
コラム
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症例
犬と猫の健康診断の重要性について|気になる愛犬・愛猫の健康チェック!
最近、飼い主様の愛犬や愛猫の健康への意識が高まり、毎年健康診断を受ける方が増えています。
健康診断は、病気の早期発見・早期治療に役立つだけでなく、日頃の疑問や不安を獣医師に相談できるよい機会でもあります。
今回は犬と猫の健康診断の重要性について詳しく解説します。
健康診断の目的
健康診断の一番の目的は病気を早期に発見し、早期に治療することです。早期発見・早期治療は、愛犬や愛猫のQOL(生活の質)を向上させ、長期的には医療費の負担を減らすことにもつながります。
特に腫瘍や腎臓病などの病気は、症状が出るまで時間がかかることが多いため、健康診断で早めに見つけることが非常に大切です。
また、健康診断は予防医療の面でも大きな意味があります。飼い主様と獣医師がしっかりコミュニケーションをとることで、疑問や不安を解消し、適切な飼育環境を整え、肥満を予防することができます。これにより、愛犬や愛猫のQOLが向上し、病気の予防にもつながります。
「予防は治療に勝る」という言葉があるように、健康診断で病気を予防することは、早期発見・早期治療以上に多くのメリットをもたらします。
健康診断の頻度
健康診断の理想的な頻度については、獣医師によって多少の違いがありますが、基本的には年に1回を目安にしてください。7〜8歳を超えてシニア期に入ると、さまざまな病気のリスクが高まるため、半年に1回程度に増やすこともよいでしょう。
もちろん、基礎疾患や現在の健康状態によって適切な頻度は異なりますので、当院の獣医師にご相談ください。
犬と猫で推奨される健康診断の頻度は大きく変わりませんが、猫は病気の兆候に気づきにくいことが多い傾向があります。
特に加齢に伴い、猫では慢性腎臓病のリスクが高まるため、不安がある場合は健康診断の頻度を増やすことを検討してみましょう。
また、特定の品種に多く見られる疾患が心配な場合も、獣医師と相談しながら適切な健康診断の頻度を決めることをおすすめします。
健康診断の主な検査項目とその重要性
健康診断で行う主な項目は以下の通りです。
<問診>
飼い主様から、日頃の様子や気になる点についてお話を伺います。普段の生活で見られる小さな変化や、飼い主様だからこそ気づく異変を確認することで、病気の早期発見につながることがあります。
どんな些細なことでも構いませんので、気になることや不安に感じていることがあれば、ぜひお話しください。
<身体検査>
視診、触診、聴診などで全身を丁寧にチェックします。特に視診での口腔内疾患や白内障の確認、聴診での心雑音のチェックは重要です。
また、体重測定や体型の評価を行い、太りすぎや痩せすぎていないかを確認します。
「肥満は万病の元」という言葉もあるように、肥満は関節疾患や呼吸器疾患などさまざまな病気のリスクを高めるため、注意が必要です。
<血液検査>
全血球計算(CBC)では、赤血球や白血球、血小板の数を測定し、貧血や炎症の有無、白血病の兆候などを確認します。
さらに、血液生化学検査では血糖値や腎臓、肝臓に関連する数値、電解質バランスを調べ、腎臓病や肝臓病、糖尿病、脱水症状の早期発見や病状の確認が可能です。
また、甲状腺ホルモンやコルチゾールなどのホルモン検査で、甲状腺疾患などの内分泌疾患を評価することもあります。
<レントゲン検査>
胸部・腹部のレントゲン撮影は、健康診断において欠かせない検査です。
心臓や肺、腹部の臓器、骨、関節の状態を同時に確認でき、腫瘍や転移の早期発見にも役立ちます。さまざまな病気の診断に有効な検査です。
<エコー検査>
