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犬のフィラリア予防|始める時期・予防期間・薬のタイプを解説

症例

春が近づいてくると、動物病院でも「フィラリア予防」のお話を耳にする機会が増えてきます。

フィラリア症とは、蚊に刺されることで体内に寄生虫(フィラリア)が入り込み、最終的には心臓や肺の血管に寄生してしまう怖い病気です。

 

進行すると、呼吸が苦しそうになる、咳が出る、元気がなくなる、運動を嫌がるといった症状が見られるようになり、放っておくと命に関わることもあります。

 

ですが、正しいタイミングで予防を始めて継続的に対策を行えば、フィラリア症はほぼ100%防ぐことができます。

大切な愛犬を守るために、予防の時期や方法をしっかりと確認しておきましょう。

 

今回は、フィラリア予防を始めるタイミングや、愛犬に合った予防薬の選び方について解説します。

フィラリア予防を始めるベストなタイミング

フィラリア予防を始める時期は、お住まいの地域の気温や蚊の発生状況によって異なります。

蚊は気温が連続して10℃以上になると活動を始めるため、地域ごとの気候に合わせて、予防のスタート時期を決めることが大切です。

 

一般的には、多くの地域で5月〜12月頃までが予防期間とされていますが、例えば当院のある千葉県市原市エリアのように水田や川、雑木林が多く、自然が豊かな地域では、蚊の発生期間が長く続く傾向があります。そのため、当院では12月までしっかりと予防を続けることをおすすめしています。

 

フィラリア予防薬は、すでに体内に入り込んだフィラリアの幼虫を駆除するタイプのお薬です。

そのため、たった1回の飲み忘れでも、幼虫がそのまま体内で成長してしまい、心臓や肺の血管に深刻なダメージを与える可能性があります。

 

「もう蚊を見かけなくなったから、そろそろ大丈夫かな?」と思うかもしれませんが、実はここが大切なポイントです。

蚊の活動が終わった後も1〜2ヶ月間は体内に幼虫が残っている可能性があるため、予防を継続することがとても重要です。

 

フィラリア予防薬の種類と特徴

フィラリア予防薬には以下のような、さまざまなタイプがあります。

 

<経口薬(チュアブル・錠剤)>

月に1回飲ませるタイプが主流です。

中でもチュアブルタイプ(おやつのような形状)は、比較的与えやすいことから多くの飼い主様に選ばれています。

 

■メリット

・おやつのように食べられるので投薬しやすい

・フィラリア予防と同時に、お腹の寄生虫(回虫・鉤虫など)も駆除できる

・「ネクスガードスペクトラ」など一部の製品では、ノミ・ダニの予防もまとめて対応可能

 

■注意点

・食べムラがある犬は食べないこともあり、別の方法を検討する必要あり

・飲んだあとすぐに吐いてしまった場合は、効果が十分に得られないこともある

 

 

<スポットタイプ(滴下式)>

犬の首の後ろに液体を垂らすタイプの予防薬です。

皮膚から成分が吸収され、体全体に行き渡ります。

 

 ■メリット

・経口薬が苦手な犬でも使いやすい

・フィラリアだけでなく、ノミ・ダニの予防も同時にできる製品が多い

・ご自宅で簡単に塗布できる

 

■注意点

・薬剤が乾くまでは触らないよう注意

・シャンプーのタイミングに注意が必要(塗布後2日ほどは避けるのが理想)

 

 

<注射タイプ(年に1回)>

 動物病院での年1回の注射で、1年間フィラリア予防ができます。

 

■メリット

・毎月の投薬が不要なので、投薬の手間がかからない

・飲み忘れの心配がないため、忙しい方や多頭飼育のご家庭にもおすすめ

 

■注意点

・他の方法に比べて費用が高め

・副反応の可能性があるため、事前に獣医師と相談が必要

 

愛犬の体質・暮らし方に合わせたフィラリア予防薬の選び方

フィラリア予防薬を選ぶ際には、価格や手軽さだけで決めてしまうのではなく、愛犬の生活スタイルや体質に合った方法を選ぶことが大切です。

 

<外出頻度が高い場合>

お散歩の回数が多い場合や、ドッグランやキャンプなど屋外で過ごす時間が長い場合は、蚊に刺されるリスクが高くなります。
そのため、確実に予防ができる方法を選び、毎月の投薬を忘れずに行うことが大切です。

 

<散歩コースに水辺や緑が多い場合>

水田や川、公園、雑木林など、蚊が発生しやすい環境を歩く機会があると、蚊との接触リスクも高くなります。

このような環境では、年間を通じて予防を徹底する必要があります。

 

<室内中心の生活の場合>

室内で過ごすことが多い場合でも、窓や玄関から蚊が入り込むことは珍しくありません。

「室内だから安心」と思わずに、蚊の活動時期にはきちんと予防を続けることが重要です。

 

また、「価格が安いから」「お得だから」といった理由だけで予防薬を選ぶのではなく、愛犬の健康状態や性格、生活環境に合わせて最適な方法を選ぶことが、健康を守るうえで欠かせません。ご不安な点があれば、かかりつけの動物病院で相談しながら選ぶと安心です。

 

さらに、フィラリア予防に加え、ノミ・ダニ対策や腸内寄生虫の駆除も同時にできる予防薬を選ぶことで、より効率的に愛犬の健康管理がしやすくなります。

 

フィラリア予防のよくある質問と回答

Q.室内で飼っている場合も、フィラリア予防は必要ですか?

A.はい、室内飼いでも予防は必要です。

蚊は、窓の開閉や網戸のすき間、玄関の出入りなどを通じて、室内にも入り込んでくることがあります。

マンションの高層階でも蚊の侵入が確認されているため、「室内だから安心」と思わず、しっかりと予防を続けることが大切です。

 

Q.予防薬の投与を忘れてしまった場合はどうすればいいですか?

A.すぐに獣医師に相談しましょう。

1回の飲み忘れでも、体内に入ったフィラリアの幼虫が成長を始める可能性があります。

予防薬は単に“先延ばし”にして与えればよいというものではなく、投与のタイミングや検査の必要性を確認することが重要です。

忘れてしまったときは、できるだけ早く動物病院にご相談ください。

 

Q.予防期間中に蚊に刺されてしまった場合は大丈夫ですか?

A.予防薬を正しく使用していれば、問題ありません。

フィラリア予防薬は、蚊に刺されたあと、体内に侵入したフィラリアの幼虫を駆除するしくみです。

そのため、定期的に投薬していれば、蚊に刺されてもフィラリア症の発症は防ぐことができます

忘れずに投薬を続けることが、何よりも大切です。

 

Q.猫にもフィラリア予防は必要ですか?

A.はい、猫にも予防を検討することをおすすめします。

犬ほどではありませんが、猫も蚊に刺されることでフィラリアに感染するリスクがあります。

しかも猫の場合、体内にごく少数のフィラリアがいるだけでも、重い症状を引き起こすことがあるため、注意が必要です。

とくに蚊が多い地域では、猫用の予防薬を使った対策をかかりつけの獣医師と相談しながら進めましょう。

 

まとめ

フィラリア症は一度感染してしまうと治療が難しく、進行すると命に関わることもある怖い病気ですが、適切な時期に予防薬を使用することで、ほぼ100%予防することができます。

 

予防薬にはいくつか種類があり、与え方や効果の範囲もさまざまです。

愛犬の体質や生活スタイルに合った方法を選ぶためにも、かかりつけの動物病院で獣医師と相談しながら決めることが大切です。

 

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