
コラム
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症例
犬や猫のスケーリングって必要?歯石・口臭・歯周病を防ぐために知っておきたいこと
「口が臭う気がする」「歯が黄ばんでいる」「歯磨きを嫌がるようになった」
愛犬や愛猫のこうしたお口のトラブルに悩まれている飼い主様も少なくないのではないでしょうか。
その原因の多くは“歯石”や“歯周病”によるものです。歯周病の予防や進行を抑えるためには、日常のケアに加えて「スケーリング(歯石除去)」という処置が有効な場合があります。
今回は、犬や猫のスケーリングについて、必要性や処置の内容、実施の目安などを詳しく解説します。
歯石はどうしてつくの?歯周病の進行とリスク
犬や猫のお口の健康を守るためには、まず「歯石がどのようにしてできるのか」を知っておくことが大切です。ここでは、歯石ができるまでの流れと、放置した場合に起こりうるリスクについてご説明します。
・歯垢(プラーク):食べかすや細菌が歯の表面にたまったもの
・歯石:歯垢が時間とともに石のように硬くなった状態(数日で形成)
・歯周病:歯石の中で増殖した細菌が、歯ぐきや歯を支える骨にダメージを与える状態
歯垢のうちに落とせれば、歯磨きなどのケアで対応できますが、一度歯石になってしまうと自宅で取り除くことはできません。放置すると、炎症が進行し、歯ぐきが腫れたり、歯がぐらついたり、さらには抜けてしまうこともあります。
また、歯周病が悪化すると口臭や痛みだけでなく、心臓・腎臓など他の臓器に影響を及ぼすおそれもあるため、注意が必要です。
▼犬・猫の歯周のについてはこちらで詳しく解説しています
スケーリングとは?歯石を取るための処置内容と流れ
スケーリングとは、歯にこびりついた歯石を専用の機器で除去する処置のことをいいます。歯周病の進行を防ぎ、口腔内を健康な状態に近づけるために行います。
◆ 全身麻酔下での処置が基本
スケーリングは歯の裏側や歯周ポケット(歯と歯ぐきの隙間)まで丁寧に行う必要があるため、基本的には全身麻酔下で実施します。
「麻酔が心配…」という飼い主様もいらっしゃいますが、動いてしまうと処置中に口の中を傷つけてしまうおそれがあるため、安全性を考えても麻酔下での実施が望ましいとされています。
◆ スケーリングの流れ
1.術前検査
血液検査などを行い、全身麻酔に耐えられる健康状態かどうかを確認します。
2.麻酔導入
体調に配慮しながら、全身麻酔をかけていきます。
3.スケーリング処置
専用の器具を使って、歯にこびりついた歯石を丁寧に除去します。
4.必要に応じた処置
歯がぐらついている場合は、抜歯などの処置を行うこともあります。
5.ポリッシング(研磨)
歯の表面を磨き、再び歯石や汚れがつきにくくなるように仕上げます。
処置後は、麻酔からの覚醒や食事の様子を確認し、状態が安定してからご帰宅いただきます。
スケーリングはした方がいい?必要なケースと判断のポイント
スケーリングはすべての犬・猫に必要というわけではありませんが、歯石がすでに付着している場合や、口臭・出血・ぐらつきがある場合は実施を検討した方がよいケースです。
以下のようなサインが見られる場合は、一度動物病院でのチェックをおすすめします。
・口臭が強くなった
・歯の黄ばみや茶色い汚れが目立つ
・歯ぐきが赤く腫れている
・食べにくそうにしている
・歯を触られるのを嫌がる
<予防のためのチェックも大切>
歯石がついていなくても、定期的にお口の中をチェックする習慣をつけることが大切です。早期に異常を発見できれば、処置の負担も軽く済みます。
「歯磨きの仕方がわからない」「嫌がってできない」など、お困りの際もぜひご相談ください。
<7〜8月限定!スケーリングキャンペーン実施中!>
姉ヶ崎どうぶつ病院では、現在、以下の内容で「スケーリングキャンペーン」を実施しています。