腹部エコー検査では、腎臓や肝臓、脾臓、膀胱、消化管、リンパ節などを詳しく観察します。エコーでは臓器の動きや大きさ、内部の状態をリアルタイムで確認できるため、腹腔内に発生した腫瘍の評価や尿路結石の位置や大きさなどの検査に役立ちます。
心臓エコーでは心臓内部や弁の動き、血流などを確認し、心臓の機能に問題がないか評価します。
<尿検査>
尿検査では持参いただいた尿や院内で採取した尿を使って、尿比重や尿タンパク、結晶、細菌などを調べます。
腎臓や膀胱の健康状態を確認するほか、糖尿病や尿路感染症の早期発見に有効です。
<糞便検査>
便の中に血液や寄生虫が混じっていないかを確認し、消化器系の健康をチェックします。
健康診断で発見される主な疾患
健康診断で発見されることが多い主な疾患は以下の通りです。
<犬>
・口腔内疾患
・僧帽弁閉鎖不全症
・短頭種気道症候群
・膝蓋骨脱臼
・関節疾患
・腫瘍性疾患 等
<猫>
・口腔内疾患
・肥大型心筋症
・甲状腺機能亢進症
・慢性腎臓病
・膀胱炎
・尿路結石
・腫瘍性疾患
・糖尿病
・関節疾患 等
姉ヶ崎どうぶつ病院の健康診断
当院では、Team HOPEおよびAAHA(アメリカ動物病院協会)が提唱する健康診断の項目をベースにした、信頼性の高い健康診断コースをご用意しています。
Team HOPE(公式サイト)は、動物医療の現場で広く支持されている健康診断の基準を策定しており、当院でもその項目をしっかりと取り入れています。また、AAHA(公式サイト)はアメリカで動物医療の基準を確立している団体で、世界中の動物病院に影響を与えています。
これらの基準に基づいた健康診断を通じて、早期発見や予防に力を入れており、飼い主様が安心して愛犬や愛猫の健康を守れるようサポートいたします。
ご興味のある方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
まとめ
愛犬や愛猫の健康を守るために、定期的な健康診断は欠かせません。
飼い主様は毎日の生活の中で、誰よりも早く小さな変化に気づける存在です。だからこそ、日常の様子や体調の変化を見逃さずにチェックすることが大切です。
もし少しでも気になることがあったら、無理せずかかりつけの獣医師に相談してみましょう。大切な家族の健康を守るために、早めの対応が安心につながります。
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症例
犬と猫のてんかんについて|発作が起きたときに慌てないために
「てんかん」と聞くと、突然発作が起きて意識を失う病気というイメージを持つ方も多いかもしれませんが、実は犬や猫にもよく見られる神経疾患です。
てんかん発作は、脳の神経細胞の異常な興奮によって生じる、一時的なけいれんや意識障害、異常行動を指します。
今回は、犬や猫のてんかんの原因や症状、診断方法、治療方法について詳しく解説します。
てんかんの種類
てんかんは大きく分けて、「特発性てんかん」と「構造的てんかん(症候性てんかん)」の2種類があります。
また、低酸素や低カルシウム血症などが原因で発作が起こる「反応性発作」もありますが、これは厳密にはてんかん発作には含まれません。
<特発性てんかん>
発作の原因がはっきりしていないてんかんです。おそらく、遺伝子の異常が関与していると考えられています。
特発性てんかんは犬や猫に比較的よく見られるタイプで、犬では約100頭に1頭、猫では約100〜200頭に1頭がこのてんかんを持っていると考えられています。
<構造的てんかん (症候性てんかん)>
脳腫瘍や脳炎、脳外傷など、脳の病気や異常が原因で発作が起こるてんかんです。
原因
てんかんの原因はさまざまで、複数の要因が重なって発作が起こることもあります。
<特発性てんかん>
遺伝子以外のてんかんの原因がすべて否定されているため、遺伝的な要因が関与していると考えられています。
