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犬の肥満細胞腫|急に大きくなるしこりや赤いできものに気付いたら

症例

愛犬の体をなでているときに、「背中にしこりがある」「赤いできものがある」と気付き、不安になったことがある飼い主様もいらっしゃるのではないでしょうか?

 

犬のしこりやできものにはさまざまな原因があり、見た目だけで判断するのは簡単ではありません。なかでも肥満細胞腫は、自己判断しにくい腫瘍のひとつです。

 

この記事では、犬の肥満細胞腫の特徴や注意したい変化、診断と治療の流れをわかりやすく解説します。

犬の肥満細胞腫とは?|“しこり”として見つかることが多い腫瘍

肥満細胞腫は「肥満細胞」という細胞が腫瘍化してできる病気です。肥満細胞は、もともと体の中で炎症やアレルギー反応に関わる細胞ですが、それが異常に増えることで腫瘍になります。

 

犬では皮膚にできることが多く、飼い主様が最初に気付くきっかけは「しこり」や「できもの」である場合がほとんどです。背中やわき腹、足、顔まわりなど体の表面に見つかることもあれば、皮膚の下に触れるしこりとして見つかることもあります。

 

注意したいのは、肥満細胞腫の決まった色や形、大きさではないことです。丸く盛り上がったしこりのこともあれば、赤く腫れた皮膚のように見えることもあり、虫刺されや皮膚炎、脂肪腫と区別しにくいことがあります。

 

さらに、肥満細胞腫には悪性の経過をたどるものもあります。そのため「小さいから大丈夫」「動くから良性だろう」と放置せず、動物病院で早めに確認することが大切です。

 

▼犬や猫の皮膚のできもの(体表腫瘤)についてはこちらで詳しく解説しています

こんなしこりは要注意|肥満細胞腫でみられる変化

犬のしこりすべてが危険というわけではありません。

ただし、次のような変化がある場合には、悪性の肥満細胞腫の可能性を視野に入れて、慎重に考える必要があります。

 

・今まで小さかったしこりが急に大きくなった

・赤みが強くなった

・触ったあとに腫れぼったく見える

・表面がただれている

・微量でも出血している

・犬が気にしてなめている

・かゆがっている

 

肥満細胞腫は、刺激によって大きさや見た目が変わることがあり「昨日より大きい」「今日は少し引いたように見える」といった変化を繰り返すこともあります。また、ひとつだけでなく、複数のしこりが見つかるケースもあります。

 

しこり自体の変化のみならず、食欲低下や嘔吐、下痢がみられることもあります。これは、腫瘍化した肥満細胞から放出される物質が、胃腸に影響することがあるためです。皮膚の病変だけと思っていたのに、全身の不調につながることもあるため、体調の変化もあわせて見ておきたいところです。

 

<良性のしこりと悪性のしこりは見分けられる?>

よく、脂肪腫のような良性しこりでは「やわらかい」「皮下で動く」「ゆっくり大きくなる」と説明されます。

 

たしかに傾向としては参考になりますが、それだけで安全とは言い切れません。やわらかく触れるしこりでも、見た目がよくあるふくらみに見えても、細胞を調べてみないと判断できない場合があります。

診断と治療の流れ|生検で悪性度を確認

しこりやできものを見つけたとき、動物病院ではまず視診と触診を行います。いつからあったのか、どのくらいの速さで変化したのか、赤みやかゆみがあるのかといった情報も、診断の手がかりになります。

 

そのうえで、必要に応じて細胞診を行います。細胞診は、しこりに細い針を刺して細胞を採取し、どのような細胞があるかを確認する検査です。肥満細胞腫は、この検査で疑いが見えてくることも多く、比較的早い段階で次の方針を立てやすくなります。

 

そして、確定診断や悪性度の評価のための「生検」が必要になることもあります。生検では組織の一部、またはしこり全体を採取して詳しく調べます。

 

肥満細胞腫は、単に「あるかないか」だけでなく、悪性度や広がり方を把握することがとても大切です。早い段階で状態を把握できるほど、治療の選択肢にもつながりやすくなります。

 

<治療の流れ>

治療内容は、しこりの悪性度、できた場所、大きさ、周囲への広がり、転移の有無によって異なります。

 

転移がなく、切除しやすい位置にある場合には、まず手術が検討されることが多いです。肥満細胞腫は、見えている部分だけでなく周囲に広がっていることがあるため、手術ではある程度の余裕をもって切除範囲を考える必要があります。

 

一方で、できた場所によっては十分な範囲で切除することが難しい場合もあります。そのようなケースや、再発・転移のリスクが高いケースでは、抗がん剤治療や放射線治療を組み合わせることがあります。

 

つまり、肥満細胞腫と診断されたとしても、すべての犬で同じ治療になるわけではありません病変の性質を見極めながら、その犬に合った治療方針を考えていくことが大切です。

 

当院では、腫瘍の診断から治療まで、その子の状態に合わせて個別に方針を考えています。また、外科手術の計画や悪性腫瘍の転移チェックが必要な場合には、CTによる精密検査を行いながら、より詳しく状態を把握していきます。

まとめ|“様子見でよいしこり”と決めつけず、変化に気づいたら早めの相談を

犬のしこりやできものには良性のものもありますが、肥満細胞腫のように見た目だけでは判断しにくいものもあります。急に大きくなる、赤みがある、ただれる、出血するといった変化があれば、早めの受診が大切です。

 

当院では、一頭一頭の状態を丁寧に確認しながら、その犬に合った今後の見通しや対応を一緒に考えてまいります。小さなことでも気軽に当院までご相談ください。

 

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