・実施期間: 2025年7月1日〜8月31日
・キャンペーン内容: 犬・猫のスケーリング費用 20%オフ(※術前検査費用は対象外)
歯石除去を検討されている飼い主様は、ぜひこの機会をご活用いただければと思います。ご希望の方は、どうぞお早めにお問い合わせください。
▼スケーリングキャンペーンについての詳しいご案内はこちらから
まとめ
歯石や歯周病は、見えにくく気づきにくいものですが、実は犬や猫の健康に大きな影響を及ぼすことがあります。スケーリングは、そうしたお口のトラブルを防ぐための大切なケアのひとつです。
「口が少しにおう気がする」「歯の色が変わってきたかも?」
そんなちょっとした気づきが、早めのケアにつながります。愛犬・愛猫がずっと元気に過ごせるように、お口の健康も注意深く見守ってあげましょう。
気になることがあれば、どうぞお気軽に当院までご相談ください。
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猫の夏バテ・体調不良に注意!夏に気をつけたい病気と予防のポイント
暑さが厳しくなる季節。人と同じように、猫にとっても過ごしにくい時期です。「ぐったりしている」「ごはんをあまり食べない」など、夏になると体調の変化が見られることも少なくありません。
猫は体調不良を隠しやすい動物でもあるため、飼い主様が早めに気づき、対策をとってあげることが大切です。
今回は、夏に気をつけたい猫の病気や不調、予防のポイントについてご紹介します。
猫に多い“夏特有の体調不良”とは
夏は気温や湿度の変化によって猫の体にさまざまな影響が出やすくなります。いくつかの症状が重なって現れることもあり、日々のちょっとした変化を見逃さないように注意が必要です。
◆ 猫の夏バテ
暑さによるストレスや食欲の低下、水分不足などが重なることで、元気がなくなったり、ごはんを残すようになる「夏バテ」の症状が見られることがあります。
特に高齢の猫や持病のある猫は体調を崩しやすいため、いつも以上に慎重な見守りが大切です。
◆ 脱水症状
気温が高い日が続くと、体内の水分が失われやすくなりますが、猫はもともと水をあまり飲まない傾向があります。そのため、軽度の脱水でも体に大きな負担となることがあり、元気がなくなる・便秘になる・尿が少なくなるなどの症状が見られることがあります。
◆ 皮膚トラブル(湿疹・かゆみ)
湿度が高いと皮膚が蒸れやすくなり、かゆみや赤み、湿疹などのトラブルが増える傾向があります。特に長毛種や毛の密度が高い猫では、皮膚の通気性が悪くなりやすく、トラブルが起こりやすい状態です。
◆ 下痢・嘔吐
暑さによる胃腸の乱れや、ちょっとした食事の変化、ストレスなどがきっかけで、下痢や嘔吐が起こることもあります。原因がはっきりしない体調不良が続く場合には、内臓の病気が隠れていることもあるため、早めの受診を検討しましょう。
◆ 熱中症(室内でも発症あり)
「猫は室内にいるから安心」と思われがちですが、風通しが悪い部屋やエアコンを切った室内では、熱中症を起こすリスクがあります。呼吸が荒くなる、体が熱い、よだれが出るなどの症状がある場合は、すぐに動物病院へご連絡ください。
猫は体調の変化を隠してしまいやすい動物だからこそ、小さなサインに気づいて早めに対応してあげることが、夏を健やかに過ごすための第一歩になります。
夏バテや病気を防ぐための予防対策
夏を元気に乗り切るためには、日々のちょっとした工夫がとても大切です。猫は環境の変化に敏感で、不調を隠す傾向があるため、予防的なケアを意識して行いましょう。
◆ 室温・湿度管理
猫にとって快適な環境を保つためには、室温26〜28℃前後、湿度50〜60%程度を目安に、エアコンや除湿器を上手に活用するのがおすすめです。
ただし、冷やしすぎや風の直当てはかえって負担になることもあります。次のような工夫で、猫が自分で快適な場所を選べるようにしてあげましょう。
・風が直接当たらないスペースをつくる