日本ではあまり見られない犬種ですが、ラゴット・ロマニョーロやローデシアン・リッジバックといった犬種で、てんかん発作に関連する遺伝子異常が報告されています。
<構造的てんかん>
大脳皮質の器質的な異常(脳腫瘍、脳炎、脳外傷、水頭症など)が原因となり、発作が起こります。
また、代謝異常による脳のダメージや、金属や薬物などの中毒が原因で発作が引き起こされることもあります。
症状
てんかんは、発作のタイプによって部分発作と全般発作に分類されます。これは脳の細胞が過剰に興奮することで引き起こされ、どの部分が影響を受けるかによって異なります。
部分発作は、脳の一部で電気的興奮が限局して起こるものです。
例えば、運動に関わる脳の部位に発作の焦点がある場合、顔面のけいれんや四肢がガクガクと震えるような症状が見られます。
視覚に関わる脳の部位に発作の焦点があると、フライバイト(ハエ追い行動)と呼ばれる、空中を見つめてハエなどの虫を追いかけるような行動や、幻覚を見ているかのような仕草が見られます。
一方、全般発作は、脳の一部で始まった電気的興奮が脳全体に広がるものです。
この場合、意識を失ったり、よだれが増えたり、失禁することが多く、全身がピンと突っ張ったり、ガタガタと震える強直間代性発作が見られることがあります。
発作の前兆として、突然落ち着きがなくなったり、不安そうな様子になったりすることがあります。また、発作後には、攻撃的な行動を取ったり、徘徊したり、意識がはっきりしない、運動がぎこちないといった発作後徴候が見られることがあります。
診断方法
てんかんの診断は、まずこれまでの発作の経過や発作時の様子を詳しく伺うことから始まります。もし、ご自宅で発作の様子を録画した動画があれば、診断に大変役立ちます。
てんかん発作に似た症状が、心臓病による低酸素や失神、中毒症状などでも現れることがあるため、まずは身体検査や血液検査、レントゲン検査、心電図検査などで全身の健康状態を確認します。その後、脳や脊髄など中枢神経系の状態を調べるために神経学的検査を行います。さらに、脳腫瘍や脳炎などが原因で発作が起きていないか確認するため、CT検査やMRI検査、脳脊髄液検査(脳脊髄液を採取して検査する方法)を行い、脳の状態や脳脊髄液の性状を確認します(外部の専門機関をご紹介します)。
これらすべての検査で異常が見つからなくても発作が続く場合は、特発性てんかんと診断されます。
逆に、MRIやCT検査で脳に炎症や腫瘍が認められた場合は、それらが原因のてんかんと診断されます。
特発性てんかんの診断は通常、MRI検査や脳脊髄液検査で他の病気を除外して行いますが、脳波検査でてんかんに特有の波形が確認できれば、さらに信頼性の高い診断を行うことが可能です。
治療方法
てんかんの治療の基本は、抗てんかん薬(フェノバルビタール、臭化カリウム、レベチラセタム、ゾニサミドなど)という、てんかんの発作頻度を抑える薬を服用します。
また、補助的な治療として、食事療法やサプリメントの使用が稀に行われることもあります。例えば、医療用大麻由来のカンナビジオール(CBD)が一部で使用されるケースもあります。
最近では、てんかん外科と呼ばれる脳外科手術によって、難治性のてんかんを治療する試みも始まっており、国内でも試験的に行われています。
通常、てんかん発作は安静にしていれば5分程度で治まりますが、5分以上続く場合はてんかん重積と呼ばれ、緊急の治療が必要です。
この場合、ジアゼパムやミダゾラムなどの強力な抗けいれん薬を使用して、速やかに発作を抑えます。
予後
一般的に、抗てんかん薬を使用した場合、発作がうまくコントロールできる割合は60〜70%ほどと言われています。しかし、残りの30〜40%は難治性てんかんと呼ばれ、薬でのコントロールが難しいケースです。このような場合は、食事療法やサプリメント治療、てんかん外科などを検討します。
