆流の有無などを詳細に確認します。この検査は、より深い部分まで観察できるため、早期発見に役立ちます。
愛犬や愛猫の健康が気になる方は、この機会にぜひご相談ください。
まとめ
心臓病は、早期発見と早期治療がとても重要な病気です。特に犬や猫の場合、症状が現れにくいこともあるため、定期的な心臓エコー検査は愛犬・愛猫の健康を守るうえで欠かせません。心配な症状や気になることがあれば、当院の獣医師にご相談ください。
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猫の糖尿病を見逃さない!|初期症状と治療のポイント
猫の糖尿病は、インスリンが十分に働かないために血糖値のコントロールが難しくなる病気です。インスリンは膵臓から分泌され、体内の血糖値を調整する大切な役割を担っています。
通常、食事で摂取された糖は血液に取り込まれ、インスリンの働きによって細胞に吸収されてエネルギーとして使われます。しかし、インスリンの不足やインスリンが正常に分泌されても細胞が反応しにくい「抵抗性」がある場合、糖がうまく吸収されません。その結果、血糖値が高くなり、糖尿病が進行してしまうのです。
猫の糖尿病は、人間の2型糖尿病に似ており、特に肥満や高齢の猫に発症しやすい病気です。発症率は増加しており、猫全体の0.5〜1%が糖尿病を抱えていると推定されています。
今回は、猫の糖尿病について初期症状から治療法までを詳しく解説します。
症状|猫の糖尿病の初期症状を見逃さないために
・通常より多くの水を飲むようになる(多飲)
糖尿病により血糖値が高くなると、体は余分な糖を尿として排出しようとします。そのため、体内の水分が失われやすくなり、猫がいつもより頻繁に水を飲むようになります。
・排尿回数が増える(多尿)
血糖値が高くなると、腎臓は余分な糖を尿として排出しようとします。その結果、排尿回数が増え、尿の量も多くなります。
・食欲の増加(多食)
インスリンが不足すると、細胞がエネルギーをうまく取り込めなくなり、体が飢餓状態だと感じてしまいます。そのため、猫は普段以上に食事を欲しがるようになります。
・体重減少
猫がたくさん食べていても、インスリンが不足しているために体は十分なエネルギーを得られません。そこで、体は脂肪や筋肉を分解してエネルギーを作り出そうとするため、結果として体重が減ってしまいます。
・倦怠感や元気の低下
糖尿病によってエネルギーがうまく細胞に行き渡らなくなるため、猫は疲れやすくなり、普段より元気がなくなって活動量が減ってしまいます。
・毛艶の悪化
糖尿病の影響で体の調子が悪くなると、被毛にも変化が現れます。毛がパサつき、艶がなくなってしまうことがあります。
・嘔吐や脱水症状
糖尿病が進行すると、嘔吐や脱水症状が見られることがあり、これらは緊急の対応が必要なサインです。
猫の糖尿病のリスク要因とは?|年齢や肥満が引き金に
・年齢(中年以上の猫)
猫の糖尿病は、中年以上の猫に多く見られます。年齢を重ねることでインスリンの分泌が減少し、糖尿病のリスクが高まると考えられています。
・肥満
肥満は、糖尿病の大きなリスク要因の一つです。肥満になるとインスリンに対する細胞の反応が鈍くなり、血糖値のコントロールが難しくなります。特に室内飼いの猫は運動不足になりやすいため、肥満により糖尿病を発症しやすくなる傾向があります。
・去勢・避妊
去勢や避妊手術を受けた猫は、ホルモンバランスの変化によって体重が増えやすくなり、糖尿病のリスクが高まることがあります。そのため、手術後の体重管理がとても重要です。
・品種
一部の猫種は、他の猫種に比べて糖尿病のリスクが高いとされています。特に、バーミーズは糖尿病にかかりやすい傾向があることが知られています。
・運動不足
運動不足は肥満を招き、インスリンに対する感受性が低下してしまいます。特に室内飼いの猫は運動量が少なくなりやすく、その結果、肥満や糖尿病のリスクが高まります。
猫の糖尿病の診断方法|血液検査や尿検査で確認
猫の糖尿病は、血液検査や尿検査をもとに診断されます。以下に一般的な診断方法をご紹介します。
・血糖値測定
血液を採取し、血糖値を測定します。糖尿病の猫は、インスリン不足やインスリンに対する反応が低下しているため、血糖値が通常よりも高くなります。
ただし、一時的なストレスでも血糖値が上昇することがあるため、血糖値測定だけでなく、他の検査結果も総合的に判断して診断が行われます。
・尿検査
尿検査では、尿中に糖(グルコース)やケトン体が含まれているかを調べます。糖尿病になると、血中の糖が過剰になり、腎臓で処理しきれずに尿に糖が漏れ出してしまいます。
また、ケトン体は、糖をエネルギー源として利用できない状態で脂肪が代謝された結果として現れるため、糖尿病の指標の一つです。
・フルクトサミン検査
フルクトサミン検査は、過去1〜2週間の平均血糖値を測定する検査です。この検査は、血糖値の一時的な上昇やストレスによる影響を避け、持続的な高血糖状態があったかどうかを確認できるため、より正確な糖尿病の診断に役立ちます。フルクトサミン値が高い場合、長期間にわたって血糖値が高かったことがわかります。
猫の糖尿病治療|インスリン治療と最新の経口薬センベルゴ
猫の糖尿病は、インスリン治療や経口薬、食事療法、運動療法など、さまざまな方法で管理されます。ここでは、特に2024年9月に発売された経口治療薬「センベルゴ」に焦点を当てて解説します。
