
コラム
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症例
雨の日も楽しく運動不足対策!室内犬のストレス解消アイディア
梅雨の時期になると、お散歩に行けない日が増え、愛犬のストレスが気になるという飼い主様も多いのではないでしょうか。
外で思いきり体を動かすことができない日が続くと、運動不足だけでなく、心のバランスにも影響が出ることがあります。「最近いたずらが増えた」「落ち着きがなくなった気がする」といった変化がみられるときは、愛犬がストレスを感じているサインかもしれません。
今回は、雨の日でも愛犬が楽しく過ごせるよう、自宅で実践できるストレス解消アイディアをご紹介します。
その行動、ストレスかも?運動不足がもたらす体と心の変化
室内で生活している犬にとって「運動」は心身の健康に欠かせない要素です。
本来、犬は散歩を通して探検したり、においを嗅いだり、人や動物と関わったりしながら、本能的な欲求を満たしています。
しかし、天候不良などで刺激の少ない日が続くと、心と体のバランスが崩れやすくなり、知らず知らずのうちにストレスがたまってしまいます。
<室内犬が抱えやすいストレスの原因>
・運動不足
・外の刺激がない環境
・日常の単調さ
・コミュニケーション不足
こうした要素が重なると、さまざまなストレスサインとして行動に表れることがあります。
<よくみられるストレスサイン>
・破壊行動:おもちゃをかじり続ける、家具を壊す
・落ち着きのない行動:吠え続ける、そわそわと動き回る
・過剰なグルーミング:前足をなめ続ける、体をかきむしる
・反復的な動き:しっぽを追いかける
・体調の変化:食欲不振、下痢など
このようなサインがみられた場合は「雨の日だから仕方ない」と済ませず、少しでもリフレッシュできる環境づくりを心がけてあげましょう。
おうちでできる!室内でのストレス&運動不足解消法
雨の日でも、ちょっとした工夫で愛犬と楽しく過ごすことができます。ここでは、室内で手軽にできる運動や遊びのアイディアをご紹介します。
◆ 室内でもできる軽い運動
体を動かすことでエネルギーを発散し、問題行動の予防にもつながります。
・「持ってきて」遊び
ボールやおもちゃを軽く投げて「もってきて!」と声をかけましょう。持ってきたらしっかり褒めて、楽しさと達成感をプラス。
・タオルで作るミニ障害物レース
丸めたタオルやクッションで簡単なコースをつくり、またがせたりくぐらせたり。体と頭を同時に使う、良い刺激になります。
・軽い引っ張りっこ
ロープやぬいぐるみを使って遊びます。「スタート」「おしまい」の合図を決めておくと、興奮しすぎず遊べます。
・かくれんぼ遊び
飼い主様が隠れて名前を呼び、探してもらう遊びです。遊びながら絆が深まり、見つけたときの喜びが自信にもつながります。
◆ 知育トイで「頭の運動」
頭を使った遊びは、退屈やストレスの解消に効果的です。
STEP① フードやおやつを少量準備
STEP② コングやおやつボールなどにセット
STEP③ 鼻や前足で工夫する様子を見守り、時々声をかけて応援しましょう
◆ トリック練習で集中力アップ
指示に集中することで気持ちが落ち着き、1日のメリハリづくりにも役立ちます。
STEP①「おすわり」「ふせ」「くるん」など基本的なトリックを選ぶ
STEP② 成功したらすぐにご褒美を
ご褒美は、おやつだけでなく、ほめ言葉やスキンシップでもOKです。ご褒美が毎回おやつだとカロリー過多になることもあるため、愛犬が喜ぶ方法をうまく取り入れましょう。
楽しみながら「できた!」を重ねることで、落ち着きや自信が育ちます。
◆ スキンシップ&マッサージで安心感を
体を動かしたあとは、ゆったりとした時間も大切です。
やさしく撫でたり、顔まわりや背中、肩などをマッサージしてあげましょう。
飼い主様のぬくもりは、愛犬にとって大きな安心材料です。特に雨音や気圧の変化で不安定になりやすい日は、スキンシップが心の安定にもつながります。
<ワンポイントアドバイス>
子犬や高齢犬、小型犬は体力に限界があります。
運動量や刺激は、その子に合ったペースで調整してあげましょう。
症状が続くときは要注意|病気や行動の専門的サポートも