てんかん発作は、犬や猫の生活の質(QOL)に大きな影響を与えるため、早期に治療を開始し、発作をできる限りコントロールすることが非常に重要です。
てんかんは完治する病気ではないため、基本的には一生抗てんかん薬を服用しながら病気と向き合う必要があります。
発作の頻度に応じて薬の量を調整することはありますが、長期的な管理が必要であることを理解していただければと思います。
ご家庭での注意点
てんかん発作は基本的に自然に治まることが多いため、発作が始まったらなるべく刺激しないことが大切です。発作が起きたら、できるだけ周囲に危険なものがない安全な場所で発作が治まるのを静かに見守りましょう。
このとき、発作の様子の録画や時間を測っておくと、診断や治療に役立ちます。また、発作が起きた日時、発作の様子、持続時間、その後の状態などを記録しておくことも重要です。
処方された薬は、必ず獣医師の指示通りに服用し、定期的に動物病院で検査を受けるようにしてください。運動や食事については、特別な指示がなければ通常通りで問題ありません。
さらに、発作時に物にぶつかって怪我をしないよう、部屋を整理整頓しておくことや、ストレスをできるだけ減らすよう心がけることも大切です。
まとめ
てんかんはQOLに大きく影響を与えるため、早期診断と早期治療が非常に重要です。もし、てんかん発作を疑うような症状が見られた場合は、まずは獣医師に相談してください。
てんかんの治療は基本的に生涯にわたって続くため、信頼できる獣医師と飼い主様が連携しながら治療を進めることが大切です。
また、発作が30分以上続くと脳に後遺症が残る可能性があり、5分以上続く場合は発作が長引くリスクが高まります。5分以上発作が続く場合は、様子を見ずにすぐにかかりつけの動物病院や夜間救急病院を受診してください。
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症例
犬と猫の誤嚥性肺炎|年を取って飲み込む力が弱まっているとなりやすい?
誤嚥性肺炎とは、食べ物や液体が本来入るべき食道ではなく、誤って気管に入ることで発生する肺炎のことです。
通常、嚥下機能(食べ物を咀嚼して食道に送り込む機能)が正常に働くことで、食べ物や液体が誤って気管に入ることは防がれていますが、何らかの原因で嚥下機能が低下すると、誤嚥が発生しやすくなります。
犬や猫ではそれほど頻繁に見られる病気ではありませんが、嚥下機能が低下するシニア期に入り嚥下機能が低下した場合や、強制給餌を行っている場合、または巨大食道症(食道が拡張する病気)で頻繁に吐き戻しをしていると、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。
今回は、犬と猫の誤嚥性肺炎について、その原因や症状、診断法、治療法を詳しく解説します。
原因
口の中には無数の細菌が存在しており、咀嚼した食べ物にも多くの細菌が付着しています。通常、食べ物は嚥下によって食道に送られて気管には入らないため、気管や肺は無菌の状態が保たれています。
しかし、嚥下機能が低下して食べ物や異物が誤って気管に入ると、それに付着した細菌や物理的な刺激によって炎症が起こり、肺炎が引き起こされます。これが誤嚥性肺炎です。
誤嚥性肺炎の主な原因は以下の通りです。
・加齢による嚥下機能の低下・巨大食道症による吐き戻し
・意識レベルの低下時、麻酔中、または麻酔から覚める際の嘔吐
・誤った強制給餌や投薬
特に、嚥下機能が低下しているシニア期やフードを早食いする癖がある犬は注意が必要です。さらに、フレンチ・ブルドッグやパグなどの短頭犬種、巨大食道症や喉頭麻痺の既往歴がある場合も、誤嚥性肺炎のリスク因子となるため注意してください。
よくある誤嚥のケース
