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犬と猫の乳歯はいつまでに抜ける?生えかわりの異常と治療法を解説

症例

子犬や子猫の成長を見守る中で「乳歯がなかなか抜けない」「永久歯が生えてきたのに、乳歯が残っている気がする」と感じたことはありませんか。

 

犬や猫の歯の生えかわりは比較的わかりやすい変化のひとつですが、実はこの時期に起こるトラブルが、その後の口腔環境に大きく影響することがあります。なかでも「乳歯遺残(にゅうしいざん)」と呼ばれる状態は、放置すると歯並びの乱れや歯周病のリスクを高めてしまうことがあります。

 

今回は、犬や猫の乳歯がいつまでに抜けるのかという基本から、乳歯遺残の見分け方、放置した場合のリスク、治療の考え方について詳しく解説します。

乳歯遺残とは?|永久歯が生えても乳歯が抜けない状態

犬や猫の歯は、一般的に生後4〜6か月頃に乳歯から永久歯へと生えかわります。この時期に乳歯が自然に抜け、永久歯が正しい位置に生えてくるのが本来の流れです。

 

乳歯遺残とは、こうした生えかわりの過程で、永久歯が生えてきているにもかかわらず、乳歯が抜けずに残ってしまう状態を指します。歯の生えかわりが正常に進まないことで起こる、比較的よく見られるトラブルのひとつです。

 

乳歯遺残が起こりやすい部位としては、犬歯・切歯・前臼歯などが挙げられます。特に小型犬では比較的多く見られる傾向がありますが、猫でも起こることがあります。

 

生えかわりの時期は限られているため、日常の中で変化に気づきにくいことも少なくありません。そのため、まずは「乳歯遺残とはどのような状態なのか」「いつ頃までが生えかわりの目安なのか」を知っておくことが大切です。

放置するとどうなる?|歯周病・不正咬合・食べづらさの原因に

乳歯遺残は、見た目では大きな問題がなさそうに見えることもあります。しかし、放置すると口の中に少しずつ負担が蓄積し、さまざまなトラブルにつながることがあります。

 

<歯周病の原因に>

まず起こりやすいのが、歯周病のリスクの上昇です。乳歯と永久歯が並んで生えている状態では、歯と歯のすき間に汚れが溜まりやすくなります。

 

食べかすや歯垢が残りやすい

歯ぐきに炎症が起こりやすくなる

口臭が強くなる

 

こうした変化が、気づかないうちに進んでいることもあります。

 

▼犬や猫の歯周病についてはこちらで詳しく解説しています

 

<噛み合わせへの影響>

さらに、乳歯が残ったまま永久歯が生えることで、歯並びや噛み合わせが乱れる「不正咬合」につながる場合があります。その結果、日常の食事行動に次のような影響が出ることもあります。

 

うまく噛めず、食事に時間がかかる

硬いフードを嫌がる

片側だけで噛むようになる

 

また、噛み合わせのズレが続くことで、歯や顎に余計な負担がかかってしまうケースもあるため注意が必要です。

 

子犬・子猫の頃のトラブルは「成長とともに治るのでは」と様子を見てしまいがちですが、将来の歯や口腔環境を守るためにも、早い段階で状態を確認しておくことが大切です。

見分け方と受診の目安|“二枚歯”は要チェック

乳歯遺残は、意識していないと見逃されてしまうこともありますが、ポイントを押さえておくことで、飼い主様ご自身でも確認することができるトラブルのひとつです。生えかわりの時期には、ぜひお口の中の様子を一度確認してみましょう。

 

<気づきやすいサイン>

乳歯と永久歯が並んで生えている(いわゆる「二枚歯」の状態)

生えかわりの時期を過ぎても、乳歯が抜けずに残っている

片側だけで噛むような仕草が見られる

口臭が以前より気になる

 

こうした変化は、日常の食事やスキンシップの中で気づくことも少なくありません。

 

<受診を考える目安>

生えかわりが進んでいるにもかかわらず、生後7か月を過ぎても乳歯が残っている場合は、一度動物病院での確認をおすすめします。

 

生えかわりの進み方には個体差がありますが「もう少し様子を見て大丈夫かどうか」を判断するのは難しいこともあります。将来的な歯並びやお口の健康を守るためにも、気になるサインがあれば早めに相談しておくと安心です。

治療方法|乳歯抜歯が基本。避妊・去勢手術と同時に行うことも

乳歯遺残が確認された場合、治療の基本は残っている乳歯を抜歯することです。自然に抜けるのを待つのではなく、適切なタイミングで処置を行うことで、その後の歯並びやお口の健康を守ることにつながります。

 

<乳歯抜歯について>

乳歯の抜歯は、全身麻酔下で安全に行うのが一般的です。

見た目では小さな歯に見えても、乳歯の根は意外と長く、途中で折れたり残ったりしないよう、慎重な処置が必要になります。全身麻酔下で行うことで、歯根まで確実に取り除くことができ、永久歯や顎への負担を最小限に抑えた治療が可能になります。

 

<避妊・去勢手術と同時に行うケースも>

子犬・子猫期に行われる避妊手術や去勢手術と同時に乳歯の抜歯を行うこともあります。同時に処置を行うことで、次のようなメリットがあります。

 

麻酔の回数を1回にまとめられる

成長期で回復が早い時期に対応できる

 

年齢や体調、歯の状態を確認したうえで、それぞれの子に合ったタイミングをご提案します。

 

<抜歯後のケアと経過観察>

抜歯後は、必要に応じて消炎剤の処方口腔ケアのアドバイス食事内容の調整などを行います。多くの場合、乳歯を適切に抜歯することで永久歯の位置が整いやすくなるため、その後の経過観察も大切です。定期的にお口の状態を確認しながら、長期的に健康な歯を維持していきます。

まとめ|小さな歯の異変は早期発見が大切

犬や猫の乳歯は、本来であれば成長とともに自然に抜け、永久歯へと生えかわっていきます。しかし、生えかわりの時期を過ぎても乳歯が残ってしまう「乳歯遺残」は、歯並びの乱れや歯周病など、将来的なお口のトラブルにつながることがあります。

 

見た目には大きな異常がなさそうでも、放置することで少しずつ負担が蓄積していくケースも少なくありません。「生えかわりが進んでいないかも」「二枚歯になっている気がする」と感じた段階で、一度動物病院で状態を確認しておくことが大切です。

 

姉ヶ崎どうぶつ病院では、乳歯遺残を含めた歯科診療や口腔ケアのご相談に対応しており、必要に応じて避妊・去勢手術とあわせた抜歯についてのご提案も行っています。気になる点があれば、どうぞお気軽にご相談ください。

 

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