室内での工夫をしても、なかなか元気が戻らない、行動が普段と違う…そんなときは「ストレス以外の原因」が隠れていることも考えられます。
一見ストレスのように思える行動でも、以下のような身体の不調が関係しているケースも少なくありません。
・甲状腺機能の異常:元気がない、寝てばかりいる
・関節疾患:動きたがらない、攻撃的になる
・消化器の不調:食欲不振、嘔吐や下痢が続く など
▼消化器の不調についてはこちらで詳しく解説しています
体調と行動の変化は密接に関係しているため「様子を見ているうちに悪化してしまった」というケースもあり、注意が必要です。「雨のせいかな」「そのうち治るかも」と見過ごさず、小さな変化でも気になることがあれば、早めの受診をおすすめします。
<行動面が気になる場合は専門家に相談を>
次のような問題行動が続く場合は、獣医師やドッグトレーナーのサポートを受けるのも一つの方法です。
・家具を壊す、トイレの失敗が続く
・吠えやすくなった、要求が増えた
・落ち着きがなく、指示が通らない
行動診療を取り入れている動物病院や、しつけ・環境の見直しを支援する専門家に相談することで、飼い主様と愛犬の双方が安心して過ごせる環境づくりにつながります。
まとめ
梅雨や雨の日が続くと、愛犬にとってもストレスがたまりやすくなります。運動不足や刺激の少なさによって心と体のバランスが崩れ、行動や体調に変化が出ることも珍しくありません。
そんなときこそ、日常のなかでできる工夫が大切です。知育トイや室内遊び、トリック練習、スキンシップなどを取り入れることで、愛犬が楽しくリフレッシュできる時間をつくってあげましょう。
一方で、ストレスのように見える症状のなかには、体の不調や病気が隠れていることもあります。気になる行動が続くときや、普段と様子が違うと感じたときには、早めに動物病院へご相談ください。
千葉県市原市の動物病院なら「姉ヶ崎どうぶつ病院」
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症例
犬の夏バテ対策ガイド|予防法と症状が出たときの正しい対処法
夏の暑さは、犬にとっても大きな負担になります。特に高温多湿な日本の夏は、体温調節が苦手な犬にとって過酷な季節です。
暑さが続くと、体力の消耗や体調の変化が少しずつ表れてくることもあります。深刻な体調不良につながる前に、早めの対策を講じることが大切です。
今回は、夏バテを防ぐための日常の工夫と、症状が出たときに飼い主様ができる対処法について、獣医師の視点から詳しく解説します。
その不調、夏バテかも?犬に見られるサインと注意点
犬の夏バテとは、暑さや湿度によって体に負担がかかり、食欲や元気が少しずつ落ちていく状態を指します。明確な医学用語ではありませんが、人と同じように夏の暑さで体調を崩すことがあり、放っておくと深刻な不調につながることもあります。
特に短頭種(フレンチ・ブルドッグ、パグなど)や高齢犬、肥満の犬、持病がある犬は、夏バテや熱中症のリスクが高いため注意が必要です。
<夏バテの主な症状>
・食欲の低下
・活動量の減少、寝てばかりいる
・元気がなくなる
・下痢や軟便、嘔吐
・呼吸が荒くなる、パンティングが増える
夏バテは熱中症と違い緊急性を要するものではありませんが、徐々に体調に変化が生じます。日々の様子を観察し、いつもと違うサインに早めに気づいてあげましょう。
今日からできる!犬の夏バテ予防法
夏バテを防ぐためには、毎日の生活環境や習慣の見直しがとても大切です。ここでは、すぐに始められる4つの対策をご紹介します。
◆ 室温・湿度を快適に整える
犬は人より暑さに弱く、自力で体温を下げるのが得意ではありません。エアコンや扇風機を上手に使い、快適な環境を保ちましょう。
・エアコンは日中・夜間ともに使用する(26〜28℃が目安。暑さに弱い犬はやや低めに)
・直射日光を避けられるように、カーテンや家具の配置を見直す
・扇風機やサーキュレーターで空気を循環させる
犬が自分で涼しい場所を選べるよう、複数の居場所を用意しておくのもおすすめです。
◆ 水分補給の工夫
暑さによる脱水は、夏バテや熱中症の引き金になります。水を飲む量が少ない子には、次のような工夫をしてみましょう。