通常、嚥下機能が正常であれば誤嚥はほとんど起こりません。しかし、頻繁に誤嚥が見られる場合、何らかの原因で嚥下機能が低下している可能性があります。
また、誤嚥の発生には以下のようないくつか共通するパターンがあります。
・巨大食道症や喉頭麻痺の子が、うまく吐き出せずに誤嚥してしまうことがある
・高齢の犬や猫が横になったまま物を飲み込もうとする
・強制給餌を行って誤嚥してしまう
・年を取って飲み込む力が弱まり、誤嚥してしまう
・呼吸器疾患で咳をしながら飲み込むことで誤嚥してしまう
・フードを急いで食べ過ぎて誤嚥してしまう
これらのケースに当てはまる場合は、誤嚥性肺炎のリスクが高くなるため、特に注意が必要です。
症状
誤嚥性肺炎には、大きく分けて3つのステージがあります。
1、気道反応:誤嚥の初期には、気管や気管支に浮腫や収縮が見られます。
2、炎症反応:炎症細胞である好中球やマクロファージが炎症部位に集まり、肺血管の透過性が亢進します。炎症が強い場合は肺水腫(肺に血液の液体成分が溜まり、呼吸困難になる状態)になることがあります。
3、二次感染:細菌の二次感染により、細菌性肺炎が生じ、重症化します。
これらのステージによって症状は異なり、初期には咳や発熱などが見られますが、進行すると呼吸困難や元気・食欲の低下、ぐったりして動かないといった全身的な症状が現れます。
犬と猫で症状に大きな差はありませんが、猫の方が症状がはっきりしないことが多いです。進行しても咳や呼吸困難といった症状に気づきにくいため、特に注意が必要です。
誤嚥性肺炎に限らず、猫は体調が悪くなると隠れたり、元気や食欲が低下したりする傾向が強いので、これらのサインを見逃さないようにしてください。
診断方法
誤嚥性肺炎の診断は、以下の方法で行います。
・身体検査:発熱や咳があるか、呼吸数や肺音に異常がないかを確認します。
・血液検査:白血球数やCRP、SAAなどの炎症マーカー(炎症時に上昇する項目)に異常がないかを調べ、全身の状態を把握します。
・レントゲン検査:誤嚥性肺炎の場合、レントゲンで肺が白く映ります。特に右中葉、右前葉、左前葉後部に炎症が起こりやすいです。また、肺水腫の有無も確認します。
・超音波検査:肺炎に特徴的な所見や、吐出や嘔吐の原因となる疾患が腹部臓器にないかを確認します。
まれに、より正確に炎症部位の把握や、誤嚥性肺炎を引き起こす原因疾患を特定するために、全身麻酔をかけてCT検査を行うこともあります。
治療方法
誤嚥性肺炎は呼吸に直接影響し、命に関わるため、入院して集中的な治療を行うことが多いです。
主な治療方法は以下の通りです。
・酸素療法:呼吸状態が悪い場合に行います。
・抗菌薬の投与:細菌の二次感染を予防・治療するために必要です。
・輸液療法:体液の補充を行いますが、過剰な輸液は肺水腫を引き起こし、呼吸状態をさらに悪化させる可能性があるため、慎重に行います。
入院中はこれらの治療を行いながら、体力の回復を待ちます。
予防法
誤嚥性肺炎は飼い主様の工夫次第である程度予防することが可能です。
具体的には、横になったまま強制給餌を行わないようにすること、早食いを防ぐために専用の食器を使うこと、フードを少量ずつ与えることが挙げられます。また、定期的に健康診断を受けることも重要です。
さらに、巨大食道症や喉頭麻痺などの既往歴がある場合には、適切な治療を継続することが必要です。
これらの適切な食事管理や定期的な健康チェックが、誤嚥性肺炎の予防に繋がります。
まとめ
誤嚥性肺炎の多くは1週間程度で回復しますが、シニアの場合や治療が遅れた場合には重症化して命に関わることもあるため、決して油断はできません。
誤嚥性肺炎は呼吸に直接影響するため、早期発見と早期治療が治療成績に大きく影響します。もし、愛犬や愛猫の呼吸や普段の様子に違和感があれば、すぐに動物病院を受診してください。
