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猫の糖尿病を見逃さない!|初期症状と治療のポイント

症例

猫の糖尿病は、インスリンが十分に働かないために血糖値のコントロールが難しくなる病気です。インスリンは膵臓から分泌され、体内の血糖値を調整する大切な役割を担っています。

 

通常、食事で摂取された糖は血液に取り込まれ、インスリンの働きによって細胞に吸収されてエネルギーとして使われます。しかし、インスリンの不足やインスリンが正常に分泌されても細胞が反応しにくい「抵抗性」がある場合、糖がうまく吸収されません。その結果、血糖値が高くなり、糖尿病が進行してしまうのです。

 

猫の糖尿病は、人間の2型糖尿病に似ており、特に肥満や高齢の猫に発症しやすい病気です。発症率は増加しており、猫全体の0.5〜1%が糖尿病を抱えていると推定されています。

 

今回は、猫の糖尿病について初期症状から治療法までを詳しく解説します。

症状|猫の糖尿病の初期症状を見逃さないために

・通常より多くの水を飲むようになる(多飲)

糖尿病により血糖値が高くなると、体は余分な糖を尿として排出しようとします。そのため、体内の水分が失われやすくなり、猫がいつもより頻繁に水を飲むようになります。

 

・排尿回数が増える(多尿)

血糖値が高くなると、腎臓は余分な糖を尿として排出しようとします。その結果、排尿回数が増え、尿の量も多くなります。

 

・食欲の増加(多食)

インスリンが不足すると、細胞がエネルギーをうまく取り込めなくなり、体が飢餓状態だと感じてしまいます。そのため、猫は普段以上に食事を欲しがるようになります。

 

・体重減少

猫がたくさん食べていても、インスリンが不足しているために体は十分なエネルギーを得られません。そこで、体は脂肪や筋肉を分解してエネルギーを作り出そうとするため、結果として体重が減ってしまいます。

 

・倦怠感や元気の低下

糖尿病によってエネルギーがうまく細胞に行き渡らなくなるため、猫は疲れやすくなり、普段より元気がなくなって活動量が減ってしまいます。

 

・毛艶の悪化

糖尿病の影響で体の調子が悪くなると、被毛にも変化が現れます。毛がパサつき、艶がなくなってしまうことがあります。

 

・嘔吐や脱水症状

糖尿病が進行すると、嘔吐や脱水症状が見られることがあり、これらは緊急の対応が必要なサインです。

 

猫の糖尿病のリスク要因とは?|年齢や肥満が引き金に

・年齢(中年以上の猫)

猫の糖尿病は、中年以上の猫に多く見られます。年齢を重ねることでインスリンの分泌が減少し、糖尿病のリスクが高まると考えられています。

 

・肥満

肥満は、糖尿病の大きなリスク要因の一つです。肥満になるとインスリンに対する細胞の反応が鈍くなり、血糖値のコントロールが難しくなります。特に室内飼いの猫は運動不足になりやすいため、肥満により糖尿病を発症しやすくなる傾向があります。

 

・去勢・避妊

去勢や避妊手術を受けた猫は、ホルモンバランスの変化によって体重が増えやすくなり、糖尿病のリスクが高まることがあります。そのため、手術後の体重管理がとても重要です。

 

・品種

一部の猫種は、他の猫種に比べて糖尿病のリスクが高いとされています。特に、バーミーズは糖尿病にかかりやすい傾向があることが知られています。

 

・運動不足

運動不足は肥満を招き、インスリンに対する感受性が低下してしまいます。特に室内飼いの猫は運動量が少なくなりやすく、その結果、肥満や糖尿病のリスクが高まります。

 

猫の糖尿病の診断方法|血液検査や尿検査で確認

猫の糖尿病は、血液検査や尿検査をもとに診断されます。以下に一般的な診断方法をご紹介します。

 

・血糖値測定

血液を採取し、血糖値を測定します。糖尿病の猫は、インスリン不足やインスリンに対する反応が低下しているため、血糖値が通常よりも高くなります

ただし、一時的なストレスでも血糖値が上昇することがあるため、血糖値測定だけでなく、他の検査結果も総合的に判断して診断が行われます。

 

・尿検査

尿検査では、尿中に糖(グルコース)やケトン体が含まれているかを調べます。糖尿病になると、血中の糖が過剰になり、腎臓で処理しきれずに尿に糖が漏れ出してしまいます。

また、ケトン体は、糖をエネルギー源として利用できない状態で脂肪が代謝された結果として現れるため、糖尿病の指標の一つです。

 

・フルクトサミン検査

フルクトサミン検査は、過去1〜2週間の平均血糖値を測定する検査です。この検査は、血糖値の一時的な上昇やストレスによる影響を避け、持続的な高血糖状態があったかどうかを確認できるため、より正確な糖尿病の診断に役立ちます。フルクトサミン値が高い場合、長期間にわたって血糖値が高かったことがわかります。