・水皿を複数の場所に設置する
・自動給水器を使うと飲む量が増える場合も
・ウェットフードやスープ、ゼリー状のおやつを取り入れる
・ペット用の経口補水液を活用する
飲む量が減っていると感じたときは、早めの対策が重要です。「飲める環境」だけでなく「飲みたくなる工夫」も大切です。
◆ 食事を無理なく続けられる工夫を
食欲の低下は夏バテの初期サインのひとつです。無理に食べさせようとせず、愛犬のペースに合わせた調整を心がけましょう。
・朝晩の涼しい時間帯に与える
・香りが立つフードを選ぶ(温めると嗅覚が刺激されやすくなります)
・野菜やささみなどを少量トッピングして食欲を引き出す
※トッピングはあくまで一時的な対応とし、主食の栄養バランスを崩さないようにしましょう。
◆ 散歩や運動の時間を見直す
真夏の日中の散歩は犬にとって負担が大きく、熱中症や肉球のやけどのリスクもあります。散歩の時間帯と内容を見直し、安全に体を動かせるようにしましょう。
・早朝または日没後など、気温が下がった時間帯に行く
・アスファルトの熱さを手で確認してから出発
・散歩の代わりに室内でのおもちゃ遊びやトリック練習も◎
「短時間でも毎日少しずつ動く」ことが、体力維持には効果的です。
このように、犬の夏バテは「暑い日に気をつければいい」だけではなく、日々の小さな工夫の積み重ねが、元気に夏を過ごすカギとなります。
それでも夏バテしてしまったら?症状別の対処法
どんなに気をつけていても体力や食欲が落ちてしまうことはあります。特に夏は、犬にとって体温調節が難しく、少しの体調の変化でもぐったりしてしまうことも珍しくありません。ここでは、軽度の夏バテに気づいたときに飼い主様ができるサポート方法をご紹介します。
◆ 静かで落ち着ける環境を整える
体調が優れないときは、過度な刺激もストレスの原因になります。家族の出入りが少ない静かな部屋や、風通しのよい場所でゆっくり過ごせるようにしてあげましょう。
◆ 体を冷やす工夫を取り入れる
鼻先やパンティングが続いたり耳が熱くなっているときは、体温が上がっているサインかもしれません。濡らしたタオルで体をやさしく拭いたり、保冷剤をタオルで包んで首元や内股に当てるなど、無理のない範囲で体を冷やす方法を取り入れてみてください。
◆ 食事は少量ずつ、回数を分けて与える
一度にたくさん食べられないときは、食事を1日3~4回に分けることで消化の負担を減らし、少しずつエネルギーを補給できます。
◆ 散歩や遊びよりも「しっかり休む」ことを優先
夏バテ気味のときは、軽い運動でも体に負担をかけることがあります。散歩は控えめにし、体調が回復するまでは安静に過ごすように心がけましょう。
<すぐに動物病院へ相談すべきサイン>
以下のような症状が見られる場合は、軽度の夏バテではなく、脱水症状や内臓疾患、熱中症などの命にかかわる緊急性の高い状態が疑われます。
・水や食事をまったく受け付けない
・嘔吐や下痢が繰り返し続いている
・体が熱い、あるいは冷たい
・呼吸が早く、苦しそうな様子がある
・舌や歯ぐきが白っぽい、青紫色になっている
・ぼんやりしていて、目に力がない
・横になったまま動こうとしない
どれかひとつでも当てはまる場合には「様子を見る」のではなく、できるだけ早く動物病院を受診してください。
まとめ
夏の暑さは、犬の体にとって大きな負担となります。体調の変化がゆるやかに進む夏バテは、気づいたときには食欲や元気が大きく落ちていることも少なくありません。
日々の生活の中でできる工夫をこまめに取り入れつつ、それでも様子が変わらない場合や「いつもと違うな」と感じたときには、早めに動物病院へご相談ください。
ちょっとした変化に気づいてあげることが、愛犬の健康を守る第一歩です。無理なくできることを続けながら、夏を元気に乗り切っていきましょう。
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症例
犬の皮膚トラブルは梅雨が原因?|自宅でできる予防とケア
じめじめとした空気が続く梅雨の季節。
この時期になると、「なんだか最近よく掻いている」「皮膚が赤くなってきたかも」といったご相談が増えてきます。