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症例
犬と猫の血小板減少症|皮膚のあざや粘膜の点状出血が見られたら要注意
血小板減少症とは、何らかの原因で止血の役割を持つ血小板が減少してしまい、さまざまな症状が現れる病気です。
この病気は、犬と猫の両方に見られますが、猫よりも犬での発生が多いと言われています。特にプードルやシー・ズー、マルチーズ、コッカー・スパニエルなどの一部の小型犬に多く見られることが知られています。
今回は、犬と猫の血小板減少症の原因や症状、診断法、治療法などについて詳しく解説します。
血小板の役割と正常値
血小板は赤血球や白血球と同様に、血液中に含まれる重要な成分です。出血が起きたときには、血小板が速やかに出血部位に集まり、止血の役割を果たします。
そのため、血小板が正常値より減少すると、体内で出血を止めることが難しくなってしまいます。
血液検査における血小板の正常値は、犬では15〜45万/μL、猫では15〜40万/μLとされています(各検査機関によって若干の違いがあります)。
ただし、キャバリア犬の場合、健康な状態でも生まれつき血小板数が少ないことがあり、これは血小板減少症とは異なります。
血小板数が基準値を下回ったからといって、すぐに血小板減少症と診断されるわけではありません。血小板数の推移や臨床症状を総合的に考慮して診断が行われます。
また、採血にかかる時間や手技によっても血小板数は大きく変動し、1回の血液検査だけでは判断できないため、正確に把握するためには複数回の検査や継続的な観察が必要です。
原因
血小板が減少する理由は複数考えられますが、よくある原因としては以下のものが挙げられます。
・免疫介在性血小板減少症(自己の免疫が血小板を攻撃してしまう)
・過度の出血
・播種性血管内凝固症候群
・骨髄疾患
・腫瘍
・その他の原因(感染症や中毒など)
犬と猫の血小板減少症は、その原因によって免疫介在性と続発性に分けることができます。
特に多いのが犬の免疫介在性血小板減少症で、体の防御機能である免疫機能が誤って自分の血小板を攻撃してしまうことで、血小板数が減少します。
一方、続発性血小板減少症とは、骨髄疾患、腫瘍、感染症、薬剤などの影響を受けて、二次的に発生するものです。
猫の場合、ウイルス感染症の後に血小板が減少することがありますが、その因果関係やなぜウイルス感染の後に血小板が減少するのかについては、まだ不明な部分も多いです。症状
血小板減少症の代表的な症状として、皮膚のあざ (紫斑)や粘膜の点状出血などの内出血が挙げられます。これは体内で常に起こっている微小な出血を、血小板が十分に止血できないために生じるものです。
特に、おなかや脇、股など皮膚が薄い部分や、歯茎の粘膜に現れることが多いですが、毛をかき分けて観察しないと気づきにくいこともあります。
さらに、症状が進行すると、元気や食欲がなくなり、嘔吐、血尿、血便などの症状が見られることがあります。
犬と猫で大きな症状の違いはありませんが、猫の場合は症状が見つけにくいことが多いです。元気がなくなって隠れがちになったり、食欲が低下したりすることがよくあります。
診断方法
内出血の兆候などから血小板減少症が疑われる場合、まずは血液検査を行い、赤血球や白血球を含む全ての血球成分の数を確認します。
また、血球の形に異常がないかを調べるために、少量の血液を薄く広げて顕微鏡で観察する血液塗抹検査を行います。さらに、レントゲン検査やエコー検査を行い、血小板減少症を引き起こす可能性のある他の病気が隠れていないかを確認します。
骨髄検査は全身麻酔をかけて太い骨に針を刺し、骨髄成分を取り出して評価する検査ですが、体への負担が大きいため、必ずしも行うわけではありません。骨髄の病気が疑われる場合や、血小板減少症の原因が特定できない場合に行うことが多いです。