・冷感マットやタイル、涼しい床を複数用意する
・カーテンで日差しを和らげる工夫をする
猫がリラックスできる場所をいくつか用意しておくことで、暑さからくるストレスも軽減できます。
◆ 水分補給サポート
夏は水分が失われやすく、脱水症状のリスクが高まる季節です。普段からしっかり水分をとれるように、以下のような工夫を取り入れてみてください。
・複数の場所に水飲み場を設置する
・新鮮な水にこまめに交換する
・ウェットフードやスープ仕立てのごはんを取り入れる
・飲みやすい水温(冷たすぎない温度)を調整する
猫の好みに合わせた環境づくりが、水分摂取のサポートにつながります。
◆ 食事の見直し
暑さで食欲が落ちてくると、体力の低下や夏バテの悪化につながることがあります。もし、食べる様子に変化が見られる場合は、以下のような見直しを検討してみましょう。
・粒の大きさや硬さを調整して、食べやすさを改善する
・香りが立ちやすいフードや嗜好性の高いものを取り入れる
・1回の量を少なくし、回数を増やしてこまめに与える
無理に食べさせようとするのではなく、猫のペースを尊重しながら工夫してあげることが大切です。
◆ 被毛のお手入れ
被毛のケアは、皮膚の健康や体温調節のためにも重要です。特に長毛種は、毛玉ができやすく、皮膚トラブルの原因にもなるため、こまめなブラッシングを心がけましょう。
・毛玉や抜け毛を取り除き、通気性を確保する
・ブラッシング中に皮膚の異常にも気づきやすくなる
短毛の猫でも、定期的なブラッシングは快適な夏を過ごす手助けになります。
◆ 寄生虫対策(予防薬の継続)
ノミやダニは、夏場に活発化する寄生虫であり、皮膚炎や感染症のリスクを伴います。外に出ない猫であっても、人の衣類などから室内に入り込むことがあるので注意が必要です。
・ノミ・ダニ予防薬は「夏だけ」でなく通年での継続を
・一見健康に見えても、皮膚トラブルの原因になることもあるため予防が大切
猫の健康を守るために、定期的な予防薬の投与を忘れずに行いましょう。
「いつもと違う」が受診のサイン|相談の目安とは
猫は不調をわかりやすく訴えることが少ないため、飼い主様が日ごろの様子をよく観察しておくことが大切です。「なんとなく元気がない」「水をあまり飲まない」「寝てばかりいる」といった変化も、夏場は重要なサインになることがあります。
以下のような症状が見られた場合は、早めに動物病院へご相談ください。
・食欲の低下が続く
・嘔吐や下痢が1日以上続く
・呼吸が早い、苦しそうに見える
・元気がなく、反応が鈍い
・水を飲む量が極端に減った/増えた
「様子を見るか、病院に連れて行くか迷っている」というときも、お気軽にご相談ください。早めの対処が愛猫の負担を軽減することにつながります。
まとめ
猫は季節の変化に敏感で、特に夏はさまざまな体調不良が起こりやすい時期です。予防のポイントを押さえながら日々の生活を見直すことで、愛猫の健康を守ることができます。
もし「いつもと違う」と感じることがあれば、早めのご相談をおすすめします。姉ヶ崎どうぶつ病院では、猫の繊細な変化にも丁寧に対応し、飼い主様と一緒にその子に合ったケアを考えてまいります。
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犬と猫の熱中症を防ぐ|家庭でできる温度管理と応急処置のポイント
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雨の日も楽しく運動不足対策!室内犬のストレス解消アイディア
梅雨の時期になると、お散歩に行けない日が増え、愛犬のストレスが気になるという飼い主様も多いのではないでしょうか。
外で思いきり体を動かすことができない日が続くと、運動不足だけでなく、心のバランスにも影響が出ることがあります。「最近いたずらが増えた」「落ち着きがなくなった気がする」といった変化がみられるときは、愛犬がストレスを感じているサインかもしれません。