高温多湿な環境は犬の皮膚にとって大きな負担となり、皮膚トラブルのリスクを高めます。気づかないうちに症状が進行してしまうこともあるため、日頃からのケアと予防がとても大切です。
今回は、梅雨時期に増えやすい犬の皮膚トラブルについて、家庭でできる予防ケアや生活環境の整え方を解説します。
梅雨時期に犬の皮膚病が増える理由
梅雨の時期は湿度が高く、蒸し暑い日が続きます。このような高温多湿の環境は、犬にとって過ごしにくく、皮膚トラブルが起こりやすくなる原因のひとつです。
特に、脇の下や股、耳の後ろ、首まわりといった湿気がこもりやすい部位では、皮膚のバリア機能が低下し、細菌やマラセチア(カビの一種)が繁殖しやすくなるため、皮膚炎などの症状を引き起こすリスクが高まります。
実際に当院でも、梅雨の時期になると皮膚に関するご相談が増加します。
かゆみや赤みといった軽い症状にとどまらず、膿が出ていたり、広い範囲で毛が抜けたりするケースも見られます。
代表的な皮膚病としては、以下のようなものが挙げられます。
・皮膚真菌症(マラセチア性皮膚炎など)
・細菌性皮膚炎
・膿皮症
これらの皮膚病は放置すると悪化しやすく、再発もしやすいため、早めの対処と継続的な予防が大切です。
梅雨時期に注意したい犬の皮膚病の症状と見分け方
飼い主様がご自宅で気づきやすい初期症状としては、以下のようなものがあります。
・体を頻繁に掻く、舐める、噛む
・皮膚が赤くなっている、あるいは腫れている
・特定の部位に脱毛が見られる
・フケが増える
・皮膚がベタつく、においが強くなる
・かさぶたができている、またはジュクジュクした部分がある
これらの症状は皮膚病の初期段階で見られることが多く、放置すると悪化する可能性があります。
特に、短期間で急激に症状が悪化している場合や、触れられるのを嫌がるなど痛がる様子が見られる場合は、速やかに動物病院を受診してください。
また、犬種によってはもともと皮膚トラブルを起こしやすい傾向があり、梅雨時期は特に注意が必要です。代表的な犬種には以下のようなタイプがあります。
・ポメラニアンやゴールデンレトリバーなどの長毛種
・パグやブルドッグなど皮膚にしわが多い犬種
・アレルギー体質の犬
このような犬種は、皮膚が蒸れやすく、細菌や真菌が繁殖しやすい環境になりやすいため、日頃から丁寧なケアが欠かせません。
梅雨時期の皮膚病予防
梅雨の時期に皮膚トラブルを防ぐためには、日常的なケアが非常に重要です。次のようなケアを意識して取り入れましょう。
◆散歩後のケア
雨の日の散歩後は、足先だけでなく、お腹や股、脇の下などの見落としがちな部分もタオルでしっかり拭き取りましょう。湿った状態が続くと雑菌が繁殖しやすくなり、皮膚トラブルの原因になります。
◆ブラッシング
ブラッシングは、被毛の通気性を保つうえで大切なケアです。さらに、皮膚の異常にも早く気づくことができるため、毎日の習慣として取り入れるのがおすすめです。
◆シャンプー
適切なシャンプーの頻度は犬種や皮膚の状態によって異なりますが、梅雨時期は特に汚れが付きやすいため、2〜3週間に1回を目安に行うとよいでしょう。皮膚の乾燥を防ぐために、低刺激で保湿効果のあるシャンプーを選ぶことが大切です。
※シャンプーの頻度については、かかりつけの動物病院でご相談ください。
◆獣医師推奨のケア用品を使用する
当院では、皮膚トラブルの予防として、薬用シャンプーや保湿スプレーの使用を推奨しています。製品によって成分や効果が異なるため、愛犬の状態に合ったものを選ぶことが重要です。気になる場合は、お気軽にご相談ください。
室内環境の整え方
皮膚病を予防するためには、体のケアだけでなく、生活環境を清潔に保つことも非常に重要です。特に梅雨の時期は、湿気によるカビやダニの繁殖が起こりやすくなるため、以下の点に注意して室内環境を整えましょう。
◆湿度管理
快適に過ごすためには、湿度の調整もとても大切です。
特に梅雨や夏場は湿度が高くなりがちですので、除湿器やエアコンの除湿機能を活用し、室内の湿度を40〜50%程度に保つように心がけましょう。
◆寝床やマットの管理
布製のベッドやマットは湿気がこもりやすく、雑菌やダニの温床となることがあります。通気性の良い素材を選ぶとともに、カバー類はこまめに洗濯・乾燥を行い、清潔な状態を保つようにしましょう。