<センベルゴ(経口投与薬)>
センベルゴは、従来のインスリン注射に代わる新しい経口治療薬です。その主な特徴とメリットは以下の通りです。
・経口投与
飼い主様が毎日インスリン注射を行う必要がないため、注射に抵抗がある猫や飼い主様にとって、ストレスが少ない治療法です。
・低血糖のリスクが少ない
インスリン注射に伴う低血糖症は非常に危険ですが、センベルゴはそのリスクが軽減されており、安全性が高いとされています。
・入院の必要がない
通院のみで治療を続けられるため、猫のストレスを軽減し、飼い主様の負担も軽くなります。
・センベルゴを使用する際の注意点
センベルゴを使用する場合は、定期的にケトン体の検査を行うことが推奨されています。ケトン体は、糖尿病の状態が悪化すると体内で増加する可能性があるため、これを確認することで糖尿病の管理がより安全に行えます。ケトン体の検査は、愛猫の健康をしっかりと見守るために大切なステップです。
<インスリン治療>
インスリン注射は、長年にわたり糖尿病治療の基本となっています。インスリンを注射することで、体内で不足しているホルモンを補い、血糖値を正常に保つことができます。
インスリン治療には毎日の注射が必要ですが、正確な量を調整することが大切です。
注射が苦手な猫にとってはストレスになることもあるため、飼い主様がサポートしてあげることが重要です。少しずつ慣れさせながら、猫にできるだけ負担をかけないように工夫していくことが大切です。
<食事療法>
糖尿病の猫には、低炭水化物食が推奨されています。炭水化物を減らすことで、インスリンが効率的に働き、必要なインスリン量を減らすことができます。療法食には糖尿病用のフードがあり、それを主食にすることで、血糖値を安定させる効果が期待できます。
<運動療法>
適度な運動は、糖尿病の管理にとても役立ちます。運動を通じて体重をコントロールし、インスリンの働きを助けることで、血糖値の安定に繋がります。ただし、過度な運動は血糖値の急激な変化を引き起こすことがあるため、獣医師と相談して、無理のない運動量を決めることが大切です。
猫の糖尿病を予防するための日常ケアと健康管理
糖尿病は一度発症すると管理が大変な病気ですが、日々のケアでリスクを大幅に減らすことができます。ここでは、猫の糖尿病を予防するための主な対策をご紹介します。
<適切な体重管理>
肥満予防は、糖尿病予防の中で最も重要なポイントです。猫が太りすぎると、インスリンの働きが鈍くなり、血糖値をコントロールする能力が低下します。
バランスの取れた食事と運動で、適切な体重を維持しましょう。特に室内飼育の猫は運動不足になりがちなので、キャットタワーやおもちゃを活用して運動量を確保することが大切です。
<バランスの取れた食事>
糖尿病の予防には、バランスの良い食事が欠かせません。猫には高品質なタンパク質が必要で、炭水化物の摂取はできるだけ控えるのが理想です。糖質が多いフードやおやつを避け、カロリーと栄養バランスに気を配りましょう。
<定期的な健康診断>
猫は糖尿病の初期段階で目立った症状を示さないことが多いため、定期健康診断が重要です。
1年に1回の血液検査や尿検査を受けることで、糖尿病の早期発見が可能になります。特に中高齢や肥満傾向のある猫は、定期的に診察を受けることをおすすめします。
<運動を取り入れる>
適度な運動は、糖尿病予防に役立ちます。日常的な遊びや運動を通じて体重を管理し、インスリンの働きを助けることができます。猫が楽しみながらできる運動を取り入れてあげることで、健康維持に繋がります。
まとめ
猫の糖尿病は、早期に発見して適切な治療を始めることで、長期的な健康を維持することができます。早期発見と治療が最も大切で、定期的な健康診断や日々の様子をしっかり観察することがその第一歩です。
特に肥満や加齢に伴うリスクが高い猫は、症状が見られないうちからしっかりとケアすることが重要です。定期的に獣医師の診察を受け、血糖値の測定や適切な食事、体重管理を心がけることで、糖尿病のリスクを抑えることができます。
愛猫が元気で長く健康に過ごせるように、少しでも気になる症状があれば、迷わず獣医師に相談することが大切です。
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症例
愛犬が下痢をする理由とは?元気でも見逃せないポイント
愛犬が下痢をしていても、元気や食欲がある場合、必ずしも深刻な病気というわけではありません。
犬の下痢は、消化不良やストレス、食事の変化などが原因で、一時的に起こることがよくあります。たとえば、新しい食材を試したときや、環境の変化によってストレスを感じたときに、短期間の下痢が見られることもあります。
しかし、油断は禁物です。元気そうに見えても、下痢が続くと脱水症状のリスクが高まるため、特に数日間にわたって下痢が続く場合は注意が必要です。下痢が長引くと、栄養の吸収が十分に行われず、体調に悪影響を及ぼすことがあります。
下痢が繰り返される場合や、他に気になる症状(嘔吐、血便、食欲の低下など)が見られるときは、早めに獣医師に相談することが大切です。
特に子犬の場合は、軽度の下痢でも体調への影響が大きくなることがありますので、慎重に対応することを心がけましょう。
今回は元気があるのに下痢をしてしまう原因と、動物病院への相談が必要なケース、下痢予防のための日常ケアについて解説します。
元気なのに下痢?犬が下痢をする意外な原因とは?