今回は、雨の日でも愛犬が楽しく過ごせるよう、自宅で実践できるストレス解消アイディアをご紹介します。
その行動、ストレスかも?運動不足がもたらす体と心の変化
室内で生活している犬にとって「運動」は心身の健康に欠かせない要素です。
本来、犬は散歩を通して探検したり、においを嗅いだり、人や動物と関わったりしながら、本能的な欲求を満たしています。
しかし、天候不良などで刺激の少ない日が続くと、心と体のバランスが崩れやすくなり、知らず知らずのうちにストレスがたまってしまいます。
<室内犬が抱えやすいストレスの原因>
・運動不足
・外の刺激がない環境
・日常の単調さ
・コミュニケーション不足
こうした要素が重なると、さまざまなストレスサインとして行動に表れることがあります。
<よくみられるストレスサイン>
・破壊行動:おもちゃをかじり続ける、家具を壊す
・落ち着きのない行動:吠え続ける、そわそわと動き回る
・過剰なグルーミング:前足をなめ続ける、体をかきむしる
・反復的な動き:しっぽを追いかける
・体調の変化:食欲不振、下痢など
このようなサインがみられた場合は「雨の日だから仕方ない」と済ませず、少しでもリフレッシュできる環境づくりを心がけてあげましょう。
おうちでできる!室内でのストレス&運動不足解消法
雨の日でも、ちょっとした工夫で愛犬と楽しく過ごすことができます。ここでは、室内で手軽にできる運動や遊びのアイディアをご紹介します。
◆ 室内でもできる軽い運動
体を動かすことでエネルギーを発散し、問題行動の予防にもつながります。
・「持ってきて」遊び
ボールやおもちゃを軽く投げて「もってきて!」と声をかけましょう。持ってきたらしっかり褒めて、楽しさと達成感をプラス。
・タオルで作るミニ障害物レース
丸めたタオルやクッションで簡単なコースをつくり、またがせたりくぐらせたり。体と頭を同時に使う、良い刺激になります。
・軽い引っ張りっこ
ロープやぬいぐるみを使って遊びます。「スタート」「おしまい」の合図を決めておくと、興奮しすぎず遊べます。
・かくれんぼ遊び
飼い主様が隠れて名前を呼び、探してもらう遊びです。遊びながら絆が深まり、見つけたときの喜びが自信にもつながります。
◆ 知育トイで「頭の運動」
頭を使った遊びは、退屈やストレスの解消に効果的です。
STEP① フードやおやつを少量準備
STEP② コングやおやつボールなどにセット
STEP③ 鼻や前足で工夫する様子を見守り、時々声をかけて応援しましょう
◆ トリック練習で集中力アップ
指示に集中することで気持ちが落ち着き、1日のメリハリづくりにも役立ちます。
STEP①「おすわり」「ふせ」「くるん」など基本的なトリックを選ぶ
STEP② 成功したらすぐにご褒美を
ご褒美は、おやつだけでなく、ほめ言葉やスキンシップでもOKです。ご褒美が毎回おやつだとカロリー過多になることもあるため、愛犬が喜ぶ方法をうまく取り入れましょう。
楽しみながら「できた!」を重ねることで、落ち着きや自信が育ちます。
◆ スキンシップ&マッサージで安心感を
体を動かしたあとは、ゆったりとした時間も大切です。
やさしく撫でたり、顔まわりや背中、肩などをマッサージしてあげましょう。
飼い主様のぬくもりは、愛犬にとって大きな安心材料です。特に雨音や気圧の変化で不安定になりやすい日は、スキンシップが心の安定にもつながります。
<ワンポイントアドバイス>
子犬や高齢犬、小型犬は体力に限界があります。
運動量や刺激は、その子に合ったペースで調整してあげましょう。
症状が続くときは要注意|病気や行動の専門的サポートも
室内での工夫をしても、なかなか元気が戻らない、行動が普段と違う…そんなときは「ストレス以外の原因」が隠れていることも考えられます。
一見ストレスのように思える行動でも、以下のような身体の不調が関係しているケースも少なくありません。