◆清掃と換気
室内を清潔に保つことは、皮膚病を防ぐための基本です。
床は拭き掃除を取り入れて清潔を保ち、掃除機や空気清浄機を使用する際は、HEPAフィルター付きの製品を選ぶと、より効果的にハウスダストやアレルゲンを取り除くことができます。合わせて、定期的な換気も忘れずに行いましょう。
食事とサプリメントによる皮膚の健康維持
皮膚の健康を保つためには、外側からのケアだけでなく、体の内側からのサポートも非常に大切です。特に、湿度が高く皮膚のバリア機能が乱れやすい梅雨の時期には、日頃の食生活が皮膚の状態に大きく影響します。
まず注目したいのが、「オメガ3脂肪酸」「ビタミンE」「亜鉛」といった栄養素です。これらは皮膚や被毛の健康維持に欠かせない成分であり、日々の食事を通してしっかり摂取することが推奨されます。中でもオメガ3脂肪酸には抗炎症作用があり、皮膚の赤みやかゆみを和らげる働きが期待できます。
当院では、こうした栄養素を効率よく補える皮膚サポート用のサプリメントをご案内しています。たとえば、皮膚にやさしい設計のオメガ脂肪酸配合サプリメントや、消化吸収に優れた低アレルゲン処方のフード・おやつなどを、愛犬の体質や症状に合わせてご提案しております。
また、見落とされやすいポイントとして、食事アレルギーが皮膚トラブルの原因となる場合もあります。特に、新しいフードに切り替えた直後から皮膚の赤みやかゆみ、脱毛などの症状が見られた場合は、食物アレルギーが関係している可能性があります。
そのような場合には、アレルギーに配慮した療法食への切り替えや、必要に応じて食物アレルギー検査を行うことで、原因を明確にし、適切な対応につなげていくことが大切です。
治療法
万が一、皮膚病を発症してしまった場合でも、適切な治療を行うことで多くのケースで改善が期待できます。
治療方法は皮膚の状態や原因によって異なりますが、主に以下のような手段が用いられます。
◆薬浴
薬用シャンプーを使って皮膚を洗浄し、皮膚表面の汚れや余分な皮脂を取り除きます。皮膚を清潔に保つことで、治療効果を高めることが期待できます。
◆飲み薬・塗り薬
抗生物質や抗真菌薬を用いて原因となる細菌や真菌(カビ)の増殖を抑えます。さらに、抗炎症薬や外用薬、保湿剤などを症状に応じて組み合わせて使用します。
<治療期間>
症状の程度によって異なりますが、一般的には数週間から1ヶ月程度が目安となります。ただし、皮膚病の治療は改善が見られてもすぐに中断せず、獣医師の指示に従い、完治まで根気強く続けることが非常に大切です。
なお、皮膚病は再発しやすい傾向があるため、治療後も日常的な予防ケアや定期的な健康チェックを欠かさないようにしましょう。
まとめ
梅雨は高温多湿の環境により、皮膚トラブルが起こりやすい季節です。細菌やカビの繁殖を防ぐためには、早めの対策が欠かせません。
日々のスキンチェックや湿度管理、正しいケアを続けることで、多くのトラブルを防ぐことができます。
当院では、皮膚病の診察・検査はもちろん、日常ケアやサプリメント選びのご相談にも対応しております。気になることがあれば、どうぞお気軽にご相談ください。
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症例
夏の危険症状「犬の水中毒」を防ぐ!|安全な水遊びと正しい水分補給法
水遊びは夏の楽しみのひとつ。川や海、プールで愛犬と涼を楽しむ光景も多く見られます。
ところが、楽しいはずのその時間が、体調不良の引き金になることがあるのをご存じでしょうか? その代表例が「水中毒」と呼ばれる症状です。
水分補給は大切ですが、摂りすぎると命に関わることもあります。
一方で、水分が足りないと「脱水」につながり、体温調節がうまくいかず、熱中症のリスクが高まります。
つまり、「水分が足りなくても危険」「摂りすぎても危険」。このバランスをうまく保つことが、夏の健康管理では非常に重要です。
この記事では、あまり知られていない「犬の水中毒」について詳しく解説するとともに、正しい水分補給の方法や、安全に水遊びを楽しむための工夫についてご紹介します。
犬の水中毒とは?