元気や食欲がある愛犬でも、時折下痢をすることがあります。
ここでは、比較的軽い原因について詳しく説明しますので、ぜひ参考にしてみてください。
・食事の変更
突然の食事変更は、愛犬の消化器に負担をかけてしまい、消化不良や下痢を引き起こすことがあります。新しいフードに切り替える際は、少しずつ慣れさせることが大切です。急に切り替えてしまうと、消化器がうまく適応できず、下痢の原因となることがあります。
・軽度の食あたり
普段食べ慣れていないものを食べた場合、軽度の食あたりで下痢を引き起こすことがあります。たとえば、人間の食べ物やゴミ、草などが消化不良を起こし、一時的に下痢になることがあります。
・ストレスによる下痢
環境の変化や家族構成の変化、旅行などで愛犬がストレスを感じると、腸の動きが乱れやすくなり、下痢を引き起こすことがあります。
・消化不良
愛犬が早食いや一度に大量の食べ物を食べた場合、消化不良を起こし、下痢をしてしまうことがあります。
・軽度の寄生虫感染
軽度の寄生虫感染(例:回虫や鉤虫)も下痢を引き起こすことがあります。この場合、駆虫薬の投与が必要になることもあります。
こんな症状に注意!|愛犬の下痢で見逃せないサイン
元気や食欲がある愛犬でも、下痢の内容によっては早めの対応が必要になることがあります。特に、次のような異常な便が見られた場合は、早めに獣医師に相談してください。
・血便
便に鮮血が混ざっている場合、消化管のどこかで出血が起きている可能性があります。
大腸や肛門に炎症が起きている場合や、感染症や傷が原因で出血することが多く、特に出血の量が多い場合は注意が必要です。
・黒色便
黒色の便(タール便)は、消化管の上部(胃や小腸)で出血が起きているサインです。これは、消化された血液が便に混ざって黒くなっている状態を示しており、消化器の潰瘍や出血性の疾患が疑われます。
・粘液便
便に粘液が多く含まれている場合は、腸内で炎症が起きている可能性があります。
ストレスや軽い感染症が原因となることもありますが、粘液便が長引く場合は腸炎などの病気が疑われます。
・長引く下痢
短期間の下痢であれば、一時的な消化不良で済むこともありますが、数日以上続く場合は脱水や栄養不足につながる恐れがあります。
慢性的な下痢は、消化器系の腫瘍やアレルギー、寄生虫感染が原因となっていることもあるため、注意が必要です。
・異常に強い臭いの便
便の異常な臭いも注意すべきサインです。ウイルス感染症や腸内細菌のバランスが崩れていることが原因で、臭いが強くなることがあります。
どのような場合に動物病院へ相談すべき?