また、必要に応じて血液の凝固機能検査や感染症の検査を行うこともあります。
治療方法
血小板減少症の治療は原因によって異なります。例えば、特定の病気が原因であれば、その病気を治療することで血小板減少も改善されることが多いです。
自己免疫が原因の場合は、ステロイドなどの免疫抑制剤を使用して、免疫の過剰反応を抑えます。免疫介在性溶血性貧血(免疫が赤血球を攻撃して貧血になる病気)の併発や、症状が重い場合は、入院して集中治療や輸血が必要になることもあります。
また、再発を繰り返す場合や、ステロイドが効かない場合は、脾臓を摘出する手術を検討することもあります。脾臓摘出は、血小板を破壊する主な場所を取り除くことで、血小板数の回復を目指す方法です。
予後と管理
残念ながら、血小板減少症を予防する確実な方法はありません。
予後は症例によって異なりますが、原因となる病気の治療がうまくいったり、免疫抑制剤が効果的に作用したりすれば、良い結果が期待できます。しかし、免疫抑制剤に効果がなく、免疫介在性溶血性貧血を併発した場合には、症状が悪化して最悪の場合、命を落とすこともあります。
免疫が関与している場合には、免疫抑制剤を継続的に使用することが非常に重要です。症状が良くなったからといって、自己判断で薬を中断したり通院をやめたりすると、再発して症状がさらに悪化することが多いので、自己判断での薬の中断は避けましょう。
*血小板数の推移を確認するために、継続的な通院が必要となることをご理解ください。
また自宅では、皮膚に内出血の症状が出ていないか、怪我の原因となるものがないかを定期的に確認しましょう。さらに、緊急時に備えて、近くの夜間救急病院やかかりつけ医が夜間対応をしているかどうかを事前に調べておくことも大切です。
まとめ
血小板減少症は、治療が遅れると命にかかわる危険な病気ですが、早期に免疫抑制剤などで適切に治療すれば、その後は安定した生活を送ることができます。
皮膚や粘膜に内出血や点状出血の兆候が見られたら、すぐに動物病院を受診しましょう。
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犬と猫の熱中症について|暑い夏を安全に過ごすために!
日本の夏は高温多湿で、人間だけでなく動物も熱中症になる危険があります。
熱中症は重症化すると、多臓器不全や脳へのダメージによる後遺症など、命に関わる深刻な結果を招くことがあるため、治療よりもまず熱中症を予防することが非常に重要です。
今回は、犬と猫の熱中症の症状や原因、治療法、予防法などについて詳しく解説します。
熱中症とは
熱中症とは、高温の環境にいることで体温が急激に上昇し、重要な臓器が高温にさらされることによって発症する障害の総称です。
犬や猫の平均体温は38℃程度で人間よりも高いですが、熱中症になると40〜42℃まで体温が上がることがあります。
一度茹でた卵が、冷蔵庫で冷やしても元に戻らないように、熱中症で受けた細胞のダメージも不可逆的(治すことができない)です。そのため、治療よりも予防がとても重要なのです。
犬と猫は人間のように汗をかいて体温を下げることができません。また、全身が毛で覆われているため、熱中症になりやすいと言われています。
このような特徴を持つ愛犬や愛猫のために、しっかりとした予防策を講じることが必要です。
熱中症の症状
犬や猫の熱中症の主な症状は以下の通りです。
<初期症状>
・呼吸が荒くなる(犬の場合は舌を出して、ハッハッと呼吸をしている)
・よだれを多く垂らしている
・不安げな様子が見られる
特に犬は体温が上がると、汗をかく代わりにパンティングと呼ばれる「ハッハッ」と激しい口呼吸をします。これは暑がっているサインであり、熱中症の初期症状でもあるため、十分に注意してください。