水中毒とは、短時間に大量の水を摂取することで体内の電解質バランス(特に血液中のナトリウム濃度)が大きく低下した状態を指します。
その結果、細胞の中に水分が過剰に取り込まれ、特に脳の細胞に影響が及ぶと、神経症状や命に関わる合併症を引き起こすことがあります。
この症状は、プールや川、海などで長時間遊ぶ中で、犬が無意識に水を飲み込み続けてしまうことや、暑さによって水をがぶ飲みしてしまうことなどが原因となります。
特に、ホースの水を追いかけるような遊びが好きな犬や、興奮しやすい若い犬では、リスクが高くなる傾向があります。
水中毒は見た目で判断しづらく、初期症状が軽い違和感程度にとどまることもあるため、飼い主様が小さな変化に気づくことが、予防や早期対応の鍵になります。
また、水中毒は熱中症とは異なる症状です。
熱中症は体温の上昇や脱水が主な原因であるのに対し、水中毒は水を摂りすぎることで体内の塩分濃度が薄まることが原因となります。
▼熱中症についてはこちらで詳しく解説しています
水中毒の主な症状と発症するケース
水中毒の初期には、以下のような症状が見られることがあります。
・よだれが増える
・歩き方がふらつく
・嘔吐
・無気力でぼんやりとした表情になる
・呼びかけに対する反応が鈍くなる
これらの症状が進行すると、以下のような重い症状へと発展することがあります。
・筋肉のけいれん
・意識がもうろうとする
・昏睡状態になる
いずれも、命に関わる危険な状態です。
<発症しやすい場面>
発症しやすい場面としては、以下のようなケースが挙げられます。
・炎天下で長時間、水辺(川・海・プール)で遊ぶ
・水中に投げたおもちゃやボールを繰り返し回収させる
・ホースの水やスプリンクラーの水を勢いよく飲む
・暑さ対策として、水を過剰に飲ませてしまう
これらはいずれも「楽しい時間」の中で起こりやすく、まさか危険が潜んでいるとは思いにくい点が、水中毒の怖さでもあります。
水中毒を予防するための対策
水中毒を防ぐためには、日頃の工夫や遊び方の見直しが大切です。以下のような対策を意識しましょう。
◆遊びの時間を区切る
水遊びは1回あたり30分を目安にし、こまめに休憩を取りましょう。
◆水を飲む量をコントロールする
遊びの合間に意識的に休憩を挟み、落ち着いた状態で水を飲ませるようにしましょう。無意識に大量の水を飲んでしまうのを防げます。
◆陸上での遊びも取り入れる
いつも水遊びばかりにならないように、陸上での遊びや知育トイなど、頭を使う遊びも取り入れるとよいでしょう。
◆安全な遊び場所を選ぶ
水の深さが浅く、流れが緩やかな場所を選び、飼い主様が常に見守れる環境で遊ばせましょう。
◆普段から飲み方を見直す
水をがぶ飲みしやすい犬には、少量ずつゆっくり飲む練習を日頃から行っておくと、急激な水の摂取を防ぐことにつながります。
犬の体に必要な水分量と与え方
水分補給は、水中毒を防ぐためにも重要なポイントです。水の摂りすぎを避けながら、適切な水分をしっかりと補うことが、健康管理の基本となります。
以下のポイントを意識しましょう。
◆1日に必要な水分量の目安
一般的には、体重1kgあたり約50〜60mlが目安です。たとえば、体重10kgの犬であれば、1日あたり約500〜600mlの水分が必要とされます。
◆季節や活動量による調整
夏場や運動量が多い日には、通常より1.2〜1.5倍程度の水分が必要になることもあります。愛犬の様子を見ながら、飲水量を少しずつ調整していきましょう。
◆水を与えるタイミングを工夫する
朝の散歩前後、食後、寝る前など、決まった時間にこまめな水分補給を習慣化すると、飲みすぎや飲み忘れを防ぐことができます。
◆補助的な水分補給方法を活用する
水分が不足しがちなときは、ウェットフード、犬用経口補水液、ゼリー飲料などを取り入れるのも効果的です。愛犬の好みや体調に合わせて活用しましょう。
