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犬の免疫介在性溶血性貧血(IMHA)|歯ぐきが白い・元気がない様子に注意
「なんとなく元気がない」「食欲が落ちた」「散歩に行ってもすぐ座り込んでしまう」
こうした変化は、疲れや一時的な体調不良のように見えることがあります。
しかし、その背景に“貧血”が隠れていることもあり、なかでも見逃したくない病気のひとつが、免疫介在性溶血性貧血(IMHA)です。IMHAは、進行すると急に状態が悪くなることもあるため、いつもと違う様子に早めに気づくことが大切でしょう。
この記事では、犬のIMHAとはどのような病気なのか、どんな症状が出やすいのか、動物病院では何を確認するのか、診断後にどのような治療や見守りが必要になるのかを、飼い主様向けにわかりやすくご紹介します。
犬の免疫介在性溶血性貧血(IMHA)とは|赤血球が壊されて起こる、見逃したくない貧血
IMHAは、正式には「免疫介在性溶血性貧血(Immune-mediated hemolytic anemia)」と呼ばれる病気です。
体を守るはずの免疫が、細菌やウイルスではなく自分の赤血球を攻撃してしまい、赤血球が壊されることで貧血が起こります。赤血球は全身へ酸素を運ぶ役割を担っているため、その数が減ると、体のさまざまな部分が酸素不足になり、元気の低下やふらつきなどの症状につながります。
「貧血」と聞くと、ゆっくり進むイメージをもたれるかもしれません。しかしIMHAでは、比較的短い時間で状態が大きく変わることもあります。
また、赤血球が壊される過程で黄疸が見られる場合もあり、歯ぐきや白目、皮膚の薄い部分が黄色っぽく感じられることがあります。
重症例では命に関わることもあるため、単なる夏バテや胃腸の不調と決めつけず、様子見が長くなりすぎないよう注意が必要です。
なお、IMHAにははっきりした原因が見つからないタイプもあれば、感染症や炎症、腫瘍、薬剤など、ほかの要因が関係して起こるケースもあります。そのため、診断では「本当にIMHAなのか」を確認するだけでなく「背景に別の病気がないか」を見極めることも重要になります。
▼犬の夏バテについてはこちらで解説しています
犬のIMHAで見られやすい症状|歯ぐき・舌の色、元気や食欲の変化
IMHAで比較的気づきやすいのが、粘膜の色の変化です。見た目の変化で気づきやすい変化はこのようなものがあります。
・歯ぐきが白っぽい
・舌の色が薄い
・まぶたの裏の赤みが乏しい
・黄疸(白目や歯ぐきが黄色っぽく見える)
愛犬の口の中をじっくり見る機会は少ないかもしれませんが、口以外にも「いつもと色が違う気がする」と感じたら注意したいサインです。
また見た目以外にもこのような変化はないでしょうか?
・以前より寝ている時間が増えた
・呼んでも反応が鈍い
・散歩の途中で立ち止まる
・少し動いただけで疲れた様子を見せる
・呼吸が速くなる
・心拍が速くなる
・ふらつく、ひどいときには倒れる
・立ち上がりたがらない
・食欲不振、嘔吐、下痢などの消化器症状
これらは酸素不足を補おうとして体が頑張っているサインともいえます。赤血球が減って酸素をうまく運べなくなると、体は思うように動けなくなります。
また、全身状態の悪化に伴って、食欲不振や嘔吐などの消化器症状が出ることもあります。
飼い主様から見ると「年齢のせいかな」「今日は疲れているだけかも」と感じる程度でも、いくつかの違和感が重なっている場合は注意が必要です。
そのなかでも、とくに緊急性を意識したいのは以下のケースです。
・安静にしているのに呼吸が荒い
・急にぐったりした、ぐったりして顔つきまで変わって見える
・呼吸が苦しそう
・立てない、倒れた
・黄色っぽく見える
このようなときは「ひと晩休めばよくなるかも」と待たず、できるだけ早めに動物病院へご相談ください。
動物病院ではどんな検査をする?|IMHAを疑ったときに確認すること
IMHAが疑われるとき、動物病院ではまず「本当に貧血があるのか」「どのくらい重いのか」を確認します。そのうえで、赤血球が壊されている可能性があるのか、出血による貧血ではないのか、あるいは感染症や別の病気が関係していないかを整理していきます。
実際の診察では、まず身体検査で歯ぐきの色、心拍数、呼吸の様子、体温、脱水の有無などを確認します。
続いて血液検査で赤血球の数や貧血の程度を調べ、必要に応じて血液塗抹の確認も行います。赤血球の形の変化や壊れ方の特徴を見たり、ほかの血液異常がないかを確認したりすることで、診断の精度を高めていきます。
さらに、背景に関わる病気を探すために追加検査が行われることもあります。
IMHAは「歯ぐきが白いから確定」と診断できる病気ではなく、症状、血液検査、顕微鏡での確認、必要に応じた追加評価を組み合わせて判断していくものです。だからこそ、見た目の変化が軽いうちに受診できると、状態が悪化する前に、今の体の状態や原因を確認しやすくなります。
犬のIMHAと診断されたら|治療の考え方・予後・自宅での注意点
IMHAと診断された場合、治療は免疫の異常な働きを抑えながら、全身状態を回復させる形で進めていきます。状態によっては入院管理が必要になったり、重度の貧血では輸血が検討されたりすることもあります。
また、背景に感染症や別の病気が見つかった場合には、その治療も並行して考えていくことになります。
予後はすべての犬で同じではありません。貧血の重症度、血栓などの合併症の有無、治療への反応、背景にある病気によって、経過は大きく変わります。たとえばインターネットの個人ブログやSNSで見た情報だけで判断したり、他の犬の経過と単純に比べたりしないことが大切です。
いま目の前の状態を、獣医師と共に丁寧に追いながら、その犬に合った治療方針を考えていくことになります。
ご自宅ではこのような観点で見守りをしてあげてください。
・元気があるか
・食欲の変化
・呼吸の速さ
・歯ぐきの色
・ふらつきの有無
薬を飲み始めたあとも、急に元気が落ちたり、食べなくなったり、呼吸が速くなったりすることがあります。自己判断で薬を中止したり、通院の間隔を空けたりせず、気になる変化があれば早めに動物病院へ伝えるようにしましょう。
状態を見守りながら適切な治療を続け、ご自宅で安静に落ち着いて過ごすことが、回復への一歩となります。
まとめ|「少し変かも」と感じた段階で相談することが早期発見につながる
犬の免疫介在性溶血性貧血(IMHA)は、歯ぐきが白い、舌の色が薄い、元気がない、食欲が落ちるといった、些細な変化から始まることがあります。だからこそ、「もう少し様子を見よう」と後回しにしすぎず、小さな違和感の段階で相談することが早期発見につながります。
ひとつひとつの症状が軽く見えても、いくつか症状が見られた場合は注意が必要です。早めに確認しておくことが、安心にも、その後の治療の選択肢にもつながっていきます。
当院は、血液の流れや血管、心臓にかかる負担に関わる症状や病気も丁寧に診察しています。ささいな疑問や心配事にも、飼い主様にわかりやすく寄り添ってお答えします。まずは一度、当院に相談してみませんか?
千葉県市原市の動物病院なら「姉ヶ崎どうぶつ病院」