・甲状腺機能の異常:元気がない、寝てばかりいる
・関節疾患:動きたがらない、攻撃的になる
・消化器の不調:食欲不振、嘔吐や下痢が続く など
▼消化器の不調についてはこちらで詳しく解説しています
体調と行動の変化は密接に関係しているため「様子を見ているうちに悪化してしまった」というケースもあり、注意が必要です。「雨のせいかな」「そのうち治るかも」と見過ごさず、小さな変化でも気になることがあれば、早めの受診をおすすめします。
<行動面が気になる場合は専門家に相談を>
次のような問題行動が続く場合は、獣医師やドッグトレーナーのサポートを受けるのも一つの方法です。
・家具を壊す、トイレの失敗が続く
・吠えやすくなった、要求が増えた
・落ち着きがなく、指示が通らない
行動診療を取り入れている動物病院や、しつけ・環境の見直しを支援する専門家に相談することで、飼い主様と愛犬の双方が安心して過ごせる環境づくりにつながります。
まとめ
梅雨や雨の日が続くと、愛犬にとってもストレスがたまりやすくなります。運動不足や刺激の少なさによって心と体のバランスが崩れ、行動や体調に変化が出ることも珍しくありません。
そんなときこそ、日常のなかでできる工夫が大切です。知育トイや室内遊び、トリック練習、スキンシップなどを取り入れることで、愛犬が楽しくリフレッシュできる時間をつくってあげましょう。
一方で、ストレスのように見える症状のなかには、体の不調や病気が隠れていることもあります。気になる行動が続くときや、普段と様子が違うと感じたときには、早めに動物病院へご相談ください。
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犬の夏バテ対策ガイド|予防法と症状が出たときの正しい対処法
夏の暑さは、犬にとっても大きな負担になります。特に高温多湿な日本の夏は、体温調節が苦手な犬にとって過酷な季節です。
暑さが続くと、体力の消耗や体調の変化が少しずつ表れてくることもあります。深刻な体調不良につながる前に、早めの対策を講じることが大切です。
今回は、夏バテを防ぐための日常の工夫と、症状が出たときに飼い主様ができる対処法について、獣医師の視点から詳しく解説します。
その不調、夏バテかも?犬に見られるサインと注意点
犬の夏バテとは、暑さや湿度によって体に負担がかかり、食欲や元気が少しずつ落ちていく状態を指します。明確な医学用語ではありませんが、人と同じように夏の暑さで体調を崩すことがあり、放っておくと深刻な不調につながることもあります。
特に短頭種(フレンチ・ブルドッグ、パグなど)や高齢犬、肥満の犬、持病がある犬は、夏バテや熱中症のリスクが高いため注意が必要です。
<夏バテの主な症状>
・食欲の低下
・活動量の減少、寝てばかりいる
・元気がなくなる
・下痢や軟便、嘔吐
・呼吸が荒くなる、パンティングが増える
夏バテは熱中症と違い緊急性を要するものではありませんが、徐々に体調に変化が生じます。日々の様子を観察し、いつもと違うサインに早めに気づいてあげましょう。
今日からできる!犬の夏バテ予防法
夏バテを防ぐためには、毎日の生活環境や習慣の見直しがとても大切です。ここでは、すぐに始められる4つの対策をご紹介します。
◆ 室温・湿度を快適に整える
犬は人より暑さに弱く、自力で体温を下げるのが得意ではありません。エアコンや扇風機を上手に使い、快適な環境を保ちましょう。
・エアコンは日中・夜間ともに使用する(26〜28℃が目安。暑さに弱い犬はやや低めに)
・直射日光を避けられるように、カーテンや家具の配置を見直す
・扇風機やサーキュレーターで空気を循環させる
犬が自分で涼しい場所を選べるよう、複数の居場所を用意しておくのもおすすめです。
◆ 水分補給の工夫
暑さによる脱水は、夏バテや熱中症の引き金になります。水を飲む量が少ない子には、次のような工夫をしてみましょう。