家庭での対処を行っても愛犬の下痢が改善しない場合や、以下のような危険な症状が見られた際には、早めに動物病院に相談することが大切です。
・脱水症状
下痢が長引くと、体内の水分が急速に失われ、愛犬が脱水症状を引き起こすことがあります。口の乾きや皮膚の弾力が低下することが、脱水の主なサインです。
脱水は早急な治療が必要なので、放置せずに動物病院で輸液などの対応を受けることが重要です。
・発熱
下痢に加えて発熱が見られる場合は、感染症や体内の炎症が原因になっていることが考えられます。たとえ元気に見えても、発熱が確認できたら病気が進行している可能性があるため、早めに獣医師に相談することが大切です。
・嘔吐を伴う
嘔吐を伴う下痢は、腸や胃に大きなトラブルがある可能性があります。食べ物がうまく消化できない状態や、異物を誤って飲み込んでいることが考えられるため、早急な対応が必要です
・下痢が2~3日以上続く
軽度の下痢でも、2〜3日以上続く場合は慢性化する恐れがあります。特に、何らかの治療を試しても改善しない場合は、消化器系の疾患やアレルギーが原因である可能性が高いため、早めに獣医師に相談することが大切です。
・体重減少
下痢が続くと、栄養の吸収が十分に行われず、体重が減少してしまうことがあります。特に急激な体重減少が見られる場合、下痢以外の深刻な健康問題が隠れている可能性もあるため、早めに獣医師に相談することが大切です。
下痢の診断と治療法
<診断方法>
下痢の原因を特定するために、まず問診と身体検査が行われます。飼い主様には、食事内容や生活環境、下痢の期間や頻度について詳しくお聞きし、それを基に以下のような検査を行います。
・糞便検査
糞便を採取して、寄生虫や細菌、ウイルスの有無を確認します。特に寄生虫感染や細菌性の下痢の場合、糞便中にその兆候が見られることが多いです。
・血液検査
血液検査では、感染症や炎症、臓器の機能に異常がないかを確認します。たとえば、肝臓や腎臓の状態が下痢の原因となっている場合、血液検査でその兆候が確認されることがあります。
・X線や超音波検査
消化管の状態を詳しく調べるために、X線検査や超音波検査が行われることもあります。これにより、異物を誤飲していないか、腫瘍や腸閉塞などの重篤な原因がないかを確認します。
<治療法>
診断結果に基づき、下痢の原因に応じた治療が行われます。
・食事療法
一般的な治療として、消化に優しい療法食が処方されることが多いです。特に、消化不良が原因の場合は、消化しやすいフードに切り替えて腸を休めることで、症状の改善が期待できます。
・薬物療法
細菌感染や寄生虫感染が原因の場合、抗生物質や駆虫薬が処方されます。
また、症状に応じて、止瀉薬や痛み止め、吐き気を抑える薬なども使用され、対症療法が行われます。これにより、下痢の原因となる病原体を排除し、症状を和らげます。
・プロバイオティクス
腸内環境の改善を目的として、プロバイオティクスや消化酵素が処方されることもあります。善玉菌を増やして腸の働きを整え、下痢の改善に役立ちます。
・点滴治療
下痢が長引いて脱水症状が疑われる場合は、点滴治療が行われます。体内の水分と電解質のバランスを整えるために、輸液を行い、体調を回復させます。
・外科的処置
もし異物の誤飲や、腫瘍が原因で下痢が起こっている場合は、外科的な処置が必要になることがあります。
愛犬の下痢予防に必要な日常ケアと健康管理のポイント
<バランスの良い食事管理>
食事は、愛犬の健康を支える大切な要素です。栄養バランスの取れた食事を準備することで、消化器の健康を守ることができます。
新しいフードに変える際には、急に切り替えず、少しずつ進めていくことが大切です。愛犬の体に負担をかけないよう、ゆっくりと慣らしてあげましょう。
<規則正しい生活リズム>
毎日を規則正しく過ごすことも、愛犬の下痢予防に効果的です。決まった時間に食事をする習慣や、適度な運動を取り入れることで、消化器官のリズムが整いやすくなります。
また、ストレスや過度な運動は消化不良の原因になることもあるので、愛犬が無理せずリラックスできる環境を心がけましょう。
<ストレスを軽減する工夫>
犬は環境の変化や飼い主がいない時間が長いと、ストレスを感じやすくなります。そのストレスが下痢の原因になることもあります。新しい環境に慣れる時間をしっかりと確保し、安心して過ごせる場所を作るなど、日常的にストレスを軽減する工夫が必要です。
<定期的な健康チェック>
定期的に健康診断を受けることで、病気や体調不良を早期に発見できます。特に下痢が頻繁に見られる場合は、寄生虫感染や消化器系の病気が隠れている可能性も考えられるため、早めに獣医師に相談し、必要な検査を受けることが大切です。
<清潔な環境を保つ>
愛犬が暮らす環境を清潔に保つことも、下痢予防には欠かせません。食器やベッドをこまめに清掃し、トイレエリアを清潔に保つことで、感染や消化不良のリスクを減らすことができます。
こうした日常的なケアが、愛犬の健康維持に役立ち、下痢のリスクを最小限に抑えることにつながります。
まとめ
犬の下痢は一時的で軽度な場合もありますが、注意深く観察することが大切です。
下痢が数日以上続く、便に異常が見られる、または他の症状(嘔吐、脱水、発熱など)が併発する場合は、早めに獣医師に相談することが重要です。
適切な治療を受けることで、症状の悪化や、他の健康問題へ進行するのを防ぐことができます。
愛犬の健康を守るためには、普段からしっかりと観察し、気になる症状があれば迷わず動物病院に連絡するようにしましょう。
■関連する病気はこちらで解説しています
・犬や猫の消化管間質腫瘍(GIST)について
・犬や猫の肛門周囲腫瘍について千葉県市原市の動物病院なら「姉ヶ崎どうぶつ病院」
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症例
犬と猫の健康診断の重要性について|気になる愛犬・愛猫の健康チェック!