<進行した時の症状>
・下痢や嘔吐
・めまい(ふらつき)
・虚脱(ショックの一種で、血圧低下、頻脈、チアノーゼなどが見られる状態)
<重度の症状>
・意識レベルの低下(呼びかけに反応しないなど)
・全身のけいれん
夏の散歩の後や車内に放置した後にこれらの症状が見られたら、熱中症の可能性が極めて高いです。
なお、車内に冷房をかけていても熱中症は発生しますので、愛犬や愛猫を車内に残すことは絶対に避けましょう。
熱中症の原因と危険因子
熱中症の主な原因は、高温多湿の環境にあります。
体温が急激に上昇しやすく、パンティングをしても効率的に体温を下げることができないため、熱中症になってしまいます。
さらに、高温多湿に加えて、夏場の激しい運動や興奮による活動量の増加、水分不足、肥満、高齢、健康問題を抱えていることも、熱中症の危険因子となります。
特に肥満や短頭種気道症候群、気管虚脱などの問題を抱えている場合、高温環境下で呼吸状態が悪化し熱中症にかかりやすくなりますので、これらの犬や猫には特に注意が必要です。
熱中症の予防法
熱中症を予防する最も効果的な方法は、高温多湿の環境をできるだけ避け、十分な水分補給を行うことです。
夏場は早朝や夜の涼しい時間帯に散歩をさせ、直射日光を避けるようにしてください。絶対に太陽が照りつける日中に散歩をさせることは避けましょう。
特に気温が高い日は、不必要な外出や運動を避け、散歩は最低限に留めましょう。外にいる時は、なるべく日陰を歩き、こまめに休憩を取り、水分補給を行ってください。
また、愛犬や愛猫の呼吸が荒い、よだれを多く垂らしている、不安げな様子が見られる場合は、熱中症の初期症状の可能性があります。その際は、速やかに涼しい場所へ移動し、動物病院を受診しましょう。
熱中症が疑われる場合の対処法
熱中症が疑われたら、まずは速やかに屋内や日陰などの涼しい場所へ移動させましょう。これ以上体温を上げないことが何よりも大切です。
次に、濡れタオルで体を拭いたり、水を体にかけて風を当てたりして体を冷やしてください。氷嚢がある場合はタオルで包み、首や太ももの内側に挟むと効果的です。
また、水を飲める場合はしっかりと水分補給をさせることも大切です。ただし、水を飲もうとしない場合は無理に飲ませないでください。
これらの応急処置が済んだら、速やかにかかりつけの動物病院または救急病院に事前に連絡し、獣医師の指示と診察を受けてください。
飼い主様ができる準備と対策
普段から愛犬や愛猫の様子を注意深く観察し、栄養バランスの取れた食事と十分な水分補給、そしてしっかりとした休息を徹底しましょう。
熱中症対策グッズの使用(クールマット、ペット用の冷却ベスト、小型扇風機など)や、エアコンを適切に使うことを意識してください。飼い主様が我慢できる暑さでも、愛犬や愛猫には危険な暑さになることがありますので、夏場はエアコンを常につけておくことをおすすめします。
また、犬の熱中症は車内に放置されることで発生するパターンが多いため、短い時間であっても車内に置き去りにせず、運転中も常にエアコンをつけましょう。
万が一に備えて、かかりつけ動物病院の診療時間や近くの救急病院の場所を調べておき、熱中症になった際にもすぐに獣医師と連携できる体制を整えておくことが大切です。
まとめ
熱中症は重症化すると命に関わることがあり、重篤な後遺症が残る恐ろしい病気です。しかし、飼い主様の行動次第で防ぐことができるため、予防が何よりも大切です。
熱中症予防は飼い主様の大きな責任であるとご認識いただき、夏場はエアコンを適切に使用し、早朝や夜の涼しい時間帯に散歩に行くなどして、愛犬や愛猫と共に快適で安全な夏を過ごしましょう。
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