・水皿を複数の場所に設置する
・自動給水器を使うと飲む量が増える場合も
・ウェットフードやスープ、ゼリー状のおやつを取り入れる
・ペット用の経口補水液を活用する
飲む量が減っていると感じたときは、早めの対策が重要です。「飲める環境」だけでなく「飲みたくなる工夫」も大切です。
◆ 食事を無理なく続けられる工夫を
食欲の低下は夏バテの初期サインのひとつです。無理に食べさせようとせず、愛犬のペースに合わせた調整を心がけましょう。
・朝晩の涼しい時間帯に与える
・香りが立つフードを選ぶ(温めると嗅覚が刺激されやすくなります)
・野菜やささみなどを少量トッピングして食欲を引き出す
※トッピングはあくまで一時的な対応とし、主食の栄養バランスを崩さないようにしましょう。
◆ 散歩や運動の時間を見直す
真夏の日中の散歩は犬にとって負担が大きく、熱中症や肉球のやけどのリスクもあります。散歩の時間帯と内容を見直し、安全に体を動かせるようにしましょう。
・早朝または日没後など、気温が下がった時間帯に行く
・アスファルトの熱さを手で確認してから出発
・散歩の代わりに室内でのおもちゃ遊びやトリック練習も◎
「短時間でも毎日少しずつ動く」ことが、体力維持には効果的です。
このように、犬の夏バテは「暑い日に気をつければいい」だけではなく、日々の小さな工夫の積み重ねが、元気に夏を過ごすカギとなります。
それでも夏バテしてしまったら?症状別の対処法
どんなに気をつけていても体力や食欲が落ちてしまうことはあります。特に夏は、犬にとって体温調節が難しく、少しの体調の変化でもぐったりしてしまうことも珍しくありません。ここでは、軽度の夏バテに気づいたときに飼い主様ができるサポート方法をご紹介します。
◆ 静かで落ち着ける環境を整える
体調が優れないときは、過度な刺激もストレスの原因になります。家族の出入りが少ない静かな部屋や、風通しのよい場所でゆっくり過ごせるようにしてあげましょう。
◆ 体を冷やす工夫を取り入れる
鼻先やパンティングが続いたり耳が熱くなっているときは、体温が上がっているサインかもしれません。濡らしたタオルで体をやさしく拭いたり、保冷剤をタオルで包んで首元や内股に当てるなど、無理のない範囲で体を冷やす方法を取り入れてみてください。
◆ 食事は少量ずつ、回数を分けて与える
一度にたくさん食べられないときは、食事を1日3~4回に分けることで消化の負担を減らし、少しずつエネルギーを補給できます。
◆ 散歩や遊びよりも「しっかり休む」ことを優先
夏バテ気味のときは、軽い運動でも体に負担をかけることがあります。散歩は控えめにし、体調が回復するまでは安静に過ごすように心がけましょう。
<すぐに動物病院へ相談すべきサイン>
以下のような症状が見られる場合は、軽度の夏バテではなく、脱水症状や内臓疾患、熱中症などの命にかかわる緊急性の高い状態が疑われます。
・水や食事をまったく受け付けない
・嘔吐や下痢が繰り返し続いている
・体が熱い、あるいは冷たい
・呼吸が早く、苦しそうな様子がある
・舌や歯ぐきが白っぽい、青紫色になっている
・ぼんやりしていて、目に力がない
・横になったまま動こうとしない
どれかひとつでも当てはまる場合には「様子を見る」のではなく、できるだけ早く動物病院を受診してください。
まとめ
夏の暑さは、犬の体にとって大きな負担となります。体調の変化がゆるやかに進む夏バテは、気づいたときには食欲や元気が大きく落ちていることも少なくありません。
日々の生活の中でできる工夫をこまめに取り入れつつ、それでも様子が変わらない場合や「いつもと違うな」と感じたときには、早めに動物病院へご相談ください。
ちょっとした変化に気づいてあげることが、愛犬の健康を守る第一歩です。無理なくできることを続けながら、夏を元気に乗り切っていきましょう。
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