最近、飼い主様の愛犬や愛猫の健康への意識が高まり、毎年健康診断を受ける方が増えています。
健康診断は、病気の早期発見・早期治療に役立つだけでなく、日頃の疑問や不安を獣医師に相談できるよい機会でもあります。
今回は犬と猫の健康診断の重要性について詳しく解説します。
健康診断の目的
健康診断の一番の目的は病気を早期に発見し、早期に治療することです。早期発見・早期治療は、愛犬や愛猫のQOL(生活の質)を向上させ、長期的には医療費の負担を減らすことにもつながります。
特に腫瘍や腎臓病などの病気は、症状が出るまで時間がかかることが多いため、健康診断で早めに見つけることが非常に大切です。
また、健康診断は予防医療の面でも大きな意味があります。飼い主様と獣医師がしっかりコミュニケーションをとることで、疑問や不安を解消し、適切な飼育環境を整え、肥満を予防することができます。これにより、愛犬や愛猫のQOLが向上し、病気の予防にもつながります。
「予防は治療に勝る」という言葉があるように、健康診断で病気を予防することは、早期発見・早期治療以上に多くのメリットをもたらします。
健康診断の頻度
健康診断の理想的な頻度については、獣医師によって多少の違いがありますが、基本的には年に1回を目安にしてください。7〜8歳を超えてシニア期に入ると、さまざまな病気のリスクが高まるため、半年に1回程度に増やすこともよいでしょう。
もちろん、基礎疾患や現在の健康状態によって適切な頻度は異なりますので、当院の獣医師にご相談ください。
犬と猫で推奨される健康診断の頻度は大きく変わりませんが、猫は病気の兆候に気づきにくいことが多い傾向があります。
特に加齢に伴い、猫では慢性腎臓病のリスクが高まるため、不安がある場合は健康診断の頻度を増やすことを検討してみましょう。
また、特定の品種に多く見られる疾患が心配な場合も、獣医師と相談しながら適切な健康診断の頻度を決めることをおすすめします。
健康診断の主な検査項目とその重要性
健康診断で行う主な項目は以下の通りです。
<問診>
飼い主様から、日頃の様子や気になる点についてお話を伺います。普段の生活で見られる小さな変化や、飼い主様だからこそ気づく異変を確認することで、病気の早期発見につながることがあります。
どんな些細なことでも構いませんので、気になることや不安に感じていることがあれば、ぜひお話しください。
<身体検査>
視診、触診、聴診などで全身を丁寧にチェックします。特に視診での口腔内疾患や白内障の確認、聴診での心雑音のチェックは重要です。
また、体重測定や体型の評価を行い、太りすぎや痩せすぎていないかを確認します。
「肥満は万病の元」という言葉もあるように、肥満は関節疾患や呼吸器疾患などさまざまな病気のリスクを高めるため、注意が必要です。
<血液検査>
全血球計算(CBC)では、赤血球や白血球、血小板の数を測定し、貧血や炎症の有無、白血病の兆候などを確認します。
さらに、血液生化学検査では血糖値や腎臓、肝臓に関連する数値、電解質バランスを調べ、腎臓病や肝臓病、糖尿病、脱水症状の早期発見や病状の確認が可能です。
また、甲状腺ホルモンやコルチゾールなどのホルモン検査で、甲状腺疾患などの内分泌疾患を評価することもあります。
<レントゲン検査>
胸部・腹部のレントゲン撮影は、健康診断において欠かせない検査です。
心臓や肺、腹部の臓器、骨、関節の状態を同時に確認でき、腫瘍や転移の早期発見にも役立ちます。さまざまな病気の診断に有効な検査です。
<エコー検査>
腹部エコー検査では、腎臓や肝臓、脾臓、膀胱、消化管、リンパ節などを詳しく観察します。エコーでは臓器の動きや大きさ、内部の状態をリアルタイムで確認できるため、腹腔内に発生した腫瘍の評価や尿路結石の位置や大きさなどの検査に役立ちます。
心臓エコーでは心臓内部や弁の動き、血流などを確認し、心臓の機能に問題がないか評価します。
<尿検査>
尿検査では持参いただいた尿や院内で採取した尿を使って、尿比重や尿タンパク、結晶、細菌などを調べます。
腎臓や膀胱の健康状態を確認するほか、糖尿病や尿路感染症の早期発見に有効です。
<糞便検査>
便の中に血液や寄生虫が混じっていないかを確認し、消化器系の健康をチェックします。
健康診断で発見される主な疾患
健康診断で発見されることが多い主な疾患は以下の通りです。
<犬>
・口腔内疾患
・僧帽弁閉鎖不全症
・短頭種気道症候群
・膝蓋骨脱臼
・関節疾患