◆水の管理を徹底する
水は常に清潔な状態で用意しましょう。ボウルは毎日洗い、複数の場所に設置することで、自然と水を飲む機会が増えます。
こんなときはすぐ受診を!対処のポイントと判断基準
「なんとなく様子がおかしいかも?」と感じたときは、迷わず早めに対応することが大切です。以下のような対処を行い、すぐに動物病院にご連絡ください。
<すぐに受診が必要なサイン>
以下のような症状が見られた場合は、一刻も早く動物病院を受診してください。
✅けいれんを起こしている
✅意識がもうろうとしている
✅呼吸が荒く苦しそう
✅呼びかけに反応しない
<応急処置>
まずは水を飲むのを中止させ、安静に保ちます。
体が濡れている場合はタオルなどでしっかり拭き取り、体温が下がりすぎないように注意しましょう。
<症状の観察と記録>
ふらつき・嘔吐・けいれんなどの症状が出ていないかを落ち着いて確認しましょう。
動物病院での診察をスムーズに進めるために、以下のような情報をできるだけ詳しくメモしておくと安心です。
・水遊びをした時間や場所、遊びの内容
・飲んだ水の量やタイミング
・気づいた症状とその経過
・これまでの体調や持病の有無
小さな情報でも、獣医師にとっては重要な手がかりになります。思い出せる範囲で記録しておきましょう。
まとめ
季節を問わず、水分管理は愛犬の健康を守るうえでとても大切ですが、水の摂り方や量を間違えると、命に関わる事態を招くこともあります。
特に夏は「水中毒」と「脱水症状」という、相反するリスクの両方に注意が必要です。
「水分は多すぎても、少なすぎてもいけない」ということを、ぜひ心に留めておいてください。
愛犬の体調の変化にいち早く気づけるのは、いつもそばにいる飼い主様だけです。
「なんとなくいつもと違うかも」と感じたときには、迷わず早めに動物病院にご相談ください。
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犬と猫の熱中症を防ぐ|家庭でできる温度管理と応急処置のポイント
近年の日本の夏はもはや「猛暑」を通り越して、「命に関わる危険な暑さ」と言われるようになっています。
人にとってさえ厳しいこの暑さは、犬や猫にとってさらに過酷な環境です。
電気代を気にしてエアコンを止めてしまったり、「自分で涼しい場所へ移動できるから大丈夫」と油断してしまったりすることで、わずか数時間のうちに熱中症になり、命の危険が生じることもあります。
そこで今回は、犬や猫が熱中症になりやすい理由と、室温を適切に保つことでリスクをどのように減らせるのかについてご紹介します。
なぜ犬や猫は熱中症になりやすいの?
犬や猫は、人のように汗をかいて体温を下げることができません。
人は全身の汗腺から汗を出し、気化熱によって体を冷やすことができますが、犬の汗腺は足の裏に限られており、主に「ハァハァ」と口で息をする(パンティング)ことで体温調整を行っています。
ただし、このパンティングには限界があり、気温や湿度が高い環境では熱をうまく逃がすことができず、体温が急激に上がってしまいます。
特に、以下のような犬や猫は熱中症のリスクが高くなります。
・短頭種(パグ、フレンチブルドッグ、シーズーなど)
気道が狭く、呼吸による体温調整がしにくい傾向があります。
・シニア(高齢)
体温調整機能が低下しており、体に熱がこもりやすくなります。
・肥満傾向がある
皮下脂肪が断熱材のように働き、体内の熱が逃げにくくなります。
・心臓や呼吸器に持病がある
もともと負担の大きい状態にあるため、熱の影響を受けやすくなります。
室内でも安心できない?|家の中に潜む熱中症の危険
「外に出なければ安全」「室内は涼しいから大丈夫」
そんなふうに思ってしまいがちですが、実は熱中症は室内でも頻繁に発生しています。
たとえば、次のような状況に心当たりはないでしょうか?