 

猫の糖尿病治療|インスリン治療と最新の経口薬センベルゴ

猫の糖尿病は、インスリン治療や経口薬、食事療法、運動療法など、さまざまな方法で管理されます。ここでは、特に2024年9月に発売された経口治療薬「センベルゴ」に焦点を当てて解説します。

 

<センベルゴ(経口投与薬)>

センベルゴは、従来のインスリン注射に代わる新しい経口治療薬です。その主な特徴とメリットは以下の通りです。

 

・経口投与

飼い主様が毎日インスリン注射を行う必要がないため、注射に抵抗がある猫や飼い主様にとって、ストレスが少ない治療法です。

 

・低血糖のリスクが少ない

インスリン注射に伴う低血糖症は非常に危険ですが、センベルゴはそのリスクが軽減されており、安全性が高いとされています。

 

・入院の必要がない

通院のみで治療を続けられるため、猫のストレスを軽減し、飼い主様の負担も軽くなります。

 

・センベルゴを使用する際の注意点

センベルゴを使用する場合は、定期的にケトン体の検査を行うことが推奨されています。ケトン体は、糖尿病の状態が悪化すると体内で増加する可能性があるため、これを確認することで糖尿病の管理がより安全に行えます。ケトン体の検査は、愛猫の健康をしっかりと見守るために大切なステップです。

 

<インスリン治療>

インスリン注射は、長年にわたり糖尿病治療の基本となっています。インスリンを注射することで、体内で不足しているホルモンを補い、血糖値を正常に保つことができます。

インスリン治療には毎日の注射が必要ですが、正確な量を調整することが大切です。

 

注射が苦手な猫にとってはストレスになることもあるため、飼い主様がサポートしてあげることが重要です。少しずつ慣れさせながら、猫にできるだけ負担をかけないように工夫していくことが大切です。

 

<食事療法>

糖尿病の猫には、低炭水化物食が推奨されています。炭水化物を減らすことで、インスリンが効率的に働き、必要なインスリン量を減らすことができます。療法食には糖尿病用のフードがあり、それを主食にすることで、血糖値を安定させる効果が期待できます。

 

<運動療法>

適度な運動は、糖尿病の管理にとても役立ちます。運動を通じて体重をコントロールし、インスリンの働きを助けることで、血糖値の安定に繋がります。ただし、過度な運動は血糖値の急激な変化を引き起こすことがあるため、獣医師と相談して、無理のない運動量を決めることが大切です。

 

猫の糖尿病を予防するための日常ケアと健康管理

糖尿病は一度発症すると管理が大変な病気ですが、日々のケアでリスクを大幅に減らすことができます。ここでは、猫の糖尿病を予防するための主な対策をご紹介します。

 

<適切な体重管理>

肥満予防は、糖尿病予防の中で最も重要なポイントです。猫が太りすぎると、インスリンの働きが鈍くなり、血糖値をコントロールする能力が低下します。

バランスの取れた食事と運動で、適切な体重を維持しましょう。特に室内飼育の猫は運動不足になりがちなので、キャットタワーやおもちゃを活用して運動量を確保することが大切です。

 

<バランスの取れた食事>

糖尿病の予防には、バランスの良い食事が欠かせません。猫には高品質なタンパク質が必要で、炭水化物の摂取はできるだけ控えるのが理想です。糖質が多いフードやおやつを避け、カロリーと栄養バランスに気を配りましょう。

 

<定期的な健康診断>

猫は糖尿病の初期段階で目立った症状を示さないことが多いため、定期健康診断が重要です。

1年に1回の血液検査や尿検査を受けることで、糖尿病の早期発見が可能になります。特に中高齢や肥満傾向のある猫は、定期的に診察を受けることをおすすめします。

 

<運動を取り入れる>

適度な運動は、糖尿病予防に役立ちます。日常的な遊びや運動を通じて体重を管理し、インスリンの働きを助けることができます。猫が楽しみながらできる運動を取り入れてあげることで、健康維持に繋がります。

 

まとめ

猫の糖尿病は、早期に発見して適切な治療を始めることで、長期的な健康を維持することができます。早期発見と治療が最も大切で、定期的な健康診断や日々の様子をしっかり観察することがその第一歩です。

特に肥満や加齢に伴うリスクが高い猫は、症状が見られないうちからしっかりとケアすることが重要です。定期的に獣医師の診察を受け、血糖値の測定や適切な食事、体重管理を心がけることで、糖尿病のリスクを抑えることができます。

 

愛猫が元気で長く健康に過ごせるように、少しでも気になる症状があれば、迷わず獣医師に相談することが大切です。

 

猫の糖尿病治療薬センベルゴに関する詳細はこちらから

 

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