・腫瘍性疾患 等
<猫>
・口腔内疾患
・肥大型心筋症
・甲状腺機能亢進症
・慢性腎臓病
・膀胱炎
・尿路結石
・腫瘍性疾患
・糖尿病
・関節疾患 等
姉ヶ崎どうぶつ病院の健康診断
当院では、Team HOPEおよびAAHA(アメリカ動物病院協会)が提唱する健康診断の項目をベースにした、信頼性の高い健康診断コースをご用意しています。
Team HOPE(公式サイト)は、動物医療の現場で広く支持されている健康診断の基準を策定しており、当院でもその項目をしっかりと取り入れています。また、AAHA(公式サイト)はアメリカで動物医療の基準を確立している団体で、世界中の動物病院に影響を与えています。
これらの基準に基づいた健康診断を通じて、早期発見や予防に力を入れており、飼い主様が安心して愛犬や愛猫の健康を守れるようサポートいたします。
ご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
まとめ
愛犬や愛猫の健康を守るために、定期的な健康診断は欠かせません。
飼い主様は毎日の生活の中で、誰よりも早く小さな変化に気づける存在です。だからこそ、日常の様子や体調の変化を見逃さずにチェックすることが大切です。
もし少しでも気になることがあったら、無理せずかかりつけの獣医師に相談してみましょう。大切な家族の健康を守るために、早めの対応が安心につながります。
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症例
犬と猫のてんかんについて|発作が起きたときに慌てないために
「てんかん」と聞くと、突然発作が起きて意識を失う病気というイメージを持つ方も多いかもしれませんが、実は犬や猫にもよく見られる神経疾患です。
てんかん発作は、脳の神経細胞の異常な興奮によって生じる、一時的なけいれんや意識障害、異常行動を指します。
今回は、犬や猫のてんかんの原因や症状、診断方法、治療方法について詳しく解説します。
てんかんの種類
てんかんは大きく分けて、「特発性てんかん」と「構造的てんかん(症候性てんかん)」の2種類があります。
また、低酸素や低カルシウム血症などが原因で発作が起こる「反応性発作」もありますが、これは厳密にはてんかん発作には含まれません。
<特発性てんかん>
発作の原因がはっきりしていないてんかんです。おそらく、遺伝子の異常が関与していると考えられています。
特発性てんかんは犬や猫に比較的よく見られるタイプで、犬では約100頭に1頭、猫では約100〜200頭に1頭がこのてんかんを持っていると考えられています。
<構造的てんかん (症候性てんかん)>
脳腫瘍や脳炎、脳外傷など、脳の病気や異常が原因で発作が起こるてんかんです。
原因
てんかんの原因はさまざまで、複数の要因が重なって発作が起こることもあります。
<特発性てんかん>
遺伝子以外のてんかんの原因がすべて否定されているため、遺伝的な要因が関与していると考えられています。
日本ではあまり見られない犬種ですが、ラゴット・ロマニョーロやローデシアン・リッジバックといった犬種で、てんかん発作に関連する遺伝子異常が報告されています。
<構造的てんかん>
大脳皮質の器質的な異常(脳腫瘍、脳炎、脳外傷、水頭症など)が原因となり、発作が起こります。
また、代謝異常による脳のダメージや、金属や薬物などの中毒が原因で発作が引き起こされることもあります。
症状
てんかんは、発作のタイプによって部分発作と全般発作に分類されます。これは脳の細胞が過剰に興奮することで引き起こされ、どの部分が影響を受けるかによって異なります。
部分発作は、脳の一部で電気的興奮が限局して起こるものです。
例えば、運動に関わる脳の部位に発作の焦点がある場合、顔面のけいれんや四肢がガクガクと震えるような症状が見られます。
視覚に関わる脳の部位に発作の焦点があると、フライバイト(ハエ追い行動)と呼ばれる、空中を見つめてハエなどの虫を追いかけるような行動や、幻覚を見ているかのような仕草が見られます。
一方、全般発作は、脳の一部で始まった電気的興奮が脳全体に広がるものです。
この場合、意識を失ったり、よだれが増えたり、失禁することが多く、全身がピンと突っ張ったり、ガタガタと震える強直間代性発作が見られることがあります。
発作の前兆として、突然落ち着きがなくなったり、不安そうな様子になったりすることがあります。また、発作後には、攻撃的な行動を取ったり、徘徊したり、意識がはっきりしない、運動がぎこちないといった発作後徴候が見られることがあります。