・東向き・南向きの窓から日差しが強く差し込んでいる
・エアコンを使っているものの、設定温度が高すぎる(28℃以上)
・換気が不十分で、部屋の空気がこもっている
・フローリングが熱を持ち、床にいる犬や猫の体温が上昇してしまう
・留守中にエアコンが停止していた(ブレーカーが落ちた、タイマーが切れた、停電など)
特に留守番中は飼い主様が異変にすぐ気づけないため、熱中症のリスクが高くなります。
毎日の暮らしの中でできる熱中症予防のポイント
では、実際にどのように室内環境を整えれば、愛犬・愛猫を熱中症から守ることができるのでしょうか?
ここでは、室温・湿度の目安から、エアコンの使い方、留守番時の工夫、水分補給やお散歩の注意点まで、具体的な対策をご紹介します。
◆快適な室温と湿度の目安
犬や猫にとって快適な環境は、室温:24〜26℃前後、湿度:40〜60%です。
人が「少し涼しいかな」と感じる程度が、犬や猫にはちょうどよい温度といえます。
◆エアコンはどう使う?
外出中もエアコンは切らず、タイマーは使わずに常時稼働させるのが基本です。
風が直接当たらないよう風向きを調整し、冷房がしっかり効いているかどうかを出かける前に確認しましょう。
また、外出前にはフィルターの掃除や動作確認を行い、冷房がきちんと作動しているかなど、事前の確認をしておくとより安心です。
◆エアコン以外にもできる涼しさ対策
エアコンに加えて、室内の環境をより快適に保つための工夫も大切です。
たとえば、直射日光が入る窓には遮光カーテンやすだれを活用して、室温の上昇を防ぎましょう。空気がこもらないように、扇風機を併用して空気を循環させるのも効果的です。
また、床で過ごす時間が長い犬や猫のために、冷却マットや通気性の良いベッドを用意すると、体温の上昇を防ぐのに役立ちます。
◆こまめな水分補給をしやすくする工夫
脱水を防ぐために水分補給の環境も整えておきましょう。
新鮮な飲み水はいつでも飲めるようにしておき、複数の場所に置いておくのがおすすめです。水をあまり飲まない場合は、ぬるめの水に変えるなどの工夫をすると飲みやすくなることがあります。
また、「流れる水」を好む猫には、循環式の自動給水器を使うのもおすすめです。
◆お散歩は「暑くないとき」が基本です
夏場のお散歩は、気温や地面の熱の影響を受けやすいため注意が必要です。
特にアスファルトは非常に高温になり、犬の肉球をやけどさせてしまうこともあります。
外の暑さがやわらぎ、地面も熱くなっていない時間帯を選んで出かけるようにしましょう。
熱中症のサインと応急処置
どれだけ注意していても、突然の気温上昇や体調の変化により、犬や猫が熱中症を起こしてしまうことがあります。
そのとき、いち早く異変に気づき、適切に対応できるかどうかが命を守るカギとなります。
以下のようなサインが見られたら、熱中症を疑いましょう。
・激しくハァハァと呼吸をしている(パンティングが止まらない)
・よだれの量が増える
・落ち着きがなくウロウロする
・元気がなく、ぐったりして動かない
・嘔吐や下痢、ふらつきがある
このような症状が見られたら、すぐに冷房の効いた室内に移動させ、体をゆっくりと冷やしましょう。
脇の下や内股などの部分に濡れタオルを当てて冷やすのが効果的です。
氷水を直接かけるのは逆効果になることがあるため、急激な冷却は避けてください。
また、意識がはっきりしていて飲水できる場合は、常温の水を少量ずつ与えるようにします。
ただし、これらの対処はあくまで応急処置にすぎません。
見た目には落ち着いたように見えても、内臓にダメージを受けている可能性があるため、必ず動物病院で診察を受けましょう。
当院では、熱中症をはじめとする急な体調不良にも対応できるよう、診療時間外の緊急連絡体制を整えております。
お電話でのご相談や来院の判断に迷う際も、ご遠慮なくご連絡ください。
まとめ
夏の暑さは年々厳しさを増しており、熱中症は決して特別なことではなく、どのご家庭でも起こりうる身近なリスクです。
しかし、「正しい知識」と「適切な環境づくり」、そして「日頃のちょっとした気づき」があれば、防ぐことのできる病気でもあります。
この夏も、愛犬・愛猫が涼しく快適に過ごせるように、できることから無理なく始めてみましょう。
そして、少しでも不安なことや気になる変化があれば、お気軽に当院までご相談ください。
千葉県市原市の動物病院なら「姉ヶ崎どうぶつ病院」
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