診断方法
てんかんの診断は、まずこれまでの発作の経過や発作時の様子を詳しく伺うことから始まります。もし、ご自宅で発作の様子を録画した動画があれば、診断に大変役立ちます。
てんかん発作に似た症状が、心臓病による低酸素や失神、中毒症状などでも現れることがあるため、まずは身体検査や血液検査、レントゲン検査、心電図検査などで全身の健康状態を確認します。その後、脳や脊髄など中枢神経系の状態を調べるために神経学的検査を行います。さらに、脳腫瘍や脳炎などが原因で発作が起きていないか確認するため、CT検査やMRI検査、脳脊髄液検査(脳脊髄液を採取して検査する方法)を行い、脳の状態や脳脊髄液の性状を確認します(外部の専門機関をご紹介します)。
これらすべての検査で異常が見つからなくても発作が続く場合は、特発性てんかんと診断されます。
逆に、MRIやCT検査で脳に炎症や腫瘍が認められた場合は、それらが原因のてんかんと診断されます。
特発性てんかんの診断は通常、MRI検査や脳脊髄液検査で他の病気を除外して行いますが、脳波検査でてんかんに特有の波形が確認できれば、さらに信頼性の高い診断を行うことが可能です。
治療方法
てんかんの治療の基本は、抗てんかん薬(フェノバルビタール、臭化カリウム、レベチラセタム、ゾニサミドなど)という、てんかんの発作頻度を抑える薬を服用します。
また、補助的な治療として、食事療法やサプリメントの使用が稀に行われることもあります。例えば、医療用大麻由来のカンナビジオール(CBD)が一部で使用されるケースもあります。
最近では、てんかん外科と呼ばれる脳外科手術によって、難治性のてんかんを治療する試みも始まっており、国内でも試験的に行われています。
通常、てんかん発作は安静にしていれば5分程度で治まりますが、5分以上続く場合はてんかん重積と呼ばれ、緊急の治療が必要です。
この場合、ジアゼパムやミダゾラムなどの強力な抗けいれん薬を使用して、速やかに発作を抑えます。
予後
一般的に、抗てんかん薬を使用した場合、発作がうまくコントロールできる割合は60〜70%ほどと言われています。しかし、残りの30〜40%は難治性てんかんと呼ばれ、薬でのコントロールが難しいケースです。このような場合は、食事療法やサプリメント治療、てんかん外科などを検討します。
てんかん発作は、犬や猫の生活の質(QOL)に大きな影響を与えるため、早期に治療を開始し、発作をできる限りコントロールすることが非常に重要です。
てんかんは完治する病気ではないため、基本的には一生抗てんかん薬を服用しながら病気と向き合う必要があります。
発作の頻度に応じて薬の量を調整することはありますが、長期的な管理が必要であることを理解していただければと思います。
ご家庭での注意点
てんかん発作は基本的に自然に治まることが多いため、発作が始まったらなるべく刺激しないことが大切です。発作が起きたら、できるだけ周囲に危険なものがない安全な場所で発作が治まるのを静かに見守りましょう。
このとき、発作の様子の録画や時間を測っておくと、診断や治療に役立ちます。また、発作が起きた日時、発作の様子、持続時間、その後の状態などを記録しておくことも重要です。
処方された薬は、必ず獣医師の指示通りに服用し、定期的に動物病院で検査を受けるようにしてください。運動や食事については、特別な指示がなければ通常通りで問題ありません。
さらに、発作時に物にぶつかって怪我をしないよう、部屋を整理整頓しておくことや、ストレスをできるだけ減らすよう心がけることも大切です。
まとめ
てんかんはQOLに大きく影響を与えるため、早期診断と早期治療が非常に重要です。もし、てんかん発作を疑うような症状が見られた場合は、まずは獣医師に相談してください。
てんかんの治療は基本的に生涯にわたって続くため、信頼できる獣医師と飼い主様が連携しながら治療を進めることが大切です。
また、発作が30分以上続くと脳に後遺症が残る可能性があり、5分以上続く場合は発作が長引くリスクが高まります。5分以上発作が続く場合は、様子を見ずにすぐにかかりつけの動物病院や夜間救急病院を受診してください。
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症例
犬と猫の誤嚥性肺炎|年を取って飲み込む力が弱まっているとなりやすい?
誤嚥性肺炎とは、食べ物や液体が本来入るべき食道ではなく、誤って気管に入ることで発生する肺炎のことです。
通常、嚥下機能(食べ物を咀嚼して食道に送り込む機能)が正常に働くことで、食べ物や液体が誤って気管に入ることは防がれていますが、何らかの原因で嚥下機能が低下すると、誤嚥が発生しやすくなります。
犬や猫ではそれほど頻繁に見られる病気ではありませんが、嚥下機能が低下するシニア期に入り嚥下機能が低下した場合や、強制給餌を行っている場合、または巨大食道症(食道が拡張する病気)で頻繁に吐き戻しをしていると、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。
今回は、犬と猫の誤嚥性肺炎について、その原因や症状、診断法、治療法を詳しく解説します。
原因
口の中には無数の細菌が存在しており、咀嚼した食べ物にも多くの細菌が付着しています。通常、食べ物は嚥下によって食道に送られて気管には入らないため、気管や肺は無菌の状態が保たれています。
しかし、嚥下機能が低下して食べ物や異物が誤って気管に入ると、それに付着した細菌や物理的な刺激によって炎症が起こり、肺炎が引き起こされます。これが誤嚥性肺炎です。
誤嚥性肺炎の主な原因は以下の通りです。
・加齢による嚥下機能の低下・巨大食道症による吐き戻し
・意識レベルの低下時、麻酔中、または麻酔から覚める際の嘔吐
・誤った強制給餌や投薬
特に、嚥下機能が低下しているシニア期やフードを早食いする癖がある犬は注意が必要です。さらに、フレンチ・ブルドッグやパグなどの短頭犬種、巨大食道症や喉頭麻痺の既往歴がある場合も、誤嚥性肺炎のリスク因子となるため注意してください。
よくある誤嚥のケース
通常、嚥下機能が正常であれば誤嚥はほとんど起こりません。しかし、頻繁に誤嚥が見られる場合、何らかの原因で嚥下機能が低下している可能性があります。
また、誤嚥の発生には以下のようないくつか共通するパターンがあります。
・巨大食道症や喉頭麻痺の子が、うまく吐き出せずに誤嚥してしまうことがある
・高齢の犬や猫が横になったまま物を飲み込もうとする
・強制給餌を行って誤嚥してしまう
・年を取って飲み込む力が弱まり、誤嚥してしまう
・呼吸器疾患で咳をしながら飲み込むことで誤嚥してしまう
・フードを急いで食べ過ぎて誤嚥してしまう
これらのケースに当てはまる場合は、誤嚥性肺炎のリスクが高くなるため、特に注意が必要です。
症状
誤嚥性肺炎には、大きく分けて3つのステージがあります。
1、気道反応:誤嚥の初期には、気管や気管支に浮腫や収縮が見られます。
2、炎症反応:炎症細胞である好中球やマクロファージが炎症部位に集まり、肺血管の透過性が亢進します。炎症が強い場合は肺水腫(肺に血液の液体成分が溜まり、呼吸困難になる状態)になることがあります。
3、二次感染:細菌の二次感染により、細菌性肺炎が生じ、重症化します。
これらのステージによって症状は異なり、初期には咳や発熱などが見られますが、進行すると呼吸困難や元気・食欲の低下、ぐったりして動かないといった全身的な症状が現れます。
犬と猫で症状に大きな差はありませんが、猫の方が症状がはっきりしないことが多いです。進行しても咳や呼吸困難といった症状に気づきにくいため、特に注意が必要です。
誤嚥性肺炎に限らず、猫は体調が悪くなると隠れたり、元気や食欲が低下したりする傾向が強いので、これらのサインを見逃さないようにしてください。
診断方法
誤嚥性肺炎の診断は、以下の方法で行います。
・身体検査:発熱や咳があるか、呼吸数や肺音に異常がないかを確認します。
・血液検査:白血球数やCRP、SAAなどの炎症マーカー(炎症時に上昇する項目)に異常がないかを調べ、全身の状態を把握します。
・レントゲン検査:誤嚥性肺炎の場合、レントゲンで肺が白く映ります。特に右中葉、右前葉、左前葉後部に炎症が起こりやすいです。また、肺水腫の有無も確認します。
・超音波検査:肺炎に特徴的な所見や、吐出や嘔吐の原因となる疾患が腹部臓器にないかを確認します。
まれに、より正確に炎症部位の把握や、誤嚥性肺炎を引き起こす原因疾患を特定するために、全身麻酔をかけてCT検査を行うこともあります。
治療方法
誤嚥性肺炎は呼吸に直接影響し、命に関わるため、入院して集中的な治療を行うことが多いです。
主な治療方法は以下の通りです。
・酸素療法:呼吸状態が悪い場合に行います。
・抗菌薬の投与:細菌の二次感染を予防・治療するために必要です。
・輸液療法:体液の補充を行いますが、過剰な輸液は肺水腫を引き起こし、呼吸状態をさらに悪化させる可能性があるため、慎重に行います。
入院中はこれらの治療を行いながら、体力の回復を待ちます。
予防法
誤嚥性肺炎は飼い主様の工夫次第である程度予防することが可能です。
具体的には、横になったまま強制給餌を行わないようにすること、早食いを防ぐために専用の食器を使うこと、フードを少量ずつ与えることが挙げられます。また、定期的に健康診断を受けることも重要です。
さらに、巨大食道症や喉頭麻痺などの既往歴がある場合には、適切な治療を継続することが必要です。
これらの適切な食事管理や定期的な健康チェックが、誤嚥性肺炎の予防に繋がります。
まとめ
誤嚥性肺炎の多くは1週間程度で回復しますが、シニアの場合や治療が遅れた場合には重症化して命に関わることもあるため、決して油断はできません。
誤嚥性肺炎は呼吸に直接影響するため、早期発見と早期治療が治療成績に大きく影響します。もし、愛犬や愛猫の呼吸や普段の様子に違和感があれば、すぐに動物病院を受